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周りが英雄職なのに俺だけが無職の冒険者  ~ 化け物じみた強さを持つ幼馴染たちの裏で俺は最強になるらしい ~  作者: 咲良喜玖
無職の再出発 大王の先生編

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エピローグ

 どこかの大陸のとある場所。


 「くそ。ゲル! なぜ俺をここに! お前だけ来ればよかっただろう」

 「はぁ。だから、いつまでも、あそこに固執する必要がないと言っただろう」


 ゲルデュスは大きなため息をついた。

 

 「俺はあいつに。ぬ・・・なんだ。まだ」


 腹のあたりがおかしい。

 防御全開で受け止めたのに、ダメージが残っている気がした。

 

 「ほら。怪我をしたんだ。だから無理する必要がない」

 「違う。これは怪我なんかじゃない! これはただ転んだだけだ」

 「腹が紫になるくらいにか?」

 「なに!?」

 

 アミナは自分の腹を見た。

 青痣が大きくなっていく。

 

 「これは、奴の拳か」


 ルルロアの拳の痕が残った。

 奴の攻撃が思った以上であった事に二人が驚いていると、部屋の隅から怪しげな声を聞いた。


 「相変わらず、あなたはうるさいですわね」

 「ちっ。蛇女。お前もいたのか」

 「ええ。でも私(ワタクシ)だけじゃないわよ」

 「なに?」


 ねっとりした女性の声が終わると、カラッとした明るい声が聞こえてくる。


 「アミちゃん。ダメダメ。無理しちゃ駄目よ」 

 「ちっ」

 「舌打ちも駄目。あたしのことを嫌っちゃったら、困るわよ。ねえ、ゲルちゃん」

 「まあ。そうですね。リリス殿に嫌われると大変ですからね」

 「そういう事。じゃあ、お腹見せて」


 声が明るい女性は、笑顔のまま診断をする。

 

 「うん。すんごい。打撲ね」

 「そうだろ。大したことじゃないんだ。まだ戦えた」 

 「ううん。すんごい打撲よ。内臓がちょっとイカレてる」 

 「おい。それは内臓損傷って言うんじゃないのか」

 「そうとも言う」

 「クソ。こいつは、だから面倒だ」


 アミナは、リリスが苦手らしい。

 言葉に押しやられている。


 「アミちゃん。誰にやられたの」

 「知らん」

 「知らない人にやられるくらいに、あなた弱くなったの。あれま・・・幹部やめる?」


 リリスの言葉は良くないが、治療を進める準備をしている。


 「挑発か。それは!」

 「ううん。あたしに勝てるの。アミちゃん!」


 魔力が吹き荒れる。

 まるで風魔法が舞うかのように、アミナの全身に彼女の魔力が刺さる。


 「くっ。リリス」


 防御力がいかに高くとも、魔力には耐性が無くては抵抗が出来ない。

 悔しさを押し殺して、相手の名だけを言って負けた。


 「あらあら。焦っちゃって、可愛い子ね」

 「誰が可愛いだと」

 「ほら、黙ってたら、回復させてあげるから。ほい。聖光(ヒール)」


 リリスは、アミナのお腹の前に両手を出して、聖なる光を加えた。

 徐々に青痣が消えていく。


 「ちっ。腕だけはいいな」


 アミナがイライラしながら言った。


 「それで、あなたたちがいるのは何故ですか」


 ゲルデュスが聞いた。


 「私(ワタクシ)は、たまたまよ。お仕事に区切りが出来たから」

 「そうですか。区切りとは例の件のですか?」

 「そうよ。あの英雄たちからね。ようやく、あの子・・・ルルロアがいなくなってくれたのよ」

 「私も、その報告は知っていましたが、あんなところに奴がいたのは何故でしょうか」

 「あんなところ?」

 「マーハバルですよ。何故あそこに奴が?」

 「そんなところにいたの? 一人で?」

 「ええ。一人でいましたよ。いえ、子供連れでしたか」

 「子供? あの子が?」

 「ええ。そうです」

 「ふ~ん」


 二人の会話が落ち着いたので、リリスが答える。


 「ゲルちゃん。あたしは、ヴィランに呼ばれたんだよ」

 「ヴィラン様に?」

 「うん。呼ばれた」

 「もしや、魔法関係でですか?」

 「わかんない。とりあえず、来いだって」

 「とりあえずですか」


 こちらの二人の話も落ち着くと、アミナの傷も癒えた。


 「これは・・・俺の体はもういいのか。リリス」

 「うん。いいよ。アミちゃんよかったね。あたしがここにいて」


 言いにくそうにして、アミナがお礼を言う。


 「・・・まあ、助かった」

 「はい。よく出来ましたね。お礼言えましたね!」


 アミナの身長が高いので、リリスは風魔法で空に浮かんで、彼の頭を撫でた。


 「くそ。子ども扱いするな」

 「子供でしょ。まだまだ」

 「なんだと」

 「ほら、大人ならこんな事で怒んないもん」

 「ちっ。貴様が賢聖じゃなかったら、俺が捻りつぶしてやるのに」

 「ごめんねぇ。あたしが、賢聖だからさ。可愛いアミちゃんは、戦えませんもんね。相性最悪ぅ」


 賢聖と究極戦士《アルティメットソルジャー》では、相性が最悪だった。

 魔法全般を操る賢聖は、大賢者よりも幅の広い戦闘が出来る。

 攻撃と支援をハイレベルにこなすのが、双方のジョブの特徴であるが、賢聖はそれらに加えて、回復も出来る万能型だ。

 それに対しての究極戦士《アルティメットソルジャー》は防御力が英雄職の中でも上位であるが、魔法耐性が上位陣に入らない。

 攻撃も遠距離武器が少ないので、遠距離を制することが出来ないから、一対一でもアミナの方が不利なのだ。

 それをアミナも知っているから、彼女の前では大人しい。


 「クソ。協力しろ。ゲルデュス。こいつを倒すぞ」

 「嫌です。私は、無駄な戦いはしません。それに相性が最悪なのは、私でも変わらない」

 「ちっ。腰抜けが」


 吐き捨てた言葉に反応したのは、まだ部屋の隅にいる女性。

 壁に体を預けている体勢から挑発をしてきた。


 「協力しようと思うのが、腰抜けじゃなくて、アミナ?」

 「蛇女! 貴様は、こいつと戦えるからって、余裕なんだな」

 「私(ワタクシ)が? リリスと? 嫌ですわよ。面倒な女との戦いは、面倒ですもの」

 「ビーストマスターの癖に、自分では戦わないという事か」

 「ええそうよ」

 

 艶やかな笑みで相手の意見を封じた。

 アミナが黙ると、部屋の扉が開く。


 「お前たち、集まっていたか・・・ん? なぜ、アミナとゲルデュスが?」 


 漆黒のマントに、漆黒の衣装を身に纏う男性がやって来た。

 誰も意見をせずに、彼の移動を見守る。


 「まあちょうどいい所だな。計画を練り直すぞ。四人いるなら知恵も出るか」

 「あたし一人でいいけどね」


 リリスが一歩前に出ると。


 「・・・リリスじゃ不安だ。ゲルデュス。頼む」


 漆黒の男は、すぐさまゲルデュスを頼った。


 「はい。ヴィラン様。おまかせを」


 ゲルデュスが丁寧にお辞儀をすると、リリスが、ヴィランのそばにまで歩く。


 「なんでよ。あたしじゃ駄目なの。頼りないって事!!」

 「そんな事は言ってない。ただ五月蠅いだけだ。頼りはある」

 「ああ。酷い酷い。酷い!!・・・酷い酷い!」

 「既に五月蠅い」


 自分の周りで、ちょこまかと動いて、酷いを連呼するリリスに、頭が痛くなるヴィランだった。


 「はぁ。仕方ない。リリス。お前の策は、どうなった。計画は。それを修正しよう」

 「ええ。最初からそう言いなさいよね」

 「・・・・・」

 

 厄介な女だと、言いたいけど言わない。

 ヴィランは、喉から出掛かっている言葉を我慢していた。

 

 「じゃあ、ここにアミちゃんとゲルちゃんが来ちゃってるから、ジャコウ大陸は辞めたのよね」

 「ん。それは違う。俺は辞めたつもりがない。こいつが引くと言ったんだ」


 アミナが隣にいるゲルデュスを親指で指差した。


 「いいえ。私は、リリス殿の指示で引きましたよ」

 「え。そうだっけ?」

 「覚えてないのですか。ジャコウ大陸、ジョー大陸。双方を得ても意味がない。後で粉砕した方が楽だとおっしゃってました」

 「・・・言ったっけ?」

 「ええ。特にジョーは、テレミア王国だけであればいいが、そこの里の連中が出てきたら厄介だと」

 「里・・・ああ、里」


 これは忘れているなと思ったヴィランが、ゲルデュスと会話になる。

 

 「侍の里か」

 「はい。サクラノの連中を表に引っ張りだしてしまうと面倒だとの事で」

 「たしかにな。あれらは、ジョブに縛られない技を持つ軍団だからな」

 「はい。それに奴らのジョブのほとんどが侍ですしね。戦力としても少し異常です」

 「そうだな。わかった。引いていいだろう。我々はこのまま二大陸を取る動きをしよう。ジョルバ。ジーバード。この二つを先に取って、世界を支配していくことにする。いいか」

 「はい」

 「お前たちはいいか」

 

 二人が頷いてくれたが、隣にいるリリスが頷かない。

 

 「不満か。リリス」

 「不満じゃないもん」

 「言い方が不満そうだぞ」

 「だって、あたしが会議を進めてたのに、ヴィランが勝手に話をさ。進めちゃってさ」

 「拗ねるな。疲れるわ」

 「ああ、それも腹立つポイントになるよ。今日も一日中粘着して、バカバカって言うよ」

 「・・・すまない。静かにしてくれ」

 「初めからそうしてよね」

 「・・・・はぁ」


 がっくり肩を落としてから、ヴィランは宣言をした。


 「まあよい。いいか皆の者。我々黒衣の騎士(ノワクルーラ)が、英雄による支配を開始するぞ。その為にまずは、ジョルバだ。静かに入り込むことにする。リリス。お前に計算を任せるから、前線に入れた者共を自由に扱っていい。ゲルデュスは、その補佐をしろ」

 「いいわ」「わかりました」


 二人が素直に返事をした。


 「お前はどうする?」


 ヴィランが暗闇にいる女性に話しかけると、うっすらとほほ笑む。


 「あの英雄らはどうなった?」

 「ええ。ちょうどいいわ。彼らもジョルバに行くらしいから、その時に、あなたが見極めたら?」

 「そうか。こちら側か。消す側か。その時に決めればいいか」

 「ええ。でも、あなたの魔了でも無理でしょうね。彼らが、あの子を無くしても、彼らってあの子と心で繋がっているからね。あの子の意志が揺るがないから、彼らの意志を曲げるのが無理。おそらくね」

 「まあ、そこもジョルバで考えるとする」


 時代は大きく動き始めようとしていた。

 ルルロアが活躍する時代は、激動の時代だ。

 これから待ち受けるのは、変革の時代である。

 

 

 

 

 

 

 

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