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黒いドレスの女  作者: 雪風花


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地下牢での兄弟

ルシアンは侯爵邸で馬車から降り、いつもとは何か違う気配を感じた。

門番及び、目つきの鋭い警備兵のような男が2人、ルシアンを取り巻き、あとから兄のロイエンタールが剣を抜いて、私の前に歩いてきた。    

兄の怒った顔を見たのは、これが最初だった。      

そして、これが私の最後になるかもしれない。    私は覚悟を決めた。     

何をしてもやはり私は兄にはかなわない。    

そんなこと、最初からわかっていたはずなのに、、、

私は剣を突きつけられ、無言で、兄に従った。       

私は地下にある地下牢に入れられた。

牢に大人しく入ると、兄は剣をおさめ、「ルシアン」と悲しそうな顔で私を見た。

「お前は私を本当に殺そうとしたのか」兄は私に問いかけた。    

私は兄に何か言いたかったが、頭が痛くなり、何も言えなかった。   

兄は「また後で来るので自分のやったことをよく考えてみろ」と私に言い牢を後にした。   

牢は比較的大きく、どうやら貴族牢のようだった。

牢の中には薔薇の花がたくさん飾ってあった。    

その花を見て、私は、自分の愚かさを後悔して涙をこぼした。    

いままで、緊張してたものが体から解け、私は解放されたような気分になり、そのまま牢の中で横になった。      どのくらい眠ったのだろう。    

気が付くと兄と妻であるマリアンヌが2人で牢の前に立っていた。    

兄は私に「お前はどうやら何かの暗示にかかっていたようだ」

今朝から、ここの警備をギルド長にお願いして、馬車から降りたルシアンの様子がおかしかったので、ギルド長にこの牢に来てもらい、調べたら、お前の体から、異国の人の意思を思うまま扱う、薬の匂いを検知したようだ。

(何かこの屋敷で悪さはしなかったか?)     兄は私に子供のように、優しく聞いてきた。

私はとっさに薔薇の花の見て、妻のマリアンヌとのことは、内緒にしようと、思った。

それは、私の一生付きまとう、十字架のような罪だ。

もうこれ以上兄を傷つけることは、出来ないと思った。

マリアンヌは、青ざめた顔で私に「キャロラインは、今どこにいるの」と聞いてきた。

私は「朝、宿屋で別れた」と答えた。    

そして、渡してくれた権利書、事業証書は朝、キャロラインが、私の僅かなすきに持って行ってしまったと答えた。

昨夜キャロラインの勧める酒を飲まずに寝て、私の考えが間違っていたことに気づき娼館に行って兄を取り戻そうとしたが、娼館は、もぬけの殻で、不安な気持ちでこの屋敷に戻ったと、話した。

そう、それなら、良かったと、マリアンヌは、謎のほほ笑みを、浮かべた。


兄は私の体を心配して、食事を持ってくるから、食べたらゆっくり休めと、穏やかな顔で言ってくれた。

2人が牢から去ると、私は子供のようにオイオイ泣いてしまった。

薔薇の花が馬鹿な男も見守るように、花瓶の中で咲いていた。




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