森の収容所
「大丈夫か?」 ロイは私に尋ねた。 私は静かに首を横に振った。
かりにも昔、妹だと思っていたキャロライン、私は貴族牢で彼女になぜこんなことをしたのか、尋ねたが、彼女はただ、私が憎かったと答えた。
私への彼女の憎しみは、私、および夫の命まで狙い、夫の弟まで巻き込み、こんなことになってしまった。
私は、彼女に、侯爵家に対して損害を出したので、これからはその償いをしながら生きるよう、彼女に言った。 「お姉さまは、いつも私に冷静で残酷なことを言う」それが彼女の私への最後の言葉だった。
翌日、ギルドからの使いで、キャロラインの借りていた家を突き止め、執事のラルフを伴い家を調べたら、絵画の半分は無くなり、屋敷の調度品なのも、半分以上なかった。
彼女の部屋に入ると、私のドレス、宝石は不思議と無くなっているものはなかった。
やはり彼女は私にとって代わりたかったのかな? と私はため息をついた。
彼女に来たであろうドレスは、もう着る気になれず、すべてラルフに古着屋に持って行ってもらうことにした。 宝石は母や父、夫から送られた思い出のものなので、こちらは持ち帰ることにした。
我が家の損出は、大目にみてあげても、彼女の20年の働きに匹敵する。
私は公爵領の罪人収容所でも、一番厳しい、我が領の金や銀の細工をする収容所に送ることにした。
ここは我が領でも、秘密の場所で深い森の中にある収容所ではあるが、食事だけは、囚人と言えど、気を使い、良い材料を使っているので彼女には台所で調理の補助の仕事をしてもらうことにした。
収容所にキャロライン連れていくのは、ギルドから来たリチャードにお願いした。
彼は無口だが、腕はたち、おまけに馬車を操ることにもたけている、信頼できる男だ。
彼女の着ていた私のドレスと宝石は収容所では、身に着けることはないと思うが、彼女への最後のプレゼントとして、彼女の荷物の中にいれた。
次に日、小雨の降る中、馬車が屋敷から出るのを窓からチラッとみかけたが、彼女の姿はすでに馬車の中で、見られなかった。
私の涙を窓辺に飾った白いバラの花だけが知っていた。
夜。ロイに当面ドレスは黒いドレスで過ごすと言うと、ロイは黒いドレスもそそられる。と私に冗談をいってきた。
その日は夜は2人でお茶を飲み、ほとんどなにも話さず、過ごした。
彼の優しい目だけが、私を慰めてくれた。 ロイ、私、ほんとうに疲れたよ。
明日からはまた侯爵夫人として頑張るから、今日だけは、普通の女に戻りたい。
ロイ、お休みなさい。 沢山の薔薇の煙る部屋の中、私は静かに目を閉じた。




