第31話 じゃあ大人な私の言うことちゃんと聞きなよ
「なんでピーマン箸で取ってるの?」
「嫌いだからだけど?」
「え、なんでそんな自信満々なわけ?」
自信満々っていうか、事実だから。
ピーマンが嫌いという事実はどうしようもない。
フードデリバリーでピザを頼んだ。
そのピザに意味わからないけどなんか乗っているピーマンを取っている最中。
「君、ピーマン食べられなかったっけ?」
これまで外食でピーマン出てきたことあった気がするけど、と彼女。
「出てきたのはさりげなく渡してるからね」
コレとかおいしいよ、って言って彼女にパス。
そして彼女はおいしく頂く。
ピーマンを食べたくない自分。
おいしく食べる彼女。
これこそ利害の一致。
「マジで気づかなかった・・・」
彼女は溜め息を吐いて続ける。
「野菜は食べたほうが良いって」
「いや食べてるよ?」
「最近食べた野菜は?」
「・・・フライドポテトのポテト」
それは野菜に入らないって、と彼女。
「いや別に嫌いだけど食べられないってわけじゃないよ?」
食べようと思えば別に食べれるし。
「じゃあこのピーマン食べなよ」
そういって取り皿にピーマンをポイポイ投げ込む。
「・・・ちょっと、マジでやめて」
「なんでそんなガチっぽい雰囲気出せるの?」
顔、マジじゃん、と彼女。
「何か嫌いな食べ物ないの?」
「私が?」
「うん」
彼女は腕を組んで考え始めた。
「・・・まあないかな」
「雑食系ってヤツじゃん」
そんなタイプ初めて聞いたんだけど、と彼女は呟いた。
「でもさ、なんか聞いたことない?」
「なに?」
とりあえず話を促す。
「自分で一から育てた野菜はおいしく食べることができるって」
「自分で育てても嫌いなものは嫌いだから」
取り付く島もないって感じだね、と彼女は笑った。
「とりあえず、このピーマンは食べないから」
そういって彼女の取り皿に流し込んだ。
いや別にいいんだけどさ、と言って彼女が続ける。
「なんていうのかな、好き嫌いない人の方が大人って感じするけど」
「なら大人じゃなくっていいかな」
「開き直ったね」
じゃあ大人な私の言うことちゃんと聞きなよ、と言って彼女はピーマンを口に入れた。




