幕間 いっとうきゅうたんさいん
本日は2話投稿しています。こちらは幕間になります。
本編となる第46話も投稿していますので、よろしければそちらもどうぞ。
「シマちゃーん。着いたわよ。護衛ありがとうね」
「うん」
「くろたのむ」
「いわれた」
自主的に護衛を買って出てくれたって聞いたけど。依頼されたという体を取りたいのかしら。
誇らしげに歩脚?を挙げる。でも、おかげでアルカディアからの帰り道は退屈と無縁だった。面白おかしく過ごせた。
街道に現れた浮遊クラゲを、任せて!と出ていって飲まれていたのには笑った。透明なクラゲの中をゆらゆらと泳ぐ小さな黒い蜘蛛。
虫は苦手だったはず。この歳になっても変われるのね。
あら、出迎えに出てくるなんて。役場からこちらへ向かってくる旧友。いや、腐れ縁かな。
「しるふぃーなっ!」
白峰号が見えたのでクロを迎えに出たら、小さな蜘蛛が飛びついてきた。
「シマちゃん?帰ってきちゃったの!?」
「私の護衛よー。探査員登録証だって持ってるのよ」
笑いながらクローディアが降りてきた。
「お帰りなさいクロ、三人はどうだったの?」
「はいはい、ゆっくり聞かせてあげるわよ。それに、お土産あるわよ。シルフィはどうかしら、泣くかな?シマちゃんどう思う?」
笑顔で物騒なことをいう。
「むり」
「よわよわ」
「なに?シマちゃん知ってるの」
「ぼろなき」
手に飛び乗り、大きな丸い眼で私を観察し、なんか失礼なことを言う。
「おぉクロ帰ってきたか。あいつらどうよ。どっちの紹介状使うって?オニゾウはKTS宛を使うって言い張るんだ。そこまで馬鹿じゃないと俺は思うんだけどなぁ」
「しゃちょう!」
「シマじゃねーか。なにしてんだ?」
「いっとうきゅう」
腰のクレイモアに飛び乗るチビな蜘蛛。なりは小さいが、なかなかの大物だ。そのくせまったく驕らない。マサトの奴はこいつを見習えってんだ。すぐ調子に乗りやがる。
いや、今なんて言った?
「一等級ってなんだよ。マサトの奴か?」
「ちがう」
「ししょうはぜろ」
「たんさいんとうろくした」
情報が氾濫してる。こりゃ色々聞き出さないとだ。
「とりあえず事務所こい。都市での話を聞かせろ。ゆっくりしていけるのか?というか、おまえどうやってアルカディアに戻るんだ」
小さな蜘蛛を連れて事務所に向かう。
「ちょっとガルバン!シマちゃん連れていかないでよ。私も色々聞きたいのよ!」
シルフィーナが騒いでるが、こっちが優先だ。
「あー、後で持っていってやるよ」
都市の一等級探査員さまがご帰還だ。まず地元の探査会社だ。
「おにぞう!」
「うぉ?なんだシマ、おまえどうした!?」
一匹の小さくてデカい蜘蛛。楽しかった日々を持ち帰ってきてくれた。ゆっくり連中の話を聞かせてもらうとしよう。




