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教育者×フライパンスキルで、ゆるっと領地再生します!?  作者: 宙子
招かれざる客 - 光と影 -

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28/65

怒られちゃったよ・・・


 翌日。約束なので農地のほうへ行くと、管理官の女性が駆け寄ってきた。


「ナガメ!土の手触りがぜんっぜん違うよ!ふかふかだ」


 めちゃくちゃ嬉しそう。あ、名前ちゃんと覚えてくれてる。


「これまでに見たこともないくらいの実りが得られるよ。

もう、アンタが通ってくれなくても大丈夫そうだ。

……あ、来てくれるのはいつでもカンゲイだけど!これまで、ホントにありがとうねえ」


 うっすら涙ぐんでる?手を握られ、ブンブンと勢いよく振られた。

 な、なるほどー、そう来た。


 他の管理官も、明らかに張り切っている。


「早速、種を植えるんだ!たっぷりの水と、肥料も」


 ……昨日のブラヴァートさんの話には、続きがある。

 屋敷の一部を中心に、注入していた闇魔法を解除しておいた、という。ただ、屋敷の外部はすぐに元仲間に察知(さっち)されないよう、効果を弱めただけにしておくそうだ。


「あの、これよかったら!」


 と、私は持っていた物を管理官の女性に手渡す。


「ん?何だこれ……うわぁ、いいニオイだねぇ。

それに、この見た目。飾っておこうかしら」


「作ってみたんです、石鹼(せっけん)。飾っておくのももちろんいいですが、お手洗いの時に、どんどん皆さんで使ってください。また、持ってきます」


「ふーん、手を綺麗にするため……か。

わかった、他の者にも言っておくよ」


 メイドさんたちからの要望もあり、ハーブでつくったものだ。

 

 けっこういい出来だと思う。

 材料は、豚の脂・木の灰、そして香づけのハーブ数種だ。


 私はフライパンをマントに忍ばせるように持ち、屋敷の農地一帯と、動物たちのもとを歩いて回る。

 心の中で、願いを込めながら。これは、リネンさんの案。

 

 期待通りに浄化の効果がでれば、さらにうまくいくだろう。

 ……とくに効果がなければ、ただのちょっとイタい人だ。でも……


 農地管理官たちが、前にも増してイキイキしているのを見ると、この人たちに任せていればもう大丈夫だと思える。


 ただ、誰のマネごとなのか、彼らが


「よしよーし、よーしよし!」


 と(いた)る所で作物や動物に接しているのを見ると、いたたまれない。


 ……まあーでも、やらないより効果あるかも。


 作業を終えた管理官が、手洗いをしているのもよく見かける。

 うんうん、これはいいことだ。


 小屋にミルダを見に行くと、見ちがえるほど綺麗にされ、だいぶ元気そう。

 以前は1匹だったけど、4匹も増えて、合計5匹になっていた。チーズづくりに、静かな意欲が見える。


 私は管理する人たちに、よくブラッシングをするよう勧めた。

 図書館の本で、方法はインプットしておいたので、実演もしつつ。


 それに、改めての話になるけど、動物に触る前後は、手を洗うことも。清潔にするのが本当に大切だから。

 

 皆、真面目に話を聞いてくれる。この様子では、飲み込みも早そう。

 _____________


「ナーガメちゃーーん」


 ミュリの声だ!呼びかけられるのは、初めてかも。

 パッと顔をあげると、キラキラの音が降り注いできた。


「お屋敷がね、すっごくキラキラ輝いて見えるよ。

土や生き物たちも、息を吹き返したね!

私は信じていたけど。実力を持ってて、あきらめない人達がお屋敷には沢山いるのだもの」


「あ、私もそう思います。尊敬できる人に囲まれてるなーって」


 ミュリのいる天界からの(なが)めってどんなだろう。見てみたい気がする。


 ただ……さっきから、ミュリの声に、いつもの元気がないような?



「……もしかして、何かありました?」

「あ、わかる~?私ね……ちょっとやりすぎって、言われてしまいました~~」

「?誰からですか」


「私たちを監視してくださっている、イリディ様というお方。

とっても賢くて、お綺麗なんだよ。

でもね、たま~にすごく恐くて」


「そんな方が、いらっしゃるんですね」


 ()()()()()()()()()、という表現がミュリならではすぎる。尊敬の(あかし)だろうか。


「そうなの。だからね、ホンットにごめんなんだけど、しばらくは本当にすこ~しのお手伝いしかできないよ~」

「い、いえ、十分ですよ!

お屋敷用に貯蔵している小麦だけでも、来年の冬まで余裕で()せるって、執事長さんが言われていましたよ」


 ミュリの『ちょっと』は今までがぶっ飛びすぎていたから。


「そうかな?でも私、ナガメちゃんや、お屋敷の皆のこと見守っているからね!」

「はい!ほんとありがとうございます」


「……はぁ、私もイティ(あめ)、食べたいな~」

「!まだありますよ。皆で毎日、作ってますし」


 料理人の特権かも。厨房に顔を出したメイドさんにおすそ分けするだけで、すぐなくなるけど。今日はまだ、あったハズ。


「えっ、いいの?じゃあ、おイノリしてくれる?」

「もちろんです。けど……どうすれば?」

「お供えモノを前に、ナガメちゃんのお好きな感じでおイノリしてくれれば!」

「分かりました!」



 厨房の保管庫へ行き、イティ飴を3つと、アッポのジャムを1瓶抱えて戻る。

 このくらいなら、大丈夫だろう。


 部屋のテーブルに置いて、手を合わせる。……こうかな?それともこう?


「届いたよ~!わぁ~っ、すごいね、とっても綺麗!美味しそうっ」


 ミュリがはしゃいでいる。声にキラキラが戻った感じ。

 ……テーブルの上のイティ飴とアッポのジャムは、まだそのままあるみたいだけど……。


「さっそく頂いちゃう!ホントにありがとナガメちゃんだーい好き。またねっ」


 大好き?大好きって、言われちゃった。

 私にHPとMPがあるなら、いまはきっと120%だ。




 少し後でアイリーが戻ってきたので、話をすると


「会いたかったなーー!呼んでくれよ」


 と何度も言っていた。

 

 テーブルにあったイティ飴をパクッと口に放り込み、開け放った窓から空を(あお)いでいる。

 アイリーの気持ち、きっと伝わってる。



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