第34話 さっきまで熱く語ってたじゃん
「プラネタリウムって何時までだったっけ?」
「21時30分までらしいよ」
「で、一番最後の時間帯のを予約したって感じ?」
そうだね、応えてから飲み物を一口。
結局、食事はプラネタリウムから一番近い回転寿司チェーンに決めた。
デートの雰囲気に合っていないというのは分かるけど、電話予約ナシで入れるお店っていうのが最優先事項だった。
なんとなく電話予約するのはハードルが高い。
今回はプラネタリウムの電話予約だけで済ませた。
「あ、それとって」
「オッケー」
えんがわの皿を二つ取った。
「一つでよかったけど」
「こっちは自分用」
「君ってえんがわ好きだったっけ?」
「あんまり食べないね」
でも今日はちょっと挑戦してみようかなって、と言って口の中に入れる。
「どう?」
こちらを見て尋ねる。
「これがえんがわかぁって感じ」
「なにその感想」
彼女もえんがわを食べた。
「おいしいって思う?」
「うん」
コリコリしてる感じが好き、と彼女。
「コリコリっていうよりシャキシャキじゃない?」
「いや、シャキシャキは野菜でしょ」
君の擬音、たまにおかしいときあるよね、と言って彼女が続ける。
「物事が円滑に進むこと、擬音でなんて言ってたっけ?」
「ツルっと」
ふふっ、と笑ってから彼女が口を開いた。
「普通サクサクでしょ」
「サクサクってスナック菓子じゃん」
サクサクってイメージじゃないんだよね。
「お金がないっていうのは?」
「スカスカ」
「皆カツカツっていうじゃん」
みんなそう言うよね。
おかしいのはみんなだと思うんだけど。
「でも財布にお金がなくってスカスカは分かるでしょ?」
「まあわかるかな」
「それと比べて『カツカツ』ってどこから来たのって話」
残り僅かです、ってことじゃないの? と彼女。
「そう、それなんだよね!」
「なんでいきなり元気になったの?」
珍しく大きめの声を出したので驚いたようだ。
気にしないで続ける。
「財布じゃなくって別の何かをイメージして『カツカツ』って擬音がでるわけでしょ?」
「うん」
「それは難しいって」
いつも思ってたんだけどさ、と呟く。
いつも思ってたんだ、と言って彼女は続けた。
「他にそういうヤツないの?」
「あるよ」
例えば? と話を促された。
「閃いたとき『ピッカーン』みたいな擬音あるじゃん」
「あるね」
実際に口に出すことはないけど、と彼女。
「閃いたからって電球が光るイメージ全然湧かないんだけど」
「じゃあどういうイメージ?」
「閃いただけで、それ以上でもそれ以下でもないかな」
「え、なんでいきなり冷めたの?」
さっきまで熱く語ってたじゃん、と呟いて彼女はえんがわのもう一貫も口に入れた。




