表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
教育者×フライパンスキルで、ゆるっと領地再生します!?  作者: 宙子
王都にて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/65

令嬢が列をなす舞踏会

 

 数日後。


 小さな規模ではあるけれど、任務達成のお祝いが開かれるらしい。

 近隣の国からの使者たちを、もてなす目的もあるみたいだけど。


 アイリーは、すっかり元気になっている。ただ……。


「まあまあ、このクセっ毛……!ちょっと、じっとしていてくださいます!?」

「イーヤーだ、もう十分だよ!」

「素材はいいんですから、絶対!おキレイにしてみせます」

「余計なお世話っ」


 王宮御用達だという、腕の立つ美容師兼スタイリストに目を付けられ『大改造』されそうになっている。


 スタイリストさんは、口ひげとあごひげがあり、カールした腰くらいまでありそうな髪を、後ろの低い位置で品よくまとめている。服装もきちんとしていておしゃれ。


 ドレスの打ち合わせなど、もう何度か会っているけど、いつも洗練されたおしゃれなスタイルで、何というか女子力が高い。そこらのオンナでは敵わなさそうと思うほどに。そのうえ、とっても話しやすい。



 それにしても、ドレス……!元の世界でも1度も着たことがなかったのに。夢みたい。


 白地に、銀に光るレースや刺繍、控えめなリボンがあしらわれたドレスに出会って以来、頭を離れない。


 あ、アイリーが、また窓から脱走した。

 スタイリストさんが、うらめしそうにジロッと私を見てくる。


「ぅ……、捕まえてきます」

「ヨロシク!ナガメさん」



 当日。華やかな装飾がほどこされた広々としたフロアで、簡易的な儀式の後はごちそうとお酒を楽しむ。


「もしかして、あの方?」

「北の洞窟の事件を調査したって、本当なのかしら」

「普通の人にしか見えないわよね」


 話し声が聞えてきた。宝石箱をひっくり返したみたいな装飾品に、生地がつやつやのドレス。いかにも都会のお嬢様という感じの女性が6人くらい、固まっている。ウワサ話にしては音量が大きい。


 いつもと違って動きにくいドレスだからか、アウェーだからか、変に気になる。

 居心地の悪さを感じて、どこか隅の方へ……と思っていた時。


「皆さん、おしゃべりが過ぎませんか?」


 ダークブラウンの髪をシニョンにまとめていて、品のいいブルーグレーのドレス。

 スキのない身のこなし。この人も都会育ちって感じする。


 女性はこちらへ近づいてきて、ニコッと笑顔になった。


「カタリーナ・ヴァレンティです。

 ケーコ・ナガメさんですよね。

 先日の洞窟探索、改めましてお疲れさまでした」


 ドレスや髪形のせいで、すぐには分からなかった。


「カタリーナさん、私のほうこそお世話になりました」

「私、王宮を拠点に冒険者をしているんです。カイ様のサポート役も、何度も務めています。今後はどうぞお見知りおきくださいね」

「はい、よろしくお願いします」


 ニブい自覚はある私でも察した。これは、カイ様を巡ってのけん制だったり・・・するのかな?

 それに、周囲からの声がイヤでも耳に入ってくる。


「カタリーナ様だわ!何て素敵なの……」

「国内で30名に満たない、冒険者ランクSというのは本当かしら」

「パーティはお嫌いのハズなのに、いらしているなんて珍しいですね」


 カタリーナさん本人は涼しい顔で、気にする様子がない。


「ふふ、固くならないで楽しまれてくださいね。この間のご活躍とてもお見事でしたわ。

 そちらのドレス、よくお似合いです」


 にっこりと笑うカタリーナさん。ローブ姿とのギャップもあってか、同じ女性から見ても魅力がありすぎる。


「ありがとうございます……!」


 気に入っていたから、素直に嬉しい。


 唐突に音楽が鳴り響くと、ダンスが始まった。

 え、ダンス?聞いていないし、ノー練習……。


 そばにいたドワーフさんと、踊ることになった。

 驚いたことに、といったら失礼なんだろうけど、とっても紳士的で落ち着いた振る舞い。ダンスのサポートも、お上手だった。


 私がドワーフさんの足を3回は踏んでしまったのに、顔にも出さないなんて。

 静かに怒ってた説はあるけど。


 アイリーは、なぜか女性とも踊っている。

 しかもお相手の女性、まんざらでもなさそう。


 ドレスをイヤがっていたのは知ってるけど、まさかパンツスタイルで参加するとは予想外だった。

 ただ、衣装のセンスはいい。

 スタイリストさんも、ノリノリで送り出したらしい。……あきらめてヤケになっただけ?


「わっ……!」


 ただでさえ慣れないドレスのスソを、誰かに思いっ切り踏まれた。転ぶと思った瞬間__


「大丈夫?」


 腕をしっかりと掴んでくれたのは、カイ様だった。


「はい、ありがとうございます……!」


 おかげで、転ばずに済んだ。

 周囲を確認したけれど、スソ踏み犯の姿はない。声もかけないってことはワザとだろう。小さくため息をつく。


「ナガメさん、私と……踊っていただけますか?」

「もちろんです!」


 そのまましばらくの間、カイ様とダンスをした。

 足を踏まないようにするので一杯一杯だったけど、さっきまでの成果はでていたような。



「カイ様、次はわたくしとお願いしますわ!!」


 綺麗で、スタイルのいい女性が申し込んできた。

 気づいてなかったけど、順番待ちの女性の列ができている。……スゴい。


 カイ様が、少し申し訳なさそうな表情を見せたので


「私に構わず、どうぞ」


 と言っておいた。


 申し込んできた女性は見るからに、上流階級のお嬢様。

 高い位置で結い上げた髪、薄桃色のボリュームあるドレス。お似合いだし、優美・優雅という言葉がぴったり。


 カイ様は、カタリーナさんとも踊っていた。

 親しい様子で、何かささやきあっている感じもする。


「……はぁ」


 急に、寂しい気がしてきた。勧められたフィンガーフードを、つい色々と頂く。

 ……果実のピンチョス風、強めのお酒漬けだったみたい?


 少し暑い。会場の隅に立っていると。


「ここにいたのか、ケーコ」


 と声をかけられた。仮面をしていて顔が分からない。誰……?


「僕だよ」


 仮面を少しの間だけ取って、顔を見せてくれる。


「!リオネル様。……このような場にお招きいただき、ありがとうございます」


 リオネル様が微笑む。


「当然です。それだけのことをして頂きました。

 それにしても、ケーコが無事でよかった」

「ありがたいお言葉、励みになります」


 しばらく話をしていると、側に来ていたアイリー。

 彼女は、意外なことを言い出した。


「リオネル……王子。貴方が?」

「はい。ケーコのご友人ですか?初めまして」


 紹介をしながら、なぜか少しハラハラした。

 アイリーの様子が、いつもと違う。


「声……その声に、聞き覚えがある」

「……?」

「アイリー、どういうこと?」


 問いかけてハッとした。

 もしかして、先日の洞窟で、言っていたこと……?だとしたら。


「リオネル様。ご無礼を承知で、お願いがあります」



少しでも面白いと思って頂けたら、ぜひブックマークお願いします。

⇩にある『☆』タップで評価をもらうと励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ