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黒いドレスの女  作者: 雪風花


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幸せなティーパーティー

朝から、執事とロイドは忙しい。

小さなお茶会ということだが、エミリーとリラも張り切ってパーティーに準備で参加している。

コック長もなぜだか張り切っている。

多分、皆にマリアンヌが大切な客が来ると、言ったせいだろう。

特にロイドは久々に兄のような人達に会えると張り切っている。


お茶会の用意が整いマリアンヌとロイは静かに2組の夫婦の到着をまった。

やがて2組の夫婦は緊張した面持ちで公爵邸を訪れた。

特にアントニオはなぜ自分が公爵領の大切な倉庫を任され、自分の船を使ってくれるのか、まるで見当がつかなかった。

数日前、アントニオの住む子爵領の妻の家に知らせがきて、侯爵領主の依頼で侯爵領の港の倉庫管理と商品の運搬の依頼があった。

届けられた依頼書には倉庫管理の仕事のため、港の近くに屋敷こちらで用意するとのことが書いたあり、お茶会の招待状が添えてあった。

船の仕事が休みの時は船をおり妻の借家に住んでいるが、建物が古いので引っ越すことを考えていた。

船の中のほうが厨房もあり住み心地が良いので、いっそ船の中に2人で住もうかなどと思っていた。           


またロワールも公爵家の花の注文が多く、なぜ自分達の花屋を侯爵家は優先してくれるのか、最初はわからなかったが、母のことや、マリアン家族のことでマリアンヌ様にはいろいろ配慮してもらったので、お礼が言いたかった。     

特にマリアンヌ様の叔父様にあたる侯爵様には、感謝以外の言葉がみつからない。

時々、花を持ち、馬車で隣の領まで行き恋人の隣で侯爵様が眠る墓地に2人でひっそり参っている。


こうしてロイも含めいい男と私を含め美しく可愛い女のティーパーティーが始まった。

マリアンヌはマリアンとは知り合いだったので、気安く声をかけ、アントニオの妻にも同じように接した。   3人は昔からの友人のように楽しいおしゃべりをはじめた。

2組の夫婦は最初はなぜ自分達がこの茶会に招かれたのか、わからず緊張していたが、ロイド少年がアントニオとロワールに話しかけ、男性陣も急速に仲が良くなってしまった。

船長と花屋、何もつながりのない2人だが、顔を見て、話してみるとなぜだが懐かしい不思議な感覚にとらわれていた。   

マリアンヌ様とロイエンタール様は、2人にとっては、まさに救いの神に見えた。

話が黄金のシルクのお披露目会の話になると、アントニオとロワールの妻たちが楽しそうに参加してきた。

もちろん、お披露目会には2組の夫婦も参加させる予定だ。

ロワールの薄紫の薔薇の花を見せると、彼はとても美しいと、その薔薇の花のように美しい顔をほころばせた。   彼は愛妻をめとり、優しさの中に頼りがいのある男に成長したようだ。

彼に黄金のシルクのドレスの発表までに我が庭にある、薄紫の薔薇の花の栽培を依頼し、後に彼の研究室にすべての権利を譲渡すると、私は言った。

これは叔父様の愛した薔薇なので、マリアンのへの贈り物だと言うと、2人は改めて涙を流した。 

アントニオには、ドレスの発表会後は、すべての黄金のシルクはアントニオに任せる倉庫に入れるので、管理と船での運搬をお願いした。

そして港近くにある彼らの屋敷の住所をアントニオに渡した。     

アントニオは逞しく美しい顔を輝かせたが、愛妻を娶りすこし優しい顔になっていた。

2組の夫婦はとても幸せそうで、見ている私達も幸せだった。

お茶会が終わる頃には7人はすっかり打ち解けて、笑いも出て、なごやかに茶会は終わった。

ロイドの「皆に会いたいので定期的にお茶会をしよう」との言葉に私は仕事の打合せも兼ねて、また7人でパーティーを開きましょうと言った。

アントニオとロワールは住所の場所を教え合い、すでに交流を望んでいるようだ。

二人とも住まいは公爵領の港街なので、家族ぐるみの付き合いになりそうだ。

皆の幸せそうな顔をみて、私にとり今回の事件は恐ろしく、悲しいことではあったが、その中でも出会いがあり、ギルドのマスターを含め信頼できる仲間ができ、素晴らしい経験が出来たと改めて、ロイエンタールの顔を見た。

きっと、ロイもそう思ってくれている。

帰りがけにアントニオ夫妻は、住所の記載がある、港街にある新しい家を見に行った。

彼等の家も小高い丘にあり、ロワールの屋敷にもさほど遠くないところにあった。

港が一望できるまだ新しい瀟洒な屋敷を見て2人はどうしてこんな夢のようなことが起きるのか、不思議で、アントニオが記憶がない時期になにかグレイス侯爵家とかかわりがあったのか、と思っが彼等の好意を素直に受け止め、詮索はやめようと思った。


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