第54話 とりあえず、将来の話はするから。
「将来の話とかどうする?」
「……やっぱそうなるよねー」
親に聞かれたくないけど、親は聞きたいであろう質問第1位。
実家に戻るだけでハードル高いのに、そこまで考えないといけないのか。
「どうしようか」
「流石にある程度は決めとかないと」
「濁しても良くない?」
「ダメでしょ」
逃げ道を塞ぐように、彼女ははっきり口にした。
「でもさ、親は空気読んで聞かないと思うんだよね」
自分の親のことなら、ある程度わかる。
たぶん彼女に気を使って、将来の話はしてこない。
「いや、それってこっちが言うのを待ってるってことでしょ」
「それもそうかもだけどさ」
こっちが何も言わないことが、別の意味に捉えられる可能性もある?
「……君は、どうするつもりなの?」
恐る恐る、彼女がこちらを見てきた。
彼女を見てから、少し上に視線を向ける。
一呼吸置いてから、口を開いた。
「まあ実家に行くってことは、実質そういうことだからさ」
少しは考えてはいますよって感じ
考えてはいるけど、考えているだけ。
何も行動はしていない。
そう応えると、彼女は少し黙ってから続けた。
「……じゃあ、そういうことにしとく?」
「聞かれたらそう応える、って感じで良くない?」
「さっきも言ったけどさ、向こうは待ちの状態なんだって」
やっぱこっちから言わないとダメでしょ、と彼女。
本当にそうかな?
自分の実家が近づいてきた。
数年前と、あまり変わっていない。
「とりあえず、将来の話はするから」
君も何言うかはちゃんと考えといて、と彼女は口にした。




