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重めの彼女とお話するだけ  作者: 夏野恵


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第40話 自分ひとりでできることを一緒にいる時間にしても意味ないじゃん

「これからどうするの?」

「今のところは何も考えてないかな」


プランを考えていたのは昨日だけ。

今日は本当に予定がなかった。


「こういう日ってさ、君はいつもどうしてるの?」

「暇なときってことでしょ?」


彼女は頷く。


「まあSNSに上がってる動画とか見て時間潰してるかな」

「そんなもんだよね」


暇な時間があるから資格の勉強頑張ろう、っていう気持ちにはならない。

だから、そういう人を本当に尊敬している。


「あとはゲームしたりするかな」

「アレでやってるの?」


彼女は壁を挟んだ向こう側にあるゲーム機を指さす。


かなり前に発売されたゲーム機だ。


そのゲーム機の後継が発売されて以降、中古の価格がかなり下がったのでやっと手に入れることができた。商品の状態は悪かったが、問題なく使えるので最近は暇つぶしにゲームをしている。


「まあそうだね」


最近は使ってることが多いかな、と付け加える。


友だちとPCゲームをすることもあるが、ここ一週間で言えばあのゲーム機の方が格段に長くプレイしている。


「何ができる?」

「やりたいの?」

「うん」


暇だから、と彼女は付け加えた。


ソファから立ち上がり、ゲーム機をこっちに持ってくる。


「友だちの家に行ったときに触らせてもらって結構楽しかったんだよね」

「あーいつも言ってる友だち?」

「そうそう」


彼女の言う友だちは基本的にひとりだ。

大学からの付き合いらしい。


会ったことは一度もない。


「操作方法とかわかる?」

「まあ大体は」


彼女にゲーム機を渡してソファに腰を下ろす。


スマホを取り出して再びSNSを見ようとすると—


「いや、一人で遊ぶわけないでしょ」


ゲーム機から顔を離して彼女は呟いた。


「これって2人でプレイできるんでしょ?」

「まあできるけど」


なら2人でしようよ、と彼女。


「2人でできるゲームってどれだっけ?」


そのゲーム次第かな、と付け加える。


「このスポーツゲームは2人でできそうだけど」


スクリーンをこちらに向けてきた。

たしかにはっきり「二人用」とは書いているけど…………


「朝から動くのってきつくない?」


2人でできるからと言っても、したいかどうかという問題は別。

正直、早起きしすぎてかなり眠い。


できれば寝たいとさえ思っている。


「え、しないの?」

「まあしないかな」


そっか、と呟いて彼女は再びスクリーンを見る。

一安心してSNSを見ようとすると—


「じゃあコレはどう?」


彼女が見せてきたのは某人気レースゲームだった。


「これなら動く必要ないじゃん」


一緒にできると思うんだけど、と彼女。


「一人でもできない?」

「なに、したくないの?」

「したくないっていうか、気分じゃないっていうか」


別に一緒にしたくないってわけじゃないんだけど、と補足する。


「えーじゃあもう映画見るとかでいいよ」


一緒にできなかったら意味ないし、と呟いて彼女はゲーム機を向こうの部屋に持っていった。



彼女が戻ってきてから、気になったことを口にした。


「ていうかさ、そんな一緒に何かする必要ある?」

「今そんなこと言う?」


ちょっとは空気読んでよ、と言いながら彼女はソファに腰を下ろした。


「こういうときの午前中って基本何もしないわけじゃん」

「まあしないね」


彼女が自分の家に泊まりにくるときは、基本的に自分の生活リズムに合わせてもらっている。


起きるのは正午過ぎで、用があれば午後から出掛けるという感じ。


「でもせっかく午前中に起きたんだし、何か一緒にしようって思わないの?」

「まあ思わないかな」


個人的にはいつも通り過ごせたら満足だ。


しかし彼女はそうではないらしい。


「自分ひとりでできることを一緒にいる時間にしても意味ないじゃん」


だから一緒に何かするのが生産的だと思うわけ、と彼女。


「生産的?」

「うん」


彼女は頷く。


こちらが引っかかるフレーズを出してきた。


正直自分は「生産的」というフレーズにかなり弱い。

「生産的じゃない」と言われると修正した方が良いという気分になってしまうのだ。


「で、何するの?」


生産的な午前中を過ごす方法を彼女に尋ねてみることにした。


「ゲームする気分じゃないんでしょ?」

「まあ気分ではないね」


正直に答える。


「それなら映画を一緒に見ようかな」

「映画を見るのって生産的なの?」


一緒に見るのは生産的だから、と呟いて彼女はサブスク配信の映画一覧を開いた。


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