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黒いドレスの女  作者: 雪風花


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マリアンのために(ロワール)

マリアンの結婚はもうすでに決まっているようだ。   

社交界でも子爵が伯爵を金の力で飲み込んだなどと噂がたえなかった。   

調べたところ、マリアンに昔から好意を持っていた子爵の嫡男は、乱暴者と評判が悪くマリアンの父親もまるで彼を相手にしていなかったが、マリアンの父が病気になり、事業の運転資金に滞りが出て、金策が上手くいかなくなった時、彼が多額の金を融資したそうだ。

そんな多額の金はどうやら、密かに金の繭のまがい物の先物の販売権を売っているようだ。

残念なことに私を売って金を調達した兄も子爵領の運営が上手くゆかず、この話にのっているらしい。   そんなまがい物の話に安易に貴族が乗ってしまうには、まだ侯爵領では噂の段階で正式に販売していない、

本物の黄金のシルクの布をもっていて、サンプル品として、実際見せていて、彼らはその黄金の眩しい生地にすっかり魅了されてしまっているらしい。

私は、何とかその事業に金を投資するという、伯爵夫人に繭の一つを譲ってもらうことに成功した。

ギルドマスターに調べてもらったら、その繭は普通の繭で、上に薄く金箔の金を施してあるだけの完全な偽物だった。      

私の子爵領を管轄している公爵様が金の繭を開発してそれに成功していると言う噂もあり、彼らはそんなところに目を付けたのかもしれない。   

ギルドマスターは、近いうちに、マリアンヌ様の叔父である侯爵様に直接その件のことは問い合わせてみるとのことで、これ以上の調査は危険を伴うので必要ないと私に言った

彼女にためにと、調査した子爵の怪しげな話だったが、この件で私は彼女の婚約者同様になった子爵の男を追い込むことができるかもしれない。   

しかし彼女の架された莫大な借金はどうしてあげることもできない。   

もしこの詐欺事件が明るみになる前に彼女が子爵とすでに結婚していれば、と考えると今の私には彼女を安全に逃がしてあげること以外、してあげられることがないことに、私は頭を抱えた。

そんな時、ギルドマスターから私に呼び出しがあった。

「私の母のいる北の劣悪な修道院から、母をグレイス伯爵邸に引き取ったと言う、知らせを受けた。

そして、マリアンヌ様の叔父にあたる公爵様がマリアン伯爵家の借金をすべて払ってくれた。

そして、彼女と結婚して、彼女の病気に父親も引き取ってくれた」とのギルドマスターの話に、マリアンヌ様は私たちのために最善を尽くしてくれたのだと思った。

今回の件で私に合わせる顔がないと、マリアンヌ様は言っているようだが、私は彼女に対して感謝しかない。   

私ではどうすることも出来なかっ重い彼女の鎖をすべて取り除いてくれたのだ。

彼女には公爵夫人として幸せになってほしい。

昔から、侯爵様は華やかな社交界にはなかなか姿を現さないことで有名だが、彼はもともと華やかな場所は嫌いで、新しい商品を開発した時に商品のお披露目すこしだけ、現われる人だったようだ。

彼は、年はすでに50歳近い人ではあるが、私は子供の頃一度、彼の領地見回りの時、会ったことがある。   まだ幼かった私に優しい笑顔を向け、背が高く威厳があり美しい人だった記憶はいまでもしっかり覚えている。   

私は自分のギルドへの引退と、彼女への最後の贈り物のため、この忌まわしい偽物の金の繭の組織を一網打尽にすることを心に誓うのであった。



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