表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
教育者×フライパンスキルで、ゆるっと領地再生します!?  作者: 宙子
友と過ごす刻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/65

執事長セラフィ様



 

 農園管理官のほうで、心当たりはないのかという話になった。

 官長らしき身なりのいいヒゲの男性が、帳簿を取り出して推理を始める。


「ここは、ルチェ園にしようという計画があった、と記録にある。ただし、うまくいかなかったようだな。ギフォがたまりやすく、土に影響しているせいだ。芽吹かなかった種が埋まっている可能性は高いが、相当前の話だ」


 私はハッとなった。きっとそれだ。ミュリスティアの力で、奇跡めいたことが起きたんだ。

 というか、あの『フッ軽女神様』なら、やりかねない。


「ナガメさんの言う火魔法が本当なら、地面に放ったことでそこだけ浄化された……?オホン、いや、うーん」


 管理官長が言い、腕組みをする管理官たち。


 そこへ、見知らぬ男性が現れた。白髪で、執事服を身に着けている。穏やかそうな外見。


 そういえば執事は数名いると聞いていた。この方が、『執事長』なのだろう。

 リネンさんの話では、領地の管理業務と屋敷内すべてにおいての調整役だから、めったにお会いする機会がないのだ。


「セラフィ様」

「執事長……!」


 その場にいた全員が、改まった姿勢になる。この人物に一目置いていることが、見て取れた。


 セラフィ様は眼鏡に手をやり、しばらくの間、木を観察しているようだった。


「これは、稀にみるルチェの木ですね。季節を問わず、これから色んな種類の実がつくでしょう」


 1本の木に、同時期にさまざまなルチェの実。とんでもない話だ。セラフィ様は続けた。


「私は若いころ、王宮の大書庫でルチェの木に関する記録を読んだことがあります。かなりの短期間で実りをもたらす、特別な木があると。人知を超える何者かが直接、関与しているというお話です」


挿絵(By みてみん)


「それでは……この実りは、神様がくれたものだとでも……?」


 農園管理官長の男が、困惑したように言う。


「どうなんです?ナガメ」


 と、ルーヴァンさん。急に、話がこっちに向いてきた。慌ててしまう。


「え、えーと……」


 セラフィ様の眼鏡の奥の目がこちらを向いている。なんだかドキッとした。


「あぁー、私、夢を見ていたのかも、なんて。アハハ……」


 と言うしかなかった。あとで、ミュリスティアに確かめよう。


「まあ、古き時代の言い伝えでしょうね。結局は私にもわかりません」


 ニコ、と笑うセラフィ様。それで、場の空気が一気に和んだ。


「せっかくのルチェなので、味見をしましょう!」


 と、ルーヴァン。ペティナイフを持ちだしてきたようで、用意がいい。料理人たちが手際よく、皮をむいて、試食会になった。


「うーん、甘い!この香り、最高」

「ちょっと、酸っぱくないか?」


 口々に、感想を述べている。私も食べてみた。知っているオレンジと同じくらい美味しい気がして、満たされる。


 この世界で、この実はオランというらしい。あまりに豊作なので、街の市場へも卸す話が出ていた。活気のない市場を彩ってくれそうで、とってもいいことだ。


 ところで、料理長ルーヴァンは、私が火魔法を使えるということだけ、しっかりちゃっかりインプットしたらしい。


「ナガーメ、明日からは点火の担当もお任せしまーす!きっちりやってね」

「はいぃ」


 ……まあ、そのくらいはやれる。前の世界で教員だったころに比べたら、ここで起こることのほとんどは楽勝だ。


 ________________


 ミュリスティア、もといミュリに呼びかけたら、しばらくしてこたえてくれた。


『はいはーい、私、お水をあげておきました!』


 やっぱりだ。私は心の中で、頭を抱える。そんな私に気づいていないのか、ミュリスティアは説明した。


『あのね、天界の人々は、地上の人々にキホン、干渉(かんしょう)できないの。それは、生き物や作物、大地にも同じ。ただ、もともとそこにあったモノに、すこーし手を加えるだけなら大丈夫!』


 すこーし、にしてはやりすぎだ。どんな聖なる水を使えばああなるんだろう。


『ナガメちゃんが魔法で浄化をしていたから、ずいぶんラクできたよ。それにね~、歌も聴かせたの!ルチェの苗木ちゃん、すっごく喜んでくれたみたい』


 つまり、火の魔法直撃で焦げた(浄化された?)あとに、たまたまルチェ園計画のころのこぼれ種があり、ミュリがすこーし手を加えたってことらしい。

 苗木ちゃん喜んでた?苗木の気持ちまでわかるんだ……。というか、ちゃんづけ……。


『あのね、ナガメちゃん』


 ミュリが、ちょっとかしこまったような声で呼びかけてきた。


『ナガメちゃんの想いが、すごいの。イティや作物、動物のときも、ナガメちゃん信じてくれたでしょう?実る、良くなるって。無意識でも、それは通じるものなの。それって、この世界のほとんどの人にはできないことなんだ』


「……はあ」

『あ、信じてくれてないー!』

「いえいえいえ、ハハハ……」


 ほんのり嬉しいけど、ムリやりにしか聞こえない。奇跡を起こしているのは、99%ミュリだと確信がある。


 でも助かる。果物……じゃなくルチェは、いくらあってもいい。そのままかじるもよし、盛り合わせならおもてなしに最適。ジュースや保存食にもなる。


 ルチェの木がこれからも様々な実をつけるところを想像したら、ヨダレがでそうになった。

 そして、誰が起こした奇跡かを追及(ついきゅう)するのも忘れた。



少しでも面白い、と思っていただけたら、ぜひブックマークを。

↓にある『☆』をタップしてもらえると嬉しいです!


おジャマ説を知り、イラストを一部、整理しました。(公開済みを含む)

戻すことも可能なので、コメントで希望があればお伝えください~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ