死を目の前にしてわかった姉へのキャロラインの思い
私は、森の収容所と言われているグレイス領でも一番罪の思い人々が入る収容所の調理場で働かされている。 私はたぶんここから一生出られないであろう。
マリアンヌ、すべてあの女のせいだ。
ここでの生活は一日中調理場を、這いずり回り、極悪人たちの食事を作ることであるが、半年もするといい加減うんざりしてしまった。
何とか逃げだすことも考えているが、深い森を無事に逃げた人は、今までいないようなので、あきらめて、嫌々仕事をしている。
ここの食事が比較的材料が良いので、囚人たちは食事だけが楽しみで毎日仕事をしている。
囚人たちのほとんどは、生涯罪を償いながらここで働く人だが、働いた賃金は僅かな小遣いをもらうだけで、あとの賃金は被害者救済に使われているようだ。
この間も他領の悪人が2人ここに送られてきた。
他領の伯爵領の店主と子爵領の防衛団の団長だそうだが、何か重い罪でここに送られてきたようだ。 2人は仕事をせず、罰として食事を抜かれているようだが、嫌気がさし、この収容所を逃げる計画を立てて、実行したようだが、失敗して、2人とも2度と帰らぬ人になったようだ。
脱出が無理なら、ここで働くしかないのか、私は、あきらめていたが、そんな私に結婚のプロポーズをする男性が現れた。
ここの収容所は、男子と女子の部屋が大部屋で分かれているが、結婚すると夫婦用の一つの部屋が与えれれる。
この収容所を出られることはできないが、結婚生活はできるようだ。
この男は,過っては、極悪人であったが、今では真面目に仕事をして調理場の主任をしている。 ケーキ作りが上手く、私に気があるのか、時々こっそりケーキの試作品だと言って私にくれることがある。
ケーキ一つで男に釣られる私ではないが、なかなか良い男なので、ここを逃げることを諦めた私は結婚を承諾した。
私の結婚の報告がマリアンヌにもいったのか、あの女、結婚の前日に婚礼用にと、私に白いシンプルなウェディングドレスと大量の高級ワインを送ってきた。
結婚式用の大量の高級食材も送られ、私の主人となる人は、張り切って自分たちのウェディグケーキを作っていたが、私は、こっそり台所のワインを盗み、何本もワインを飲んだ。
あの女は私の不幸を笑っている、頭にのぼる熱に、彼女への憎しみがまたふつふつと湧いてきた。 私は、この収容所が私たちの結婚で浮かれてる間にここから逃げてマリアンヌに復讐すると決めた。
こっそり夜森を抜け出し、私は歩いた、歩いて、歩いて、深い森を当てもなく歩いた。
あたりが明るくなると、昨日私たちの婚礼の品物運びに使用した荷馬車の轍が、僅かに残っていることを発見した。
この馬車の轍に沿って歩けば、必ずどこかの街にたどり着く。
私は披露宴にと出しておいた、マリアンヌの一番良い服と宝石を鞄に持ってきた。
これをお金に代えれば、どこかに隠れ、姉を狙うチャンスがまた来る、と思った。
2日ほど歩くと、足取りはよろけていたが、かすかに街の灯が見えてきた。 もうすぐ、街にたどり着けると思うと私は急にお腹が空いてきた。
ふと足元をみると、赤い美味しそうな実がなっていた。 私は空腹のため何も考えずその実を食べた。
食べた途端体中が痺れて、呼吸困難に襲われ、私は死を覚悟した。
そんな時、ふと、私はまだ子供で、姉の物を盗み姉に叱られた時のことを、思い出した。
姉は悲しそうな顔で、私を見ていた。
お姉様、助けて~~、私お姉さまになりたかっただけなの。
これから良い子になるから、助けて~~~私は遠くなる意識の中で姉だって人に助けを求めていた。
目が覚めてみると、夫になる人が私を心配そうに見下ろしていた。
どうやら、私は披露宴用のドレスを着て宝石を身に着け、ワインをがぶ飲みして、床に倒れていたようだ。
結婚式は延期しようか? の言葉に私は白いウェディングドレスを着せてと、言った。
頭はガンガン痛かったが、意識ははってきりしていて、無事結婚式は終了した。
その後、疲れたので一人にしてほしいと、夫になる人に頼んだ。
マリアンヌ様、お姉さま、今世で良い子になれなかったけど、来世では良い子になるから、また妹として可愛がってね。
たとえ血のつながりがなくても、良い子の私なら、お姉さまならかならず、助けてくれると思うから、、、私は初めて、自分の心に正直になれ涙を流した。
側には花瓶に飾られた大量の揺れる白い薔薇だけが、私を見ていた。




