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重めの彼女とお話するだけ  作者: 夏野恵


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第68話 まだ1時間ちょっとしか会えてないんだけど。

「で、フェスはどうだったの?」

「いやーすごかったね」


彼女に応えてから、飲み物に口をつける。


「何がすごかったの?」

「全部」

「子どもみたいなこと言うじゃん」


実際、全部すごいなって思ったし。


ここはフェス会場からさして離れていないレストラン。

約束通り、イベントが終わってから彼女と会った。


「君ってフェスとかにはよく行くの?」

「数年ぶりに行ったかな」


「へーそうなんだ」と呟いて、彼女は視線を逸らす。


「もしかして行ったことない?」

「……ないけど」


苦々しく頷く彼女。


「それはもう人生の半分損してるといっても過言ではないね」

「君、数年ぶりにフェスに行ったって言ってなかった?」


数年ぶりに、人生の意味を見つけたって言うか。


「何でフェスとかに行かないの?」

「人混み嫌いだし」


フェスの人混みにそこまで不快感は湧かないけどなぁ。


「友だちに誘われたりしないの?」

「私の友だちもそういう場所嫌いだから」


今回のフェスも彼氏から誘われたけど、普通に断ったらしいし、と彼女。


「で、今からどうする?」

「どうするって言っても、ご飯食べて解散とかになるんじゃない?」


現在時刻は21時、ここから何かするってのはしんどい。


「私、まだ1時間ちょっとしか会えてないんだけど」


えーどうしよ。


「じゃあカラオケとか行く?」

「いいよ」

「えっ?」


彼女が頷くとは思わなかったので、少し大きめの声が出てしまった。

周囲の様子を確認してから、彼女に視線を戻す。


「マジで行くの?」

「いや、君が誘ってきたんじゃん」


人混みNG、うるさい場所NG、女の子に目移りする場所NGって言ってた彼女が?


「私もたまには行ってみたいからさ」

「じゃあ、近くのカラオケに行こうか」


最寄りのカラオケボックスを調べながら、彼女に応えた。

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