表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空と海を継ぐ者 神も仏も居るんです【徳島編】  作者: 平木 ナヲル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/45

封印の旅『タヌキの隠れ里』  その2

タヌキの隠れ里で、宴を楽しんだ翌日、3人は大神子海岸の巡所を訪れることにした。


朝早く、日峰山から大神子海岸に向けて歩いていると、途中で奇妙な光景に出会う。

1匹の蛇がヒキガエルに狙いをつけ、目を細めて舌をチョロチョロと出し入れしている。

だが、そのヒキガエルは目の前にいるナメクジに狙いをつけていた。

そして、そのナメクジは、蛇ににじり寄ろうとしている。


蛇はナメクジが苦手なのか、その動きを気にして動けずにいた。だが、ヒキガエルも蛇が気になり動けない。ナメクジもヒキガエルが気になり…お互いに動けないでいた。

「これが三竦(さんすく)みってやつか!」

空が感心してつぶやきながら、その場を後にした。




「砂浜が綺麗ね!」

海が大神子海岸の砂浜ではしゃぐ。

「松林も良い感じだな!」

優も、大神子の景観に目を奪われ、感嘆の声を上げた。

「急深で危ないから、遊泳は禁止だぞ!!」

空が釘を刺す。


空達は、タヌキの隠れ里を出て、大神子海岸を訪れていた。

「海が綺麗だな!」

空が入江になった水面みなもに、波が打ち寄せる姿を見てつぶやく。


「あら、綺麗だなんて!!」

海が頬を染めるが、そんな海を冷めた目で優が見る。


「海よ、我を降ろすなり!」

前鬼が海の手を離れ、砂浜を走り出した。

「やはり、後鬼に言われた『前鬼は豚鬼なり!!』が地味に効いてたんだな!」

小さな身体で、懸命に砂浜を走る前鬼を、空達が温かく見守った。



「ここが大神子海岸の巡所だな!」

空が祠と岩戸を指差し、3人が納経軸を取り出した。

『ゴゴゴ』と岩戸が震えるが、岩戸は閉まったままだった。

「おかしいな?」

空が岩戸と祠を調べるが、異変は見られない。


「とりあえず、小神子海岸と日峰神社も調べてみるか!」

仕方なく、空達はその場を離れることにした。


だが、小神子海岸の巡所も日峰神社の巡所も、大神子海岸の巡所と同じく、岩戸が開くことはなかった。



「反応はあるけど、何かが引っ掛かる感じだな」

優が日峰神社の巡所の前で頭を捻り、「だけど、大神子海岸の巡所や小神子海岸の巡所に比べたら、日峰神社の巡所が一番開きそうな感じがしたな!」とつぶやいた。


「あら、私は小神子海岸の巡所なら開く気がしたわ!」

「そう言えば、俺は大神子海岸の巡所は開くと思った!」

海と空も、巡所で納経軸を出した時の感覚を思い出していた。


「これは、以前にもあった、1人づつの試練ってやつか!」

優が目の前の日峰神社の巡所に目をやる。


「どうやら、その様だな。明日、時間を合わせて攻略するとしよう」

空の言葉にうなずき、3人はタヌキの隠れ里に帰ってきた。




「如何にございましたか?」と尋ねる茂右衛門に、明日攻略することを告げて、その日は休むことにするが、そこに金長が現れた。


「お兄ちゃん達、一緒にお風呂に入ろうよ!!」


その声に前鬼がビクリと反応し、「よし、我は金長と一緒に入るなり!」と慌てて宣言した。


すると海が「あら金長ちゃん。お姉ちゃんと一緒には入ってくれないの?」と哀しそうにつぶやく。

「そんなことないよ」

その哀しそうなつぶやきに金長が慌てて「オイラはお姉ちゃんと一緒に入るよ!!」と海に抱きつく。


「ありがとう、金長ちゃん。なら、前鬼も一緒に入りましょうね〜!」と、前鬼を抱き上げた。


「「恐ろしい策士だな!!」」

海と優が、海の罠に絡め取られた前鬼に同情の目を向けた。

いつもは厳しい後鬼も、今回ばかりは何も言わなかった。



翌朝、空は大神子海岸の巡所に、海は小神子海岸の巡所に、そして優は日峰神社の巡所に向かうことにした。




「海と優は大丈夫かな?」と二人を心配しながら大神子海岸に向かう空の前に、金色こんじきに輝くナメクジが現れた。

『巡所を封印する修験者に神の使いたる我が問う。神とは何と考える?』


その問いに、これまでの戦いでの神の神力を思い出し、金色のナメクジにその思いを伝える。

「神とは、畏れであり脅威と感じます。だが、単なる畏れや脅威ではなく、それは試練でもあり恩恵をもたらすものであると考えます」


『なるほど、文殊が認めるだけはあるか。ならば、先に進むが良い!』

空の答えに満足さた金色のナメクジが告げると、光となり天に登っていった。



『娘よ!其方に問う。仏とは何と考える?』

小神子海岸に向かう海の前には、1匹の白蛇が現れた。


突然、白蛇に呼び止められた海が驚くが、『その白蛇は仏界のしもべなり!』と、腕の中で前鬼が海に告げた。

『海よ、応えるなり!!』

後鬼が海に答えを促す。


「仏とは、救いであり光だと思う。手には取れないし、意識しないとその存在に気がつかない。自分が成長するための道標なのかな?空兄みたいに上手く言えないけど、いつも自分の周りにあって…でも自分の中にもある、不思議な感じ…」

拙く言葉を繋げる海を白蛇が温かい目を向けた。


『言葉には出来ずとも、本質は掴んでいますね。ならば、この先に進むことを許します。更に精進しなさい』

白蛇も光となり天に登った。




日峰神社の鳥居の前で、1匹のヒキガエルが優を見ていた。

『其方は、役優婆塞えんのうばそくゆかりのものか?』

「小角のおっさんなら、この世界に来る時に助けてもらったよ!」


『ならば問う。神仏習合しんぶつしゅうごうとは?』

「は?空なら簡単に答えるんだろうけど……」

優が頭を捻る。


「そもそも、おれが纏った那伽ナーガは、八部鬼衆だから仏様だよな。だけど、那伽は龍神でもあるよな。そもそも、力を借りるのに、いちいち神とか仏とか考えないから。神と仏って、どこに線引きがあるんだ?」


『なるほど、役優婆塞が目を付けただけはある。恐ろしいほどの勘の良さだな。無意識に仏神一体が使えた訳だ!』


『優よ、お主はそのままで良い。先に進むが良い!』

そう告げながら、そのヒキガエルの姿は闇に溶けるように地に返って行った。


神仏習合 神仏分離

どちらが正しいとかは無いのでしょうが、平木は神仏習合の方が日本的であり、腑に落ちると考えます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ