Interlude 7.5
KTS探査部長アルダが来局したらすぐに連絡を。そう言づけて一週間が経ったある日。
内線通知音が鳴る。
「支局長、アルダ部長が定期報告でお見えです。いかがなさいますか?」
待ちに待った連絡だった。
「すぐにこちらに案内したまえ」
動揺を悟られずに、返答できたかはわからない。しかし、そんな事は些細な話。これからアルダに相談する事に比べたら。
「よく来たねアルダくん」
「どうされましたか、テルク支局長。呼出しされるようなヘマは記憶にありませんが」
それは直近の話だろ。君が来局してここに来ないで帰れた回数など僅かなものだ。
案内すると言った職員を、軽く手を振って断り、1人で執務室に歩いて来たのは知ってるんだぞ。この常連め!
「何を言っているんだアルダくん。アルカディアの平和を守る君と語り合いたい。それだけだよ。まぁかけたまえ」
そう言ってソファーを勧める。
「いえ、このままで大丈夫です。あまり長居したい話ではない気がします」
くっ、流石は凄腕探査員として名を馳せていただけの事はある。危機回避能力は安全な都市内においても衰えたりしないという事か。
しかし、逃すわけにはいかん。
まずはアルダに事の重大さをわからせねば。席を立ち背後の書棚の引き出しの鍵を開ける。
中から取り出した、額に入れた書簡を見せてやる。
「なんですか?これ」
「わからんか?ここを見たまえ」
そう言って、手紙の差出人を指差す。
「いや、それは見るまでもないです。姉の字は知ってます」
むっ、流石は弟なだけはある。では、こちらがわからんのか。そう思い、宛名の方を指差す。
「いや、それも別に良いです。流れ的に支局長宛であるのは理解出来ますし、実際見てます。私がわからないのは、なんだってこんな物を額装して保管しているのかって話です」
むぅ。それを言われるのは確かに辛いものがある。
「なるほど。確かに機密文書のような私信を額装するのは、あまり上品なやり方とは言えない。しかし、飾ってないからセーフ。という事にしてくれないだろうか?」
「支局長っ!私が言いたいのは、なんでそんなしょうもないモノを、額に入れて保管しているのかって事です!」
「しょうもないとはなんだ!長官からの直筆の私信だぞ!内容が内容でなければこの部屋の一番良い場所に飾りたいくらいだ!」
「帰ります。私はこう見えて忙しいのです。民間企業を甘く見ないで下さい」
そう言って踵を返すアルダ。
「いや、ちょっと待ってよアルダくん。話をしようじゃないか!」
「付き合ってられません。今度、勧告でも出される機会に、時間があればお付き合いします。それでは」
パタン。
重厚な扉の閉まる音がやけに軽く感じた。
チキショウ、帰りやがった。支局長をなんだと思ってやがる!




