2、エターニアリング
人間界では異世界で何が起きているかなどわからない。
「幸多ー?いないのー?」
一香が幸多を探しに屋上に来た。
「おー、一香ちゃん。やあ!」
お昼を食べ終わった入野が屋上にいた。
「入野いたんだ。ねぇ、幸多知らない?」
「幸多なら早退したよ。具合でも悪いのかな。とりあえずここには幸多はいないよ。」
「そう、ありがとね。」
一香は聞いた後パタパタとかけて行った。
入野は携帯を取り出した。
「フン。やっぱりね。」
目を細めて笑った。
「さて、僕も早退しなきゃ。先生に言うのはだるいから黙っとくか。」
一方、異世界では
「言うだけあるではないか。逃げ腰だけは褒めて遣わそう。」
「こ、のぉっ!」
ハッキリ言えばそうだ。
人間が怪物などに勝てるわけはない。
況しては剣をもっている怪物に勝てるわけはない。
かれこれ十五分くらい逃げている幸多。
そろそろスタミナが切れてきた。
そんなときだった。
「こーた!エターニアリングを使って!」
ハッピーの声がした。
「何だ?そのえたーにありんぐって」
「さっきポッケに入ってたやつだよ!中指にはめるの!」
幸多は逃げながらポケットに手を突っ込む。
指輪は黒一色のものだ。
言われるがまま幸多は中指に指輪を入れた。
その後だった。幸多に異変が起きたのは。
指輪をつけた途端スタミナが戻ってきた。
しかもそれ以上の力を使えるようになっていた。
そしていつもの幸多と決定的に違うのは、
「おぉ?燃えてんの?これ」
左目から黄金色の炎が出ていた。
ハッピーはものすごい笑顔になった。
「やった!こーたにリンクした!こーた、そのまま倒しちゃって!」
リンクと言う言葉が気になったが、
「おうよ!」
「ま、さかこの小僧エターナルの力を手に入れたのか。人間が・・?そんな・・・馬鹿な。普通の人間なら体が粉々になって肉の塊になるはずだろう・・・、
何故だ!貴様が選ばれた人間なのか・・・。まさか!そんなわけない。ありえるものか・・もしそうなれば終わりだ!世界が・・・」
バミューダが頭を抱えた。
ガシャッと剣が落ちた。
ブンッと風を切るような音がした。
穴が開いたのだ。異世界の、
「ふぅ。バミューダが唸る所なんて生きてる限り見れないと思っていたのだがな。どうやら違ったらしい。しかも人間がここにいて、
なおかつリンクしている。こりゃおもしれぇなァ!」
口にマスクをした男が幸多の前にたった。
「こんにちは俺はカイン・ドラン。よろしくな。ああ、自己紹介はしなくていい。知ってるから、キミのこと。」
幸多の左目から漏れる炎が目の前にいるソイツはヤバイと言っているようだった。
しかも、何を思ったかソイツからは懐かしさが感じられた。
会ったことがある・・・?
幸多はその考えを一瞬で否定した。
「その子、ここから出られないのにキミはどうやってここから出す気なの?俺は根拠のない動きは嫌いなんだ。悪いね」
「アンタらを倒してから考えるさ。」
幸多はこの瞬間をどれほど待ったことか
漫画やアニメの主人公のように敵と戦い一人の少女を救う。
一度でいい。やってみたかった。
幸多は歓喜に震えた。
左目の炎が激しさを増した。
こんなに喜びに震えたことなどない。
条件が揃い過ぎているこの場所で、
条件が揃い過ぎているこの状況で、
条件が揃い過ぎているこの力で、
条件が揃い過ぎているあの敵に、
立ち向えるのだから。
「俺は今日、主人公になる!!」
幸多はわき目も振らず走り出した。
相手に向かって、
「うぉあああああああああああああっ!!」
カインに右アッパーを食らわせた。
ひっくり返るようにカインは地面に叩きつけられた。
カインは驚き目を見開いていた。
「いいね!最高に面白いぜ。このゲーム。」
幸多はカインの上に馬乗りになった。
そして襟をとって言った。
「ハッピーをここから出せ。」
出来る限り睨んだ。
「そ、れは出来ないな。もし、出せば後悔するのはキミかもしれないんだぞ?」
「いい加減聴こうかハッピーがここから出られない理由を」
カインは一瞬目をそらした。
「分かった話そう。その少女は鍵なんだ開けてはいけない扉の。その扉は人間界、異世界を壊滅させる道具だ。その少女にはその扉を開けられるスキルがある。
俺は必死になって扉を壊そうと努力した。だが、物理的には壊せないんだ。扉をつくったやつ。創造主を倒さなければ扉は壊れない。俺はその子をここから出してあげたい
何もしなければ扉が開かないとも限らないんだ。その子が人間界に降り立ち創造主につかまれば扉を開けさせる道具としてあつかわれる。キミなんかが!
踏み込んでいい場所じゃないんだよ!今、指輪とリンクしているだろ?それは異世界人と仮契約していることなんだ。その子のだろうその指輪は、キミがハッピーと呼ぶ
その子のだろう?いいかい、仮契約って言うのはキミが一時的に人間でいられなくするためのものだよ。完全に契約すると異世界人になる。そういう風に出来てるんだ。」
カインは幸多を思いっきり睨んだ。
少年は動じなかった。
「だから、なんなの?ハッピーは人間界に行っちゃいけない分けじゃねぇじゃん!その創造主につかまんなきゃいいんだろ?だったら俺がハッピーを創造主から守る。
だったら文句ねぇだろ。ハッピーは何も悪くねぇ。俺が、その創造主をぶっ倒せばいいだろ?簡単じゃん。」
幸多の言葉に棘はなかった。
だが、バミューダもカインもそれを許すわけには行かなかった。
少年は人間で、我々は異世界人と言うスキルがある。たとえ仮契約でエセ異世界人になったところで、
少年は死んでしまうかもしれない。
死ぬ。
生きているものならば必ず訪れる死。
それは人間でも異世界人でも同じだ。
創造主の力の強大さを分かっているといないとは大きな違いが出る。
遊び半分でこの任務を任せられない。
一度しかない自分を大切にするべきだ。
そうカインは言いたかった。
だが、口から言葉が出て行かなかった。
それどころかこの少年にすべて任せてもいいんじゃないかなんて思ってしまったのである。
(ぐっ・・・、)
カインは顔を歪ませた。
たとえここで自分達でなんとかすると言っても、無駄なことも分かっていた。
その時だった。
ゆらり、とバミューダが立ち上がった。
おそらくそこにいた人は反応できなかっただろう。
恐ろしい速度でバミューダは幸多の首をつかんだ。
そして背中に膝蹴りをいれて押し倒すように力をいれた。
反応できなかった幸多はそのまま前のめりになって倒れた。
「ぐっ・・・、なんだぁ?」
幸多は首を押さえつけれてそこにいるのが誰か分からない。
「あっははははははは、今貴様は死んだのだ!大口叩いておいて今、僕に殺されたんだ!!」
バミューダは幸多の上に乗って叫んだ。
「死んでねーよ、バーカァ!」
幸多は押さえつけられながら言った。
「喋ってんだろ、俺。なら生きてんだよ!」
「この、クソガキ!屁理屈をォォォォォォォ!!!」
バミューダが幸多に剣を刺そうとした、
「やめて!・・・・もういいよ。」
ハッピーが苦笑しながら言った。




