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教育者×フライパンスキルで、ゆるっと領地再生します!?  作者: 宙子
研鑽

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奥の手


すぐに追いついた。

カオススライムの動きは、うって変わって緩慢だ。


ただし、巨体には変わりない。そして、見た目がハンパなく恐ろしい。


ギュルギュルと音を立てて、巨大な目玉が(まばた)きしている。

魔法陣も明滅(めいめつ)を繰り返し、現れては消える。


「弱体化、と形態変化を止めることに、成功したと思います」


スライムの周りを、弧を描くように移動しながらミルヴァンさんが言う。

ちょっと息が切れているのが気になるけど。



「はぁ、ただ……決め手に欠ける。ナガメさんの火魔法に、かけてみましょうか」


「は?何言ってんだ!逃げるぞ」


アイリーがたまりかねたように大声を出す。


「ダメです!言ったでしょう、この魔物は戦闘パターンを学習する。

次に遭遇するときこの方法は効かない!それが、私たち以外の誰かかもしれない。

どうなると思いますか?必ず、ここで始末する必要がある」


「……っ。やれるのかよ!?」


「ナガメさん、火魔法を使ってください。いいですね?

……の前に、これを飲んで」


と、投げてよこされたのは今までよりも大き目の赤い液体の瓶だ。

バフをかけろってことね。


急な変更すぎるけど、言ってることは理解できる。



「手加減ナシ、全力で行ってください!」


アイリーが小刀を投げ、再び自分にターゲットを切り替えさせたようだ。良い判断だと思う。


その勇気が、私の背中を押した。

心の中で最大級の炎をイメージし、カオススライムに向けて放つ。




幸運にも、炎はスライムの巨体を捉えた。威力は、恐らく中程度だけど。


「続けてください!できる限り」


ミルヴァンさんの指示の通り、私は攻撃を繰り返す。


2回、3回、4回。



知っている限りの業火。それが勢いを弱めず、真っすぐ向かっていくイメージ。

これなら大丈夫かも?


次の一手。ただ、残念ながら、威力はそんなに変わっていない気がする。



しかも、炎を内包したカオススライムは、明らかに活発化。

ひと回り以上も膨張し、周囲に音を立てて炎をまき散らしている。



戦闘慣れしているはずのアイリーが、走りながらたじろぐ。


「ホンットーーーに、大丈夫なんだろうなっ」


「信じてください、次!!」


そうするより他ない。私は再び、炎をイメージする。


意識しすぎなかったことが幸いしてか、これまでで最も迫力ある炎になった。


作り出したことに驚きながら、慎重に方向を定めて放つ。



距離はあるけど、今なら……!


炎が命中すると、カオススライムは何かが勢いよく千切れるような音を立て、さらに膨張した。


(ま、まさか爆発……!?どうしよう、逃げなきゃ)





「フロスト・バインド!」


鎖状の氷が、オレンジ色に膨張したカオススライム全体に撒きつき、数秒後にパッと爆ぜた。



無数の細かい欠片が、降り注いでくる。


急いで顔を背けたけど、少し吸い込んでしまい、むせた。

アイリーもゲホゲホ、と咳き込んでいる。



「今の、氷魔法……だよな?」


と、アイリー。私はうなずき返した。

しかも、かなりの威力だったと思う。


ミルヴァンさんは……こちらに目もくれず、核の回収に夢中みたい。


嬉しそうに大きな瓶を取り出し、呪文を詠唱している。




街へ戻る道中、ミルヴァンさんは笑顔で話してくれた。


「私は、水属性魔法の使い手なんです。

さっきの魔法は予備詠唱にとても時間がかかるのがネックですが。

まぁうまくいきましたね!」



先に言え!というアイリーのツッコミを、それから3回は聞くことになった。



ミルヴァンさんは、周辺を見て回り、水魔法でカオススライムが噴出した炎を消してくれた。

沼地という条件も手伝い、拡がっていなくてよかった。



「……ところでナガメさん、フライパンを召喚して貰えますか?」


とミルヴァンさんが言うので、召喚すると。


「やはり、召喚前と後では防御力が300ほど上がりますね。しかも、防御スキルが新たに加わっていますよ」


「え、そうなんですか」


「だな!さっき、ナガメの目の前でデカい複合体がストップしたのはそのせいっぽいし。

……で、どうやったんだ?」


「うーん、防御したいとは思ったけど、必死だっただけかも」


「心で念じる系かー」



2人には分かるんだ。ただ、鑑定の精度は保証しないとのことで、リッドさんまたは冒険者ギルドで見てもらうよう勧められた。



滞在2日目の夜も、即寝落ちした。



ところで、ここへ来るついでに依頼されている食材を忘れるところだった。

手ブラでは最悪、また舞い戻らないといけないだろう。


1つ目は、湿地にしか生えないキノコ。

2メートル近くあり、巨大なエリンギみたいな見た目だ。


「これ、キノコなのか……?」


とアイリーは絶句していた。

煮て食べるとジュワッとしていて風味が濃い。



2つ目はカタツムリに煮た生物。

見た目がちょっと……で、冒険者も観光客も採取しない。

ほぼ手つかずなので生息域を拡げがちだ。


ただ、蒸すととろみのあるソース状になり、味付け次第では絶品に化ける……らしい。



珍しく、アイリーが涙目で食べたくない!を連発した。


召喚したフライパンを使い、浄化したから大丈夫、と言ってほんの少しだけ器に載せたら食べた。

しかも、けっこう気にいったみたいだ。



少しでも面白い、と思っていただけたら、ぜひブックマークを。

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