貰い火 内政・4
ソケリで竜車に合流し、いつもの様に翌日を迎えた。
今は、シエニの宿舎に居る。
直樹:
「まずいぞ。
首都の宿舎が厳戒態勢だ」
夜中にこっそり行ってみたが、外には兵士が巡回していた。
フリスト:
「何かまずいの?」
直樹:
「店だ!
資金源に物資を届けられない」
フリスト:
「もう。
ナオキちゃんが謝ればいいじゃない。
悪い事はしてないんだから……」
直樹:
「その通り。
悪い事はしてないんだ。
謝罪の必要は無い!」
フリスト:
「馬鹿なんだから……」
1時間、悶えたあと決意が固まった。
直樹:
「よし。
行こう」
フリストをつれて首都の宿舎へ行くと、静かに衝立をばらす。
本に取り込み、出入口を回収した。
直樹:
「フリスト。
一緒に来てくれないか?」
フリスト:
「まったく。
頼りないな……」
直樹:
”追加、超絶操作マッスルマリオネット。
1分間、隠蔽、高速移動”
念話操作で魔術を発動させた。
フリストが扉から出る瞬間、小声で話しかける。
直樹:
「フリスト。
すまない、浮浪者の店で待つ。
必ず撒けよ!
走れ!」
フリストの背中を、力いっぱい押し出す。
俺の方は魔術の力で気配を絶ち、逃げる事に成功する。
浮浪者の店に出入口を設置し衝立を立てた。
コレでいい。
安心して、出入りできる。
商品を2往復して補充し、ユミルと一緒にフリストを待った。
遅いな、アイツ。
フリストが肩で息をしながら帰ってきた。
直樹:
「遅いぞ!
フリスト!
2時間以上も待ったじゃないか」
フリスト:
「ナ…オ…キ……ちゃん。
何…10km。
走ら……せる…気なの……」
直樹:
「フリスト。
君は、なんて素晴らしいんだ!」
フリスト:
「本当…に?」
直樹:
「お前が居ないと。
俺は駄目なんだ!」
フリスト:
「そ…う?」
命の絆の影響なのか? 誉めると喜んでくれる。
彼女を大事にしよう。
直樹:
「お前を大切にしたい。
今日も一緒に居よう」
フリスト:
「うん」
シエニの宿舎で時間をつぶし、竜車が来るのを待った。
朝から物資をやり取りする。
その後、竜車で基地へと向かう。
本来であれば。
戦闘地域へ向かう時こそ、絨毯で転移したいのだが。
少将には教えていないからな。
戦闘に巻き込まれて絨毯を失うと、竜車に戻ることが出来なくなる。
残念ながら俺たちが、竜車に乗るしかない。
何かあれば、速攻で出入口から逃げ出す予定だ。
竜車の中はいつも暇だな。
デブ猫の首筋をつまみ上げ、プラプラする。
直樹:
「デブちゃん。
聞きたいことがあるんだ」
魔道書ドラクエ:
”魔道書ドラクエ様と呼べ”
デブ猫が、呆れた顔で見てきた。
フリスト:
「ナオキちゃん。
ドラちゃんと遊んでるの?」
直樹:
「おい。
魔道書ドラクエ様じゃないのか?」
頬を染める魔導書。
魔道書ドラクエ:
”いいじゃないか。
別に……”
直樹:
「ドラちゃん。
聞きたいんだが……」
魔道書ドラクエ:
”魔道書ドラクエだ”
直樹:
「まったく。
魔道書ドラクエ、隷属者について聞きたい。
最近、店を始めたんだが。
物資の輸送に彼らを使うんだよ。
でも、1人ずつ出すのが面倒で……
まとめて出入りできないか?」
魔道書ドラクエ:
”できるぞ。
映像が出るページがあるだろ?
そこで複数選択するか、グループ化してあれば可能だ”
直樹:
「複数選択って、押しっぱなしで囲うのか?」
魔道書ドラクエ:
”そうだ”
直樹:
「今まで、そんなこと出来たかな?」
魔道書ドラクエ:
”ナオキに聞かれて、出来るようになった”
直樹:
「機能は全部。
事前に開放できないのか?」
魔道書ドラクエ:
”無理だ。
機能は異世界人の状況や希望で追加される。
元々、決まった機能ではないんだ”
直樹:
「なるほど……
グループ化って、どうやるんだ?」
魔道書ドラクエ:
”本人に会って伝えれば出来るぞ。
名簿で設定するか。
隷属の書でも設定可能だ”
直樹:
「うーーん。
何個、設定できる?」
魔道書ドラクエ:
”頭が回るじゃないか、ナオキ。
10までだ”
直樹:
「もしかして。
グループ一覧とかって、あるんじゃないか?」
魔道書ドラクエ:
”ムッ! その通りだ”
直樹:
「グループの取り消し方法は?」
魔道書ドラクエ:
”名簿かグループ一覧で削除できる”
直樹:
「言葉でも可能か?」
魔道書ドラクエ:
”可能だ”
直樹:
「おお、ありがとう。
ひとつ解決したよ」
魔道書ドラクエ:
”僕に感謝しろ”
直樹:
「俺は、寝る」
魔道書ドラクエ:
”わかった”
横になると、デブ猫が俺の腹の上に乗ってケツを向けてくる。
直樹:
「おい、何故ケツを向ける」
魔道書ドラクエ:
”僕にもわからない。
自然に、こうなるんだ!”
直樹:
「しかし、な……」
魔道書ドラクエ:
”僕はうんこはしないから、大丈夫だ”
直樹:
「そうか、わかった」
しばらくすると、腹に痛みが走る。
モミッ、モミッ、モミッ、モミッ。
直樹:
「痛い痛い、痛い」
デブ猫が、俺の腹を揉むたびに爪が刺さる。
直樹:
「おい、何をするんだ!」
魔道書ドラクエ:
”すまん。
気をつける”
いつの間にか眠りに落ちた。
モミッ。
直樹:
「ハァッ」
魔道書ドラクエ:
”すまん”
モミッ。
直樹:
「ハァッウァ」
魔道書ドラクエ:
”すまん”
俺は眠りながら、何か声を出していたらしい。
寝言か?
恥ずかしいな。
昼食後はユミルに絨毯を守らせて、店の商品を届けた。
やる事もなく無駄に、1日を過す。
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