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重めの彼女とお話するだけ  作者: 夏野恵


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第45話 別に食べろなんて一言も言ってないから

「これ、めっちゃおいしそうじゃない?」


肩を叩いて彼女はこちらにスマホを見せてきた。

SNSの投稿らしく、でかでかとアイスの画像が載せられている。


「チョコミントアイスじゃん」

「そうだけど」

「え、チョコミントアイス好きなの?」

「うん」


マジで? と訝しむ視線をに向けると、彼女は少し不機嫌そうな表情になった。


「もしかして君、アレ?」

「アレって?」

「チョコミント否定派?」

「まあ」


否定派ではあると思う。


いるんだよねー、と呟いて彼女は話し始めた。


「まず質問なんだけど、チョコミントアイス食べたことある?」

「討論するときみたいな雰囲気だね」

「そういうのいいからとりあえず答えて」


彼女の目がガチだったので「一回だけ」と答える。


「そのとき食べてどう思った?」

「え、言っていいの?」


とりあえず言ってみてよ、と呟いて彼女は腕を組む。


頭の中で彼女にとっての正解を考えたものの、「嘘吐くのやめて」と言われてさらに拗れそうだったので、素直に応えることにした。


「なんでわざわざ歯磨き粉を食べてるんだろうって思ったかな」


でた歯磨き粉、と言って彼女は足を組み替え、不服そうな表情になった。


チョコミントと言えば「歯磨き粉の味みたいであんまり」みたいな話を聞く。

自分も最初に食べたときにそう思った。


「まあ歯磨き粉っていうのはまだわかるんだよね」

「そこは良いんだ」


ミントだから歯磨き粉っぽい味はしなくもないような気もするし、と遠まわしに肯定する。


彼女もチョコミントアイスの味を歯磨き粉だと思っている節はあるらしい。


「その上で私は聞きたいわけ」

「なんて?」

「『あなたは歯磨き粉をおいしいと思わない人間なんですか?』って」

「……え?」


歯磨き粉の味でチョコミント議論を勝負する人は初めて見た。

普通はチョコミントの味は歯磨き粉じゃないって否定するものじゃないの?


「え、歯磨き粉っておいしいの?」

「味は好きだけど」


清涼感あって良いじゃん、と彼女。


「……なるほどねぇ」


歯磨き粉の味が好きだからチョコミントが好きっていう主張、強すぎない?

チョコミントを歯磨き粉っていう人たち無言になっちゃうよ。


「……でもチョコミントアイスが食べたくなるかどうかで言えば、別に食べたいとは思わないかな」


討論っぽい雰囲気だったから、一応反対意見を出すことにした。


「別に食べろなんて一言も言ってないから」

「あーたしかに……」


チョコミントアイスを食べたくない人が勝手に食べたくないって言われてるだけだし、と彼女は呟く。


「じゃあチョコミントアイスをよく食べてるの?」

「私がってことだよね?」


もちろん。


「まあ月に1回か2回くらいかな」

「少なすぎない?」

「いや、毎日アイスを食べられるわけないでしょ」


それはそうなんだけど、チョコミントアイスを高頻度で食べてそうな雰囲気だったから。


「そもそも毎日清涼感を味わう必要ないじゃん」

「毎日歯磨きしてるから?」


そうだよ、と彼女は頷いた。



歯磨きってチョコミントアイスを食べる代わりになる?

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