ロワール、ギルドでの最後の仕事、涙色のワイン
正式な依頼が公爵家から出て、裏ギルドは本格的に活動を開始した。
今回の依頼は破格の依頼金が公爵家からでる。 皆、張り切って仕事をしていた。
ロワールは特に元恋人のため、力が入っていた。
彼は、子爵家を監視して、屋敷を出入りする客たちを入念に調べていた。
ロワールは仕事であちこちの社交界に顔を出しているが、最近はこの地の伯爵家の社交界に入り込んでいた。 彼の美しい姿としぐさ、やさしい気遣いは社交界のご婦人の心を掴んでいる。
子爵家の兄も盛んに出入りしているので、どうやらこの詐欺の中心は子爵家の2人と落ちぶれた伯爵家の当主一人のようだ。
彼の兄に極力合わぬように注意しながらの行動だが、母を大切にしてくれとの約束も、2年も前に金のために娼館に売り飛ばした弟のことも、もうすっかり、忘れてしまったらしい。
私は彼等の偽黄金の繭製造の場所を突き止めた、それは今回マリアンの結婚を直前で侯爵に取り上げられた子爵領主の館の近くの倉庫で行われていた。
私達は計画を練り、倉庫を爆破させて、その騒ぎで彼の館に行き、黄金の布を取り戻そうとした。
私に黄金の繭を一つくれた伯爵の奥方の話だと、子爵邸の居間のガラスケースに展示してあるそうだ。
彼女の夫は良く貴族のパーティーで会う同じ伯爵に話を持ち掛けられたそうだ。
その伯爵は、何人もの貴族に話を持ちかけているそうだ。
彼等は、手付金はすでに払ったものもいるが、正式にはまだ、手続きしてない者がほとんどだ。
詐欺の被害がひどくならないうちに早く食い止めないといけない。
ギルドのリーダーと侯爵様との連絡はすでにつき、決行の日の午後、侯爵家の警備兵を10人ほど手配することになっている。
公爵家の警備兵が来る前の僅かな時間が私たちの持ち時間だ。
私達は互いにうち合わせをして、偽の金の繭の撲滅計画をたて、決行した。
爆発音に驚いた、子爵邸の警備員や子爵の男は慌てて屋敷を出て、作業場の倉庫に向かった。
その間に、私たちは彼の屋敷に侵入して、手早くガラスケースを割り金の絹の布地をとり、ガラスを処分した、ついでにそばにあった大金の入った、金庫をそのまま持ち帰った。
そして、5個ほどの証拠品の金箔入りの偽黄金の繭を机の中や棚の箱の中に入れておいた。
一方倉庫は爆発がおき、火の手があがり大変な騒ぎになっていた。
そんな時、公爵邸の警備兵が現れ、彼等を次々捕まえた。
倉庫はほとんど燃え尽きてしまった。 計画では、その後、彼らを子爵の屋敷に連行して部屋の中を調べる手はずになっている。
ちょうど庭の木の影でその様子を見ていた私は、その時、子供の頃に出会ったマリアンの結婚相手の侯爵様と目があった。
彼は、公爵家の警備兵に同行していたようだ。
昔より年をとって疲れているのか顔色が悪かったがその矍鑠とした姿、気品高い堂々とした姿は昔のままであった。
彼は私と一瞬目が合い、私を見つめたように見えたが、気のせいであろう、と私は思った。
今回の裏ギルドでの仕事が終わり、ギルドにはたくさんの報酬が依頼主の侯爵家からでた。
今回の件で私はギルドを去り、母と一緒にマリアンヌ様の好意で侯爵家に店を提供してもらい、今回の私の活躍の報酬としてギルドが手配してくれた花屋を開く予定だ。
母は侯爵家で元気を取り戻し、私が花屋をする際には、手伝ってくれると言う。
恋人だったマリアンにも最後のプレゼントを渡すことが出来て、私は心置きなくギルドでの別れの儀式を受けることにした。
この儀式で娼館でのこと、彼女のため恋人の記憶も消すことを願ってたが、恋人との思い出を消すことには、マリアンヌ様が、大反対したので、私は彼女のことをこれからも心の奥にしまい、生きていくことに決めた。
当日アントニオの時と同じに黒いドレスのマリアンヌ様とロイエンタール様、ギルドマスター、ギルドの仲間に挨拶をして、特に私達を常に見守ってくれた薔薇の花のような、マリアンヌ様にお礼を言い様々なことを思い出だし、溢れる涙を袖で拭った。
その後、私は一気に決別のワインを煽った・




