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第二章 理由なき死
原因は、わからなかった。
ウイルスではない。細菌でもない。放射線でもなければ、化学物質でもない。世界中のあらゆる研究機関が調べたが、死者が蘇る「理由」は何一つ見つからなかった。
ただ事実だけがあった。
人が死ぬ。理由は問わない。病気でも、事故でも、老衰でも。死後およそ三分から十五分で、その体は再び動き出す。心臓は動かない。血液は循環しない。脳波は検出されない。それでも、体は動く。そして、生きている人間を襲う。
四月八日の福岡での一件を皮切りに、同様の報告が世界中から同時多発的に上がり始めた。東京、大阪、ニューヨーク、ロンドン、上海。まるで見えないスイッチが、地球全体で一斉に切り替わったかのように。
WHOは四月九日に緊急声明を出した。
#「原因不明の死後蘇生現象(Unexplained Postmortem Reanimation)が全世界で確認されています」
人々はそれに名前をつけた。日本では「蘇り」、英語圏では古い映画から引っ張り出された言葉――ゾンビ。




