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第9話 飲み会から帰ってきて連絡しないってどういうことなの?

「ちゃんと座ってくれる?」


いつもより棘のある彼女の声。


どうしたの? と尋ねつつ、彼女の逆鱗に触れるようなことがあったか思い出す。


思い出せなかった。

それが一番困るんだけど。


「一旦、スマホで私との会話を見て?」


『スマホ貸して』ではなかった。

アプリを開き、彼女とのやり取りを確認する。


3日前のヤツなんだけど、という彼女の言葉を聞きながら画面をスクロールした。



3日前の会話:


彼女: 今日飲み会に行くって言ってたよね?

自分: うん

彼女: 友達とだったっけ?

自分: そうだよ

彼女: 女の子いない?

自分: いないよ

彼女: 何時に帰ってくる?

自分: 12時かな

彼女: わかった


『楽しんでね』と最後に彼女が送り、そこで一旦会話は途切れている。


「これを見ても何も思わない?」


スマホから顔を上げて彼女は尋ねる。


「質問繰り返してくるからチャットボットみたいだなって思ったけど」

「いや私の方じゃなくって」


そう思われてるのも心外だけど、と彼女は付け加える。


「私が翌日の朝起きてイヤだなって思ったのが1つあるんだけど」

「朝に確認してイヤな気持ちになったの?」


首を縦に振った。


「返信が単調すぎた、とか?」


ごめん、チャットボットだったかも、と謝る。


「…そうじゃないって」


溜め息を吐いてから彼女は言った。


「飲み会から帰ってきて連絡しないってどういうことなの?」

「どういうこと?」


いや、私が聞いてるんだけど、と零す。


「飲み会に行くのはいいよ?」


別に、と彼女。


飲み会の前日は行って欲しくなさそうな雰囲気だったけど。

それはいいんだね、と言って話を促す。


「何時に帰ってくるのか聞いて、君が12時って言ったよね?」

「うん」

「で、そのあと私は『楽しんでね』って一応送ったわけじゃん」


一応ね、と繰り返す。


やっぱり行って欲しくなかったらしい。


「ちゃんと約束を守ってくれるはず、って思いながら私は就寝したわけ」

「うん」


嫌な流れになってきたな、と思いつつ話を聞く。


「で、朝起きた瞬間にスマホを見たんだよね」


ちゃんと君が12時に帰宅したのか確認するために、と付け加える。


「それなのに連絡の1件も来てないってどういうことなの?」


私がどんな気持ちになったか分かる? と尋ねられた。


「ごめん」

「いや、今回はマジでごめんだけで許すつもりないから」


彼女は腕を組む。


「逆の立場だったら、イヤな気持ちになっただろうなって、」

「なっただろうな、じゃなくって今なってるんだけど」


今なってるんだったらどうしようもない。


「これからはちゃんと帰ったときに連絡するから」

「じゃあ今回のは許せって?」


そういうわけじゃないよ、と応える。



しばらく嫌な沈黙が生まれた。



「じゃあさ、こっちも不機嫌になればプラマイゼロにならない?」

「どういうこと?」


彼女が尋ねる。


「連絡しなかったから今、不機嫌になってるワケだよね?」

「不機嫌ってほどじゃないけど…」


イヤな気持ちになってるだけ、と呟く。

それが不機嫌ってことなんだけど。


「なら自分もイヤな気持ちになれば帳消しになると思うんだけど」

「それ、本気で言ってるの?」


何をしても「私の機嫌取ろうとしてるでしょ」って言われる気がするし。


「で、どうすれば君はイヤな気持ちになるわけ?」


とりあえず聞いておくけど、と彼女。


「2日連絡が来なかったらイヤな気持ちになるかな」

「私は1日なんだけど」


プラマイゼロにならないじゃん、と彼女は呟いた。

特別なあなたへ。

ご覧いただきありがとうございます。

リアクションや感想、本当に嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。


夏野恵

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