リラ
私がメイドでこの屋敷に入った時、病人の父を抱えていたが、家は貧しく、父を医者に見せることもできなかった。 私はこの屋敷で銀の皿とスプーンを盗んだ。
盗みはすぐ見つかり、メイド長はカンカンに怒り、憲兵隊に私を引き出すという。
その時マリアンヌ奥様が私を庇ってくれ、父を医者にかけてくれたが、父は残念ながら亡くなってしまった。 でも数か月間であったが、父と美味しい物を食べ、笑いあった思い出は残った。
マリアンヌさまは、私たちに医者だけでなく、美味しい食べ物を提供してくれたのだった。
それ以来私はこの奥様に忠誠を誓うことにした。
毒で倒れたマリアンヌ様の介護を自ら引き受け、マリアンヌ様の目覚めを待っていた。
マリアンヌ様は目覚めたが、しばらくこの状態のままでいたいと言った。
やはり、最近の旦那様の態度を疑っているらしい。
旦那様は奥様同様、以前は寡黙だが、使用人に対しても暖かな気遣いが出来る人で、雪が降り寒くなると、薪を増やしてくれたり、使用人の部屋にも絨毯を何処からか仕入れ敷いてくれるような人だった。
今はメイド長に自分の好みの食事と、客人が来た時の食事を頼みに来るだけで、ほとんど姿を使用人の前に姿を現さない。 以前は家令も執事もいたが、最近は姿を見せないところをみると、やめさせたのだろう。 何しろ最近の旦那様は、使用人の私達から見ても、疑惑があり、奥様が警戒することに、私も賛成だ。 私はフルーツの入った皿を持ちながら、最近我が屋敷に入った、あまり目つきの良くない庭師達に警戒しながら、庭を横切り離宮にたどり着いた。




