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黒いドレスの女  作者: 雪風花


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15/42

小雨降る侯爵邸

私はその朝、ロイの隣で目覚めた。   彼は私の隣で、よく眠っていた。

薬の影響で、良く寝ているのだろう。   私は温かな彼の体に触れ、安心して、窓の外を眺めた。

小雨が降る中、離宮の庭の薔薇の庭園を眺めた。 

薔薇の花は、雨に濡れキラキラしていた。    

私が庭を眺めていると、メイドのリラが私の部屋の戸を叩いた。

昨夜は、ドアを叩いても、返事がなかったので、また私の具合が悪くなったのか、心配してくれていたようだ。    私は眠っているロイをリラにみせた。     

旦那様は昨夜遅くに、「ローズウッド邸よりお戻りになったのですか」 リラは私に尋ねたが、私は曖昧に首をふった。

すこし庭の薔薇を、彼のために摘んでくるわと、リラに言うと、リラは傘を私にかざし、庭まで一緒に降りてくれた。    

2人で赤い薔薇、白い薔薇、ピンクの薔薇、紫の薔薇、たくさんの薔薇の花を摘んだ。


部屋に戻り、リラが持って来てくれた、花瓶に薔薇の花をたくさん飾った。

花びらは、僅かに濡れて、それはまるで私の安堵の涙のようだった。

やがて、部屋中が薔薇の花の香で満たされ、ロイに似た嫌な男のことが、少し薄れていくようだった。

リラにコーヒーを頼み、ロイが起きたら朝食も一緒にこの部屋で用意するよう頼んだ。


リラが用意してくれたコーヒーを飲んでいる時、ロイは静かに目を覚ました。

私は彼に「おはよう」と何事もなかったようにささやいた。

ロイは「昨夜は、狭い通路を通りこの部屋に来たようだが、あれは夢だったのか」と私に尋ねた。

「あれは代々我が公爵家に伝わる、秘密の通路なの、もうあなたに知られたから秘密ではなくなった」けどね。

今日の夜か明日、あなたの弟がこの屋敷に戻ってくると思うけど、と彼に言うと、彼は弟をもう決して許さないと、私に言った。

私達は朝食を食べながら、彼の弟のルシアンのこと、娼館にいたロイドのこと、今後のことを話しあった。

薔薇の香りのする部屋での2人の密談であった。


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