第4話 なんでエッチなショート動画に高評価してるわけ?
「とりあえずスマホ、見せてもらえるかな?」
いつもより優しい言い方だけどめっちゃ怖い。
「今はちょっと・・・」
「とりあえず目を見て話そうか?」
正面まで来て腕で顔を固定された。
「とりあえずスマホ、見せてもらえるかな?」
もう一度繰り返された。
「・・・どうぞ」
そう言ってスマホを彼女に手渡す。
こうなったのはソファにいるときに高評価リストが彼女の視線に入ったから。
「こういう感じのが好きなんだ?」
スクロールして目についたものを再生している。
「好きって言うかたまたまで・・・」
「そんなことある?」
そう言ってスマホをこちらに向ける。
露出度の高い服を着た女の子が踊っている15秒程度の動画。
「なんでエッチなショート動画に高評価してるわけ?」
ていうか君の好み、だいぶ偏ってるね、と彼女は呟いた。
「見るなとは一言も言ってないからね?」
流れてくるのはしょうがないし、と付け加える。
「ただ、なんでこういう動画に高評価を押してるのかっていうのが知りたいだけ」
高評価を押すのは自分の意思でしているわけじゃん、と言葉を足す。
ちなみに今、彼女の手の中でショート動画が何度も繰り返し再生されている。
雰囲気に場違いなBGMが何とか間を持たせてくれた。
「作完成度の高さに感銘を受けて、ぜひ今後の動画制作の一助に、と・・・」
「あーそれはまあ良いんじゃない?」
作ってる方はリアクション貰った方が嬉しいと思うし、と付け加える。
あれ、思ったより肯定的。
それはいいんだけどさ、と言って続ける。
「この動画のどこら辺に完成度の高さを感じたわけ?」
「どこら辺、というと?」
「この露出度の高い女の子のダンス動画の、具体的にどこに対して完成度の高さを感じたのかなって」
丁寧に説明してるけど、すればするほどだった。
「まぁ正直、コレに高評価を押してるのも別にいいんだけどさ」
私、そんなので嫉妬する重い子じゃないし、と言葉を足す。
まさにその重い子だと思うけど、という言葉は飲み込む。
「そういうのが偶然目に入ったら、私がどういう気持ちになるのかっていうのをちゃんと考えたのかなっていうのが気になるんだけど」
そう言ってこちらを見る。
「・・・考えてはいなかったです」
「じゃあ私が今、どういう気持ちになってるか言ってみて?」
「嫉妬、とか?」
「いや、嫉妬するわけないじゃん」
そう言いながらスマホを返してきた。
動画を止めてBGMを消す。
「こういう動画の子を見て嫉妬するって10代までだし」
高校を卒業するくらいの年齢になったら、こういうのを見ても嫉妬とかしなくなるから、と付け加える。
「そもそもこの動画、ちゃんと確認した? めちゃくちゃ加工強いじゃん」
こんなのほぼ二次元と同じようなもんだし、私と比べてどうこうっていうのを考える時点がおかしい、と早口で説明された。
「じゃあどういう気持ちになったの?」
「私が?」
うん、と頷く。
「・・・別に、何とも思ってないけど」
ぼそっと呟いた。
あれ、今なんの話してたんだっけ?
特別なあなたへ。
ご覧いただきありがとうございます。
リアクションや感想、本当に嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。
夏野恵




