表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/41

閑話 娘が欲しい侯爵夫妻

閑話です。読み飛ばしていただいても、本編に影響はございません。

「こんばんは、エルローザ嬢。」

「こんばんは、セヴラン様。本日もよろしくお願いします。」


 形式的な挨拶は程々に、ふたりはセヴランの馬車に乗って城へ向かった。


「贈ったドレスを着てくれて、嬉しいよ。良く似合っている。」

「ありがとうございます。このドレス、グラデーションがとても綺麗ですのね。」

「以前の可愛らしいドレスも良く似合っていたが、今日のような落ち着いたドレスもまた、良く似合うな。」

「セヴランさんも、今日のお召し物もとても素敵です。」


 もし今、セヴランのもうひとりの友人であるオスカーがこの場に居れば「これが友人の会話か!?」と叫んでいたはずである。


「そういえば、以前のドレスも、今回のドレスも、セヴランさんが選んでくださったのですか?」

「ああ。君に似合うと思ったのだ。」

「そ、そう、ですか。」

「ローザ?」

「いえ。」


 エルローザは準備中に話した侍女たちとの会話を思い出した。


―お相手のお色を身に着けるのは恋人の証ですもの!―

―同じ色と素材の衣装を着けるカップルも多いのですよ!―

―婚約式の定番でもありますし!―


 セヴランはそれを承知で、彼の瞳の翡翠色や髪の黒色を選んでいるのだろうか。そう思うと、顔が熱くなったけれど、それを聞くことは出来なかった。


「‥‥今日は、セヴランさんのご両親、サジテール侯爵ご夫妻もいらっしゃるのですよね?」

「ああ。」

「それでは是非、ご挨拶をさせてください。こんなにセヴランさんに良くしていただいておりますのに、まだちゃんと挨拶もしたことがないだなんて、本当に申し訳ありません。」

「気にしないで良い。それに‥‥。」

「?」

「いや‥‥母上は少々勢いが良い女性だから、その、ローザが驚いてしまわないかと‥」

「もしかしてセヴランさんが、会わせようとしていなかった、ということですか?」

「あ、ああ。すまない。」

「‥‥、私は、侯爵夫人にお目にかかるに値いしませんか?」

「そんなことはない!断じて!そんなことはないとも!」

「でしたら!挨拶させてください。」

「ぐ‥‥わかった。」

「はい。」



 そうしている間に、夜会の会場である城へ到着し、ふたりは広間へと向かった。

 皇族への挨拶を終えると、エルローザの希望の元、すぐにサジテール侯爵夫妻の元へ向かった。



「初めまして、アニュレイ伯爵令嬢。ベルトラン・サジテールです。」

「初めまして、ニコル・サジテールよ。セヴランの申し出を受けて下さって嬉しいわ。」


 上の者から発言するのが貴族の礼儀である。セヴランの両親、サジテール侯爵夫妻はにこやかにふたりを迎えた。

 エルローザはサジテール侯爵夫妻に対して丁寧にカーテーシーをして名乗った。


「お初にお目にかかります、サジテール侯爵、サジテール侯爵夫人。セヴラン様にエスコート願えるとは、光栄なことでございます。」

「まあ、エルローザ嬢。そんなにかしこまらなくて良いのよ。セヴランの‥‥ご友人ですもの!私とも仲良くして欲しいわ。」

「母上、」

「いいじゃない、セヴラン。こんな可愛らしいお嬢さんをひとりじめしていたのですもの。ね、エルローザ嬢、今度家にいらっしゃい。一緒にお茶をしながらお話ししましょう?」

「光栄です、侯爵夫人。私でよろしければ、是非。」

「あら、侯爵夫人ではなく、おか‥」

「エルローザ嬢!」

「っ!?」


 セヴランが侯爵夫人の声を遮るように声を出した。少しだけ大きく、唐突であったので、名を呼ばれたエルローザはビクッと一瞬返答が遅れる。


「は、はい、セヴラン様。」

「驚かせて申し訳ない。‥‥私と一曲、踊ってくださいますか?」

「え、ええ。喜んで。」


 何事かとエルローザは思ったが、セヴランはひとつ咳払いをして、優雅に手を差し伸べた。紳士が淑女にダンスの申し出をする礼である。エルローザは不思議に思いながらもその手を取った。


「では、父上、母上。私たちはこれで失礼します。」

「‥お話の途中で申し訳ございません。」

「気にしないで、エルローザ嬢。家に来て欲しいというのは、本当よ?是非いらしてちょうだいね。」

「はい、是非。楽しみにしております。」


 エルローザがそう言って微笑むと、侯爵夫人の後ろで侯爵が頷いた。それからセヴランがエルローザをエスコートしながら、ふたりは会場の中央へ向かった。




「‥‥少し気が早かったんじゃないか。」

「だって、あなた。見ているこちらが、もどかしくなってしまったのですもの。」

「それは分からんでもないが。」

「すごく良い子だわ。早く娘になってくれないかしら。」

「そればっかりは、セヴランに頑張ってもらわねばならんからな。」

「あら。あなただって娘に「お父様っ!」って呼んでもらいたい願望がお有りでしょう?」

「む‥‥。」

「アデーレちゃんも娘になってくれたけれど、フェリクスがあまり連れてきてくれないのですもの。息子が3人もいるのだから、娘も3人くらい欲しいわぁ。」

「‥‥‥‥うむ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ