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重めの彼女とお話するだけ  作者: 夏野恵


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第42話 君の親はどういう人なの?

「ピザとピッツァの違いって知ってる?」

「あー知らないかも」


でもピッツァのほうがおいしそうだよね、と付け加える。

ちょっと調べてみようかな、と呟いて彼女はスマホを取り出して調べ始めた。


昼ご飯を食べるため、近くのイタリアンレストランに来ている。

思ったより混雑しているため、料理が来るのに時間がかかりそうだ。


「ピッツァはイタリア語でピザが英語って感じらしいよ」

「じゃあ発音が違うってだけ?」

「そうかも」


日本ではニュアンスがちょっと違うらしいけど、と彼女はスマホを見ながら呟いた。



しばらく雑談をしていると、少し離れたところから子どもの泣き声が聞こえてきた。


店中に子どもの高い声が響き渡る。

少し遅れて親が周りに頭を下げていた。


よくある光景といえばよくある光景だ。

電車に乗っているときに子どもが泣き始めることもしばしば目にする。


声のする方に顔を向けると、3歳くらいの子どもだった。


視線を戻すタイミングで彼女と目が合った。


「どうしたの?」

「いや、別に」


子どもってすごいなと思って、と彼女。


確かに、あの身体の小ささであれだけの声を出せるというのは見落としがちだがかなりすごい。大人でもあそこまで声を出すことは難しい。


彼女は子どものいる方向をちらっと確認してから、小さな声で話始めた。


「こういうときさ、君だったらどうする?」

「どうするって?」


自分の子どもが泣いてた時にどうするかって話、と補足する。


「あの親御さんみたいに普通に謝るかな」

「ふーん」


彼女は良いとも悪いとも言わない返事をした。


「お気に召しませんでした?」

「何その言い方」


普通に興味があったから聞いただけ、と彼女。


そこで一旦話は終わり、何となく赤ちゃんの声がした席に視線を向けた。

父親が子どもを抱えつつ、母親がスプーンで料理を掬っていた。


「なんかいいね」


視線を戻すと、彼女もその親子たちを見ていた。

赤ちゃんはイヤそうにしていたが、最後にその料理を口にした。


「子どもの頃から食べてたら偏食も防げそう」

「やっぱ子どもの頃に何食べたかって結構重要だったりするのかな」

「らしいよ」


触感が嫌いっていうのも、子どものときの影響だったりするらしいし、と補足する。


彼女は友だちと育児の話をするらしいから、子どものことにはそこそこ詳しい。

そしてたまに子どもの話をされる。


「じゃあ好き嫌いは完全に子どものせいではないってことかな」

「まあ親御さんの行動も関わってくるだろうね」


だからああやって色々食べさせようとしてるんじゃないかな、と彼女。


「でも泣いてるのに無理やり食べさせるのって結構きつくない?」


特にこういう場所で泣かれると困ってしまいそうだ。

自分なら泣かないで食べてもらうように努力すると思う。


「そうかもだけど、やっぱ子どもの健康にも関わってくるからね」


病気とかになられるのが一番困るだろうし、泣かれることを承知で食べさせてるんじゃない? と付け加えた。


やっぱ親ってすごいんだな。

まさかイタリアンレストランで理解することになるとは思わなかった。


向こうのテーブルに視線を向けたときに親御さんと目が合った。

軽く会釈されたのでこちらも会釈した。


丁度その時、注文した料理が運ばれてきたので受け取る。

従業員がテーブルから離れてから、彼女が口を開いた。


「君の親はどういう人なの?」

「そうだね……」


料理を食べながら自分の親の説明を始めた。


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