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約束  作者: おがわかなた
8/10

約束 第8話

「やだっ、ぎりぎりになっちゃった」

橋上は会社に入ると、急いで、コートをハンガーにかける。

机の上の掃除などを終えた時、内線電話が鳴った。

「まずい、もう約束の時間じゃない」

彼女が入り口の扉の開けると2人の男性が立っていた。

一人は身長が高く、好青年である。

一般的なスーツを身にまとっている。

もう一人は平均的な身長、少し目が釣りあがっていて恐さを感じる。

こちらの青年はブランド物のスーツであった。

身長の高い青年が声をかけてきた。

「おはようございます。

 ご依頼頂きました厚川探偵事務所の者です」

橋上は二人を会議室へ通した後、お茶を入れるため一度退出した。

「どうした、光矢?」

「あぁ」

「何か、感じるのか?」

「少し、な」

その時、橋上がお茶を持ってきた。

「私、厚川探偵事務所の助手の針谷影下(はりやかげもと)と申します。

 この者が、代表の厚川光矢(あつかわこうや)です」

二名分の名刺を影下が渡す。

以前の失敗から、このような形式になった。

影下が全てを仕切る。

一方の光矢は何かに集中しているようだった。

電話が気になるようだった。

「今日調査をお願いしたいのは、先日から続いている奇妙な電話のことなのです。

 だいたい、8時15分頃に電話が来ます」

時計を見ると、8時10分を差している。

橋上は説明を続ける。

「いつも、何も聞こえないので、1分ほどで電話を切ってしまいます。

 それが、毎日続いています」

時計の音が部屋を支配する。

そして、ついにその時がやってくる。

ただでさえ、音が大きい電話が、部屋中に響き渡る。

橋上は電話をとる。

「はい、ジュフィ電機です」

しかし、橋上は黙り込んでしまう。

影下も受話器に耳を近づけるが何も聞こえてこない。

しかし、光矢には何か聞こえたようだ。

影下から受話器を奪い、耳を当てた。

しばらく、電話の相手とやりとりをし、光矢は受話器を置いた。

「何か、分かりましたか?」

「・・・・・・」

光矢は、黙り込んだままだった。

その様子を見て影下が話し始めた。

「橋上さん、残念ながら、霊障のようですね」

「そうですか・・・・・・」

そのやり取りを聞いた光矢が口を開く。

「あんたは、これが霊障であることを感ずいていたんだよな?」

「・・・・・・」

橋上は少し涙ぐんでいる。

「おそらく、それが原因であることは間違いない」

「・・・・・・」

彼女の目には涙が溢れていた。

声を上げてなくことはなかったが、彼女の感情はもはやこの場所にはなかった。

「そうでなければ、俺たちになんか依頼しないもんな。

 あんたはどうしたいんだ」

「光矢!!」

影下が光矢を制する。

光矢は少し不満顔をするが、影下はそれを気にせず橋上に近寄る。

椅子に座らせ落ち着くのを待つ。

橋上はようやく落ち着き、話ができるようになった。

影下が

「結論から言わせて頂くと霊障であることは間違いないです。

 光矢、場所は特定できたんだよな?」

「下矢田駅だ。

 今日、休むという連絡だったがな」

その時、橋上が同様の表情を見せたのを影下は見逃さなかった。

「心あたり、あるんですね?」

「……」

「あなたは、どうしたいのですか?」

「えっと……、私は」

時計の音のみが部屋を支配した。

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