幸せな香り
マリアンヌとロイエンタールはいつものように離宮で午後のお茶を飲んでいた。
ロイは相変わらず、本を読みながらコーヒーを飲んでいる。
マリアンヌは白い小花と大輪の薄紫の薔薇の花の刺繍のあるラベンダー色のドレスを着て、とてもエレガントな装いである。
マリアンヌが彼に、アントニオ夫婦が侯爵領の屋敷に越してきたこと、ロワールの花の研究室で八重咲の薄紫の薔薇の花の研究をはじめたことなどを話した。
アントニオとロワールは仲良く港の街を歩いていたと目撃情報がギルドから報告されたことを話した。
ギルドの仲間も陰ながらギルドから去った仲間を見守っているのだろう。
10日後に控えた叔父様の黄金のシルクのドレスと薄紫色の薔薇の花の発表会の準備も侯爵家総出で頑張っているので、着々と進んでいる、そんなことを話しながら、マリアンヌが窓を見ると、馬車が一台庭に止まった。
馬車の中から絵画が本館の屋敷に運ばれていった。
行方不明だった絵が戻っていているようだ。
あなたも一緒に絵を確認してくださいの、マリアンヌの言葉にロイも一緒に部屋を出た。
慌ただしく2人の去った部屋の中には、薄紫の薔薇の花瓶のそばには、飲みかけのコーヒーの湯気がゆらゆら揺れていて、幸せの香りがした。
(おわり)




