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重めの彼女とお話するだけ  作者: 夏野恵


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第71話 ……私は真剣に考えてるつもりなんだけど

「ていうかさ、ウチの実家に来るって話はどうなったの?」


少し枯れた声で彼女は聞いてきた。


今はカラオケボックスから出たあと。

タクシーを待っているときに彼女がおもむろに尋ねてきた。


「まだちゃんと決めきれてないかな」

「1週間近く考える時間上げたじゃん」


考える時間はあってないようなものだった。

でもこの一週間はフェスに行けるってことでテンションが上がってたし。


「行くとしたらいつだっけ?」

「私が帰省する年末とか」

「年末かぁ……」


年末くらいゆっくりしたいんだけど。


「年末じゃなかったらいいの?」

「そういうわけでもなくって……」


だって相手の親に会うってもういよいよって感じじゃん。


「実家ってどこ?」

「だいぶ北だね」


飛行機で行かないとってレベルの場所だった。


「……私は真剣に考えてるつもりなんだけど」


彼女はぽつりと呟いた。


自分も真剣に考えているほうだとは思う。

そうじゃないと、彼女に自分の親を会わせたりしない。


でもその熱量というかタイミングみたいなのが、たまに噛み合わないことがある。


「なし崩しで来て欲しくないから、ちゃんと考えてよ」

「そうだね」


ごめん、と言って頭を下げた。


彼女に謝ったのは久しぶりな気がする。


いや、そんなことなかいかも。

フェスに行く件で10回くらい頭を下げたし。


「じゃあ次会うときにちゃんと言うから」

「オッケー」


軽やかに彼女は頷いた。

雰囲気が一気に軽くなったので胸をなでおろす。


ちょうどそのときタクシーがやってきたので、そこで話を終えた。

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