マリアンヌ
奥様はこのグレイス家の公爵夫人でございます。
そしてここは、グレイス邸宅の離宮でごさいます。
私の名はマリアンヌ、グレイス、そしてここは、グレイス邸宅の離宮。
私はゆっくり部屋を見回した。 ベッドわきのサイドテーブルには見覚えがあった。
私はゆっくり立ち、窓越しに庭をみた。
庭には夫と思われる男が、庭師に向かい話をしている。
そこへ馬車が止まった。 馬車から降りた女に私は見覚えがあった。
あれは、キャロライン、かってこの屋敷から、追い出した義理の妹。
夫は彼女と抱き合いキッスを交わしていた。
あ、そうか、私はロイエンタールに裏切られたのか? 私の頭は霧が晴れたように、はっきりしてきた。
私とロイは私が16歳から婚約していた。 父は公爵家の子息と結婚を望んだが、私は、正義感にあふれ、実直なロイが好きであった。 彼は伯爵家の嫡男であったが、家督を弟に譲り、侯爵家に来てくれた。
私と彼は、2年ほど前、私が20の時に結婚したが、世紀の熱愛カップルと噂されたが、まさか2年たらずこんな破局を迎えるなんて、夢にも思わなかった。
キャロライン、彼女は10歳の時から、私の家に住んでいた。 父は母を亡くし、長らく独り身であったが、どうやら彼女の母を愛人関係にあったらしい。
母が死んだのでこの家においてほしいと名乗り出てきたのだ。
父は最初、ためらったが、やがて屋敷に部屋を与え、私に妹だと紹介した。
キャロラインは、花のような美しさで可愛かったので私は妹が出来たと喜んだが、だんだん大きくなると私付きのメイドを勝手に辞めさせたり、次第に我がままになってきた。
私が父に宝石をプレゼントされると、自分も同じようにねだり、それを拒否されると、父の見ていないところで、弱い立場の者達に癇癪を起す。 私はだんだん彼女が嫌いになってきて、あまり屋敷の中でも顔を合わせないようにしていた。 そのうち私の部屋に会った宝石、ドレスが無くなるようになり、
それが彼女の仕業だとわかると父もさすがにキャロラインを叱るようになった。
父はそのころから体調がすぐれず、自分の身辺整理をしていたようだが、その中でキャロラインは自分の子供ではないとの報告を受けた。 父の愛人になる前から付き合っていた男の子供であった。
父は彼女への相続権のすべての放棄を弁護士に依頼した。そして、その半年後に静かに息を引き取った。
葬儀の後、遺言に従い、私が公約家のすべての相続をした後、彼女には屋敷を出て行ってもらった。
父に注意されてもなお、私の宝石、ドレスを盗んでいた彼女に。私の宝石、ドレスをすべて返還させ、
彼女には、自分の宝石、ドレス、小さな家を買うお金と当面の生活費を与えて家を出てもらった。
父は最後まで彼女を正式に認知をしなかったので、これでグレイス家とは何のかかわりもなくなった。
本当は、彼女を訴えてもよかったが、私の結婚式の前に余計なスキャンダルが起きるのが嫌で、穏便に物事を処理した。
彼女は夫のロイに接近したのだ。 さっき庭で見た光景で、キャロラインは。グレイス家の財産をまだ狙ていることを、確認した。 私の背中は、さらに寒い物になった。




