第36話 君が好きなものは私も持っておきたいし
「『あれがデネブ、アルタイル、ベガ』ってヤツ知ってる?」
「なにそれ?」
プラネタリウムから出た後、お土産ショップで話をしながら商品を眺める。
「あ、コレとか結構良くない?」
彼女は二個セットのスノードームを見せた。
それぞれ別の種類に見える。
「へぇ、おしゃれだね」
「君の褒める語彙、『おしゃれ』以外ないの?」
とりあえず「おしゃれ」っていっておけば何とかなるとは思っている。
「でもアレだね、おしゃれだね」
「だね」
ふふっと彼女が笑ってから頷いた。
「これ買う?」
「うーん、もうちょっと見させて」
彼女は別のコーナーに向かった。
ぼーっとさっきのスノードームを眺める。
5センチ程度のかなり小さめのものだった。
お値段も500円程度。
これは買いだ。
「スノードーム、そんなに気に入ったの?」
「うん」
落ち着いた感じがすごく好き。
「コレは?」
そう言って見せてきたのは2個セットのマグカップ。
「なんかペアのヤツ多くない?」
「そうだね」
でもペアの方が買ってくれる人多そう、と彼女。
マーケティングの妙ってヤツかな。
「で、マグカップはどうするの?」
彼女の持つ商品に指さして尋ねる。
「君、一ついる?」
「貰おうかな」
貰えるものは貰っておこう。
「スノードームはどう?」
彼女に5センチ程度の小さな宇宙を見せて尋ねる。
「どうって?」
「一ついる?」
「君がそんなに好きだっていうんだったら、一つ貰おうかな」
「普通さ、好きだったら貰わないって答えない?」
そうかもだけど、と呟いて彼女は続けた。
「君が好きなものは私も持っておきたいし」
「強欲だね」
そうかも、と彼女は笑った。
「じゃあ会計に行こうか」
「うん」
二つの商品を持ってレジに向かった。




