貰い火 嘆き・3
直樹:
「おぉ、すごいな。
ここは迷路か、アスレチックか?」
遠くには木の柵が整然とならんでおり、穴が掘ってあるように見える。
土壁もあるようだ。
簡易的な防壁だろか?
多分、規則的にテントが建ってると思うんだが。
柵が邪魔で直線には移動できない。
木の棒が斜めに刺さっている。
所々に旗が見えるが、あれは何だろう?
直樹:
「へぇ、初めて見た……」
ユミル:
「陣地の周囲は木の杭や柵で囲まれていて、穴が掘ってあります。
所々に罠が設置されているはずなので、落ちないように気を付けてください」
直樹:
「防衛線を築いているのか?」
ユミル:
「はい」
フリスト:
「ナオキちゃん。
のどが渇いた」
直樹:
「その辺で、飲んで来い。
俺たちは見て回るからあまり離れるなよ。
迷子にはなるな。
探すのが面倒だ」
フリスト:
「はーーい」
直樹:
「景色が同じだからな。
何処にいるか、わからないぞ」
ユミル:
「いえ、色違いの紐が結んでありますし。
記号が振ってありますので」
よく見ると、柵の支柱に色のついた紐がついていた。
記号が書いた看板もある。
何かの略語か?
直樹:
「へぇ、何か想像と違う。
よく見ると整然と並んでいるな」
碁盤の目のように通路がなっているようだ。
一見では、わからないが……
普段使う連中には、便利なのだろうか?
ザーーーーーー。
水が流れる音がする。
直樹:
「将校は何処に居るんだ?
看板は無いのか?」
ユミル:
「おそらく。
陣の中心付近ではないでしょうか?」
直樹:
「中心か。
なるほど、防衛のためかな?」
何処か遠くから罵声が聞こえる。
声:
「おい。
てめぇ!
なにしやがる!」
声:
「貴様!
なんて事を!」
女の声:
「この水、腐ってるじゃんか!」
なんだろう?
フリストの声に似ているような、違うような。
直樹:
「俺は、聞こえない……
聞こえないぞ!」
ユミル:
「ナオキ様。
それは、さすがに……」
こっちを向いて、手を振っている人影がある。
無視していると。
ブンブンと激しく振り始めた。
フリスト:
「ナオキちゃーーーーーん!!」
ロックオンされた。
慌てて柵の影にか隠れるが。
隙間が多いので隠し切れない。
直樹:
「何とか……
無視できないか?」
ユミル:
「暴れだして、被害が拡大しませんか?」
大きめのテント。
しぶしぶ、フリストの元へ駆け寄った。
地面に水たまりが。
びちゃびちゃだな、靴が汚れる。
中を覗くと、水瓶が整然と並んでいる。
ここは、給水のテントかな?
直樹:
「えっと……
この……
俺とは全く無関係の、見た事のない馬鹿が!
どうかしましたか?」
兵士:
「その馬鹿が!
我が軍の貴重な水を捨てやがったんだ!」
フリスト:
「こんな水。
飲んだら腹壊すよ!」
兵士:
「我慢すれば飲める!」
水瓶には黄色い水が入っている。
直樹:
「ちょっと良いかな?
どれどれ……」
口に含んで味見をした。
これは……毒か?
腐っている。
ザーーーーーー。
水を捨ててやる。
良いことをした。
兵士:
「キ・サ・マ----!!
なんて事を!」
襲い掛かってきたが、すぐにフリストが組み伏せた。
兵士:
「離せ!
離せコラ!」
すぐに開放するが。
腕を抑えこちらを睨みつけていた。
近くの兵士も、こちらを鋭い目つきで見ている。
ちょっとまずいな。
殺し合いに発展しないか?
ユミルが必死に謝っていた。
俺もすぐに、両手を軽く挙げて無害をアピールする。
直樹:
「悪かった。
本当にすまない、つい反射的にな。
いくらだ?
弁償しよう」
兵士:
「弁償だと!?
金で済む問題か!!
貴重な水が……
手に入らないんだぞーーー!!
少尉殿になんと言えばいいんだ!!
お前はそもそも、何処の所属だ!」
兵士の目が涙で潤んでいた。
かなり、悔しいのだろう。
申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
直樹:
「わかった、わかった。
水を取ってこよう。
ユミル、フリスト、視線を遮れ。
冒険の書」
兵士を10人転送する。
兵士:
「何処から沸いた?
貴様ら何処の班だ!」
現地の兵士が剣を抜くが、すぐにフリストが叩き折ってしまう。
地面に組み伏せると。
うつ伏せにした兵士に馬乗りになり、首元に小刀を当てる。
辺りが緊迫した空気に一変した。
これが、ピリピリするという感覚か……
胃のあたりがキュッとなる。
フリスト:
「何をするんだ。
先に手を出したのは、お前たちだぞ!
水を持って来るって、言ってるじゃんか!」
俺の兵士たちも、盾を構えて防衛姿勢をとった。
直樹:
「おぉ、そうだ。
この水瓶、借りるぞ!
その前に……
超絶操作マッスルマリオネット!」
この場を和ますために魔術を披露する。
当たりの兵士は、何が始まったか分からず困惑していた。
なんだ、この状況。
フリストは、嫌がるユミルと交代した。
ユミルの顔が青ざめ、引きつっている。
小刀が首元からだいぶ離れているが、人質として効果があるのだろうか?
フリストは何後もなかったかのように。
空になった水瓶を、俺の元へと運んできた。
絨毯を敷くと。
近くにあった水瓶を2つもって隠れ家に戻った。
畑で水瓶を綺麗にしてから、水を汲んできてもらう。
直樹:
「よいしょ。
よいしょっと。
ふう。
フリスト、水瓶を持っていけ」
フリストが怒っていた兵士の前に、水瓶を運んでいく。
兵士から剣を取り上げ、剣を振った。
バォーン。
周りの兵士の顔が青ざめる。
テントへと入り、水をいくつか捨てていた。
ザーーーーーー。
アレ?
現地の兵士が減っていないか?
あそこに倒れているのは、誰だろう……
縛られて、いる?
作業を繰り返し、水瓶8つに綺麗な水を満タンにしてあげた。
直樹:
「おい、水は返したぞ!」
兵士:
「おい!
おい!
大丈夫か?」
先ほどまで騒いでいた兵士が、放心状態でヨロヨロと水瓶に近づき。
各々に、水を飲んだ。
兵士達:
「……」
「美味しい」
「冷たい」
「これは……」
「夢か?」
「馬鹿な!!」
直樹:
「おい、お前ら大丈夫か?」
全員が呆けている。
地面の兵士は、どうするんだ?
偉そうな兵士:
「どうした?
騒がしい!
何事だ!?」
兵士:
「少尉殿……
水が!」
少尉:
「水がどうした?
また誰か、腹を壊したのか?」
兵士:
「いえ、水が。
綺麗な水が……」
兵士達が、水瓶を指差す。
少尉:
「この水は、何処から持ってきた?」
兵士達が、俺を指差す。
直樹:
「えっ?
俺?」
少尉:
「お前は、誰だ?」
直樹:
「俺?
えーー。
こう言う者です」
少将からもらった手紙を見せた。
少尉:
「失礼しました。
しばらく、おまちください。
こちらの方は、客人だ。
失礼のないようにしろ!」
少尉殿が、走っていく。
なんだか大変な事になってしまった。
辺りから野次馬達が集まり、囲まれる。
一人の兵士が。
金を出してこう言った。
兵士:
「水を…
売ってもらえないだろうか?」
フリスト:
「いらっしゃいませ。
こちらへどうぞ!
お芋もセットでいかがですか?
お金は200です」
フリストさんが、こう答える
兵士:
「芋が、あるんですか?
200は安い!
ぜひお願いします!」
お店が開店した。
店は繁盛している。
いつの間にか行列が出来ていた。
兵士たちが食器を持参する。
フリスト1人では対応できない。
兵士を30人転移して手伝わせた。
俺とユミルは隠れ家とここを行き来する。
焼き芋と水瓶、ゆで卵を持ってきた。
少尉:
「これは、どういうことだ!」
少尉より偉い兵士:
「少尉、命が惜しいなら静かにする事だ。
今、止めると殺されかねないぞ」
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