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空と海を継ぐ者 神も仏も居るんです【徳島編】  作者: 平木 ナヲル


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封印の旅『タヌキの隠れ里』  その3

日孁ひるめが、遠く四国の地を見ながら、傍に控える直公に話しかけた。

「これまで神界と仏界が睨み合い、それを冥界から母上が牽制する形で、三界がお互いに動けずにいました」

その顔は、哀しげであり憤りを含んでいた。


「これまでであれば、それで問題はなかったのでしょうが、この先も厄災の復活と島喰いを止めるには、三界が纏まらねば厳しくなりましょう……」


「なれど、空様達ならば、この三竦みの状態を打破してくれると信じております」


祈るように、日孁が改めて四国の地に想いを馳せた。


ーーーー


空が大神子海岸の巡所に着いた時、海と優もそれぞれに小神子海岸と日峰神社の岩戸の前に辿り着いていた。


3人が同時に懐から納経軸を取り出し、岩戸に掲げると『ゴゴゴ』と岩戸が開く。


『やはり、同時に開けるのが鍵だったか!』

それぞれに、巡所の奥に進んでいく。



空が巡所を進むと、牛鬼の群れが襲いかかってきた。

空が草薙剣くさなぎのつるぎを取り出し、その刃を一閃すると、牛鬼の首がズルリと落ちた。


『この世界に来たばかりの時はあんなに苦労したが、今では牛鬼如きに苦戦することもないか』

自分の成長を感じながら、一体づつ牛鬼を斬り伏せていく。


やがて、全ての牛鬼を斬り伏せると、ボス部屋の入り口が現れた。


呼吸を整え中に入ると、一際大きな牛鬼が空を待ち構えていた。

『何だ、単にでかいだけの牛鬼か?』


空が草薙剣を振るうが、ボス妖怪だけあり、その刃を掻い潜ると、海に突進してきた。


慌てて横に躱しながら刃を牛鬼に突き立てる。

そのまま、牛鬼の腹を切り開くと、牛鬼はその場に倒れ込んだ。


『何だ?ボスにしては、手応えのない相手だったな!』

空が、倒れた牛鬼に目を向けると…切り裂いた牛鬼の腹から手が生えてきた。



牛鬼の腹を引き裂き、一体の大鬼が現れる。

「我が名は鬼童丸!我が父、酒呑童子に代わり、キサマを葬る!!」

その手に持つ棍棒を空に突きつけ、鬼童丸が空と対峙した。


ーーーー



小神子海岸の巡所では、海が洞窟をすすんでいた。

そこに、シュルシュルと地を這う音と共に、マムシの集団が現れた。

「また、蛇なの!まあ、蜘蛛や…いつかのGみたいな魔虫よりマシだけど!!」

海が、その光景にうんざりしながら、腕に抱いた前鬼と後鬼に愚痴った。


「海は蛇に好かれているなり!」

「こんなザコはさっさと滅するなり!!」

前鬼と後鬼が海の手を離れた。


牙から毒を撒き散らしながら、マムシが海におそいかかる。

海はイヤリングを薙刀に戻し、襲いかかってくるマムシを切り裂いていく。


前鬼と後鬼も、汗を流しながらマムシを退治していく。

「身体を動かすのに丁度いいなり!」

「海は休んでいるなり!!」

前鬼と後鬼が、ダイエットの運動のようにマムシの群に飛び込んだ。


やがて、全てのマムシを倒した海達が、ボス部屋に入ると、「待っていたぞ、娘よ!」と声が響いた。


「我が名は大蛇丸おろちまる。其方に殺された蛇骨婆じゃこつばばあの縁の者。蛇骨婆の仇を取らせてもらう」

そこには、ほこを構え、全身が鱗に覆われた男の姿があった。



ーーーー



「うわー!勘弁してくれー!!」

優は襲いかかってくる土蜘蛛から逃げ惑っていた。


「飛斬!飛斬!飛斬!」

斬撃を飛ばす度に、『ズシャ』と嫌な音が響き、体液を撒き散らして、土蜘蛛が真っ二つになる。


その気持ち悪さに、優の精神はボロボロになっていた。

『キツい、ここに来たのが海でなくて良かった!』

と、小神子海岸に向かった海を想う。


半分嘔吐(えず)きながら、土蜘蛛を全て倒した優がボス部屋に入った。


『キサマらに倒された仲間、大河童の怨みを晴らさせてもらう』

と、河童と猿を足したような妖怪が優を待ち受ける。


「何だお前、河童なのか猿なのか…ハッキリしやがれ!」

優がその妖怪に、ガイアの剣を突きつける。


「我は猿猴えんこう。もちろん河童である」

優に対峙しながら猿猴が牙を剥いた。



ーーーー



鬼童丸が空に襲いかかる。

その一撃を躱し、空の剣が鬼童丸の首筋に伸びる。

「なめるな!!」

その一撃を、鬼童丸が弾き飛ばす。


その鬼童丸との闘いに、空は不思議な感覚を抱いていた。

『自分の中から、何かが溢れ出る?』

空が、その何かを我が身に纏わせた。


『ほう、己の中の仏を顕現させたか!ならば、その草薙剣に我が魂を纏わせてみな!!』

何処からか、無機質な声が聞こえてきた。


「仏身一体のスキル 憑依の太刀!」

空が九字印を唱え、草薙剣を高く掲げた。

すると、草薙剣が金色の光に纏われ、一本の見事な太刀が現れた。


鬼童丸がその太刀を見て叫ぶ。

『ゲェッ!その太刀は…まさか、童子切どうじぎりか!!』


空が童子切を構えると、刹那の動きで鬼童丸に斬り掛かる。

『神技 流星斬鬼!!』


『酒呑童子様…申し訳ございません』

鬼童丸の首が胴体からずれ落ち、後には静寂が残った。


鬼童丸の骸に背を向けると、空が封印の間に足を向けた。


ーーーー


大蛇丸の矛が海を襲う。

それを後鬼の盾が弾くと、前鬼の棍棒が大蛇丸に振りかざされる。


だが、優のレベルでは、中学生ほどのサイズでしかない前鬼の攻撃は大蛇丸に届かない。


前鬼が忌々しげに大蛇丸を睨みながら、『海よ!前から言いたい事があったなり!!』と海を見た。


『『我らを纏うなり!!』』


「わかった、やってみる」と海が応え、九字印を切った。


『我は前鬼!前鬼は戦鬼なり!!我は今より、海の刃となるなり!!!』


『妾は後鬼!後鬼は護鬼なり!!妾は今より、海の盾なり!!!』


「仏身一体 センちゃんゴキたん纏身!」


前鬼と後鬼が光となり海を纏う。

だが…『センちゃん言うな!』『ゴキたんじゃない!!』としまらない仏身一体となるが……大蛇丸程度の妖怪は、海の一撃に真っ二つとなった。


「え…弱すぎない?」

『ダイエットにもならないなり!』

『まあ、勝てば良いなり!!』


海も仏身一体を解き、前鬼と後鬼を抱えて封印の間に入って行った。


ーーーー


猿猴が優に対峙する。

優が少し間を開けて、猿猴の攻撃を待つ。


『死ねー!!』

猿猴が手にしたなたを振りかざす。

だが、優は余裕で猿猴に笑いかけた。


「そんな所から斬り掛かっても、俺には届かないよ!投げたら、武器もなくなるだけだぜ!!」


どんなに手を伸ばしても、届かない位置からの攻撃に優が一瞬気を抜く。


すると、猿猴の右手がグンッと伸びて、優の頬を鉈がかすめた。

「うわっ、あぶねー!!」

優が驚きを隠せずに猿猴を見た。


すると、猿猴の左手が身体に食い込み…その分右手が長く伸びていた。

「何だよそれ?ビックリ大将かよ!!」


最初の一撃こそ危なかったが、タネがわかれば優の敵ではなく、優も封印の間に入って行った。



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