港の見える丘の館
叔父との約束でマリアンヌは、遺産の中からマリアンのため、侯爵家の港が見える丘の上に瀟洒な館を建てた。
マリアンは住んでいた公爵家の屋敷、土地を売り払い、このグレイス公爵領にある館に越してきた。
マリアンは館の窓から見える港を見ながらいつも思っている。
侯爵様の姪のマリアンヌ様には、いろいろお世話になった。
彼女は公爵様似の心の優しい人だ。
私は、離婚届を提出して、「恋人と幸せになってほしい」との亡き公爵様の言葉に背中を押されるように、行方不明のロワールを探している。
侯爵様から病気が癒えた父に、自分たちの爵位はそのまま存続させたいか? と聞かれたが、父は「もうそのつもりはない」ときっぱり答えた。
もともと、父には事業欲はなく、子爵家のロワールの境遇に同情して、娘の頼みを聞き、婿に迎えてくれるようとした欲のない人だ。
侯爵様から受けた大恩は忘れないが、わたしは行方不明のロワールを、グレイス領の港の見えるこの館で探し続け、彼をいつまでも待ち続けたいと思った。
マリアンヌは、マリアンの引っ越しが落ち着いた頃をみはからい、ロワール宛に書いた、侯爵の手紙を大きな薔薇の花束とともに届けた。
手紙の内容は、「行方不明になった恋人を思い、借金のために政略結婚を迫られたいたマリアンを不憫に思い、余命幾ばくもない自分の世話をさせるために彼女を妻に迎えたが、私はマリアンヌと恋人のロワールの幸せを願っている。
これで、私も心置きなく恋人の眠るところにいける。 ロワール殿、彼女の幸せは君に任せる。 この花束を彼女の待っている館に届けてほしい」とのことが書いてあった。
この手紙を受け取ったロワールは思いもしなかったことに泣き、それから赤い薔薇の花束をもって、丘の上の彼女の館に大きな赤い薔薇の花束を届けたのであった。
その後、2人の結婚式は内々だけで密やかに行われたが、前日に2人のためにグレイス侯爵家から、たくさんの薔薇の花と純白な美しいウェディングドレスが送られてきた。
それは、2人の愛が結ばれた、素晴らしい結婚式だった。




