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第15話 だから私も子どものこと、ちゃんと好きになろうかなって

「私の友達の話なんだけどさ」

「それって実は自分のことだったってヤツ?」


違う、と一瞬で否定された。


「正確に言えば友達の友達の話を聞いたって感じ」

「それはそれで怖い話の導入だけど」


とりあえず黙って聞いて、と言われてしまった。


黙って聞くことにする。


「私の友達の友達って赤ちゃんがいるらしいのね」

「らしい?」


直接会ったことはないという。


「で、今は絶賛育児中らしいんだよ」

「それはそれは」


想像するだけで大変そう。


「赤ちゃんの話す言葉って普通分からないじゃん」

「分からないね」


泣いてたら何かしらストレスを感じているんじゃないかって思いそうだけど。


「でも、赤ちゃんが何を話しているか分かるっていうアプリがあるんだって」

「そんなのあるの?」


Baby Translatorって調べれば何個か出てくるよ、と彼女は補足する。


「ちょっと調べてみていい?」

「いいよ」


アプリストアで検索してみた。


「マジでたくさんあるじゃん」

「ね」


私も初めて知ったんだけど、と呟く。


「それで?」

「友達の友達はそれで自分の子どもが何を話してるのかを見ながら育児をしてるらしいのね」


合理的だね、と応えた。


「それを使ってる中でちょっと疑問がわいたらしいんだよ」


お母さんが抱っこしているときと、お父さんが抱っこしているとき、自分の子どもはどう思ってるのかなって、と彼女は説明する。


「かなり好奇心旺盛なご家庭だ」


私もそう思う、と応えた。


「で、そのアプリで何を言ってるのかを比較したらしい」

「なるほど」

「お母さんが抱っこしているときは『嬉しい』みたいなポジティブな言葉だったらしいんだけど、お父さんが抱っこしているときは『疲れた』しか出なかったんだって」

「心中お察しします、って感じだね」


お父さん、かなり傷ついただろうな。


お母さんの父親が抱っこした時も『疲れた』だったみたいで、絆が少し深まったという別の話もあるらしい。


「・・・まぁ、それは世間話として」

「本題ではないの?」


彼女は頷いた。


「君って子ども好き?」

「好きよりの普通かな」


10段階評価で7くらい、と補足した。


「なんかぱっと見好きそうだもんね」

「そんな風に見える?」


少なくとも子どもに好かれやすそうな顔はしてるよね、と彼女。


どんな顔?


「私は正直、そこまで好きじゃないかも」

「そんな雰囲気出してるよね」


どんな雰囲気? と彼女に聞かれる。

上手く説明できないけど、何となくわかるでしょ?


「友達の友達もなんだけど、自分の子どもができたら子どものことが好きになるらしいんだよ」

「へぇ」


生物学的なヤツなのかな、と応える。


「だから私も子どものこと、ちゃんと好きになろうかなって」

「頑張って好きになろうとする必要ないと思うけど」

「いや、そういうことじゃなくってね」


彼女は説明を始めた。


分かりやすく言うと、友達との子ども関連の話にちゃんとついて行けるように子どもに関することへのアンテナを広げたいらしい。


真面目だね。


「これから、私が子どもの話することあるだろうからよろしく」

「ここでもするの?」

「もちろん」


アウトプットが大事って授業で習わなかった? と尋ねられた。


「それはそうだけどさ」

「そうだけど、なに?」

「・・・いや、まぁいいよ」


興味はあるし、と応えた。



でも彼女と子どもの話するのってなんかアレじゃない?

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