3、出口
幸多は黙った。
彼女が今にも泣きそうなそんな顔をしているからだ。
「私、我慢するよ。こーたが痛い思いすることないよ?・・・だから、
「うるっっせぇぇぇ!!!」
幸多はバミューダを引き剥がした。
立ち上がって叫んだ。
「俺は、助けるって決めたら助けるんだよ!!!!」
喉がつぶれると思うほどの大声だった。
「いい加減にしろ、小僧。」
バミューダが剣を幸多に向けている。
「じゃあ、聞くけどな。なんでハッピーをここから出しちゃいけねぇんだよ!」
「フン、この際だから話しておいてやる。その子はな、」
バミューダは唇を思いっきり引き結んだ。
「その子は自分以外幸せにできない。」
「? それ、どういう意味だ・・・よ」
幸多から嫌な汗が出る。
「彼女は生まれたときにもう疫病神と決まっていたんだよ。いいか、自分しか幸せに出来ないなら他人は間違いなく不幸せ、不幸だ。」
バミューダもカインもおそらくハッピーもこのことに気づいていた。
本当は彼女を出すことが出来た。
だか、他人の幸をとるわけにはいかなかった。
ギリッと奥歯をかみ締める音が聞こえた。
「それが、なんか理由になんのかよ。テメェらのやんなきゃいけねぇことってハッピーの幸せを考えてやることだろォが!!どんなに頭でわかってもどうしようもねぇだろ」
幸多は心の底からそう思った。
「出来るのか?」
唐突にカインが口を開いた。
「お前にその子、ハッピーの不安、不幸を取り除けるのか?」
バミューダが止めようとしたが、カインは続けた。
「俺は初めてこの子を託そうと考えている。お前に出来るのか?」
幸多は歯を見せて笑った。
「出来るかどうかじゃねぇよ。やるんだ。」
そう、答えた。
「・・・・・・。了承した。ついて来い。」
カインは早足で動きだした。
幸多は何も言わず後をついて行った。
カインは目的の場所で止まった。
「この扉の中にあの子を外に出せる装置がある。この装置は気に入ったものしか扱えない。失敗すればお前はあの子を出すことは出来ない。」
「はッ、ようは選ばれたやつしか扱えないとかってお決まりのもんかァ。」
カインは息を吐いて。「ああ。」と答えた。
「この扉ごと、ここを破壊しろ。」
幸多は黙ってしまった。
「いやー、鍵をなくしてしまってな。開かないんだ(棒読み)」
(こ、コイツ確信犯か・・・っ!)
ふひーっと幸多はため息をついた。
「ああ、もー、わかった。ぶっ壊せばいいんだろ?」
幸多の左目の炎が右手に移った。
そのまま扉を殴った。
轟音とともに扉が破壊された。
「うっしゃ!壊れた!」
幸多はガッツポーズをした。
「やかましいからさっさと行け。ハッピーを本当に守れるんだよな?助けなんか俺に求めるなよ。」
カインはそう言って口を閉じた。
そして幸多がカインに向かって言った。
「────」
ふっ、と笑って幸多は走って行った。
カインはしばらく呆然としていた。
幸多はハッピーのもとに行った。
「さぁ、もう外に出れるぜ。一緒に行こう。」
スッとハッピーに手を差し出した。
彼女も強く少年の手を握った。
異世界の穴に勢い良く入っていった。
―そう、ハッピーは出ることが出来た。幸多と言う救世主によって。




