貰い火 内政・3
爺さん:
「酷い、なんてことを。
この水を汲むために、どれだけ苦労したと……
思っているんだ!!」
爺さんが泣いている。
事後承諾にはなるが、許してもらうしかないだろう。
山の麓へと移動し、隠れ場所を探す。
何人かに指示を伝えて本へと転送した。
15分ほど待ってから、畑から30人転送する。
爺さんの居た場所へと戻って来た。
直樹:
「よし。
全員荷物を降ろせ」
薪、芋、卵は、店のほうへ。
水瓶、そして葡萄と林檎は、家を潰してしまった被害者の方へ。
浮浪者達:
「水が……綺麗だ」
「おお」
「透き通っている」
「甘い、何これ?」
「美味しい」
直樹:
「すまないな、謝罪の品だ。
水瓶はあるか?
綺麗な水を汲んできてやろう。
他にも、水の入る容器があれば汲んでくる」
浮浪者達:
「はい」
「持ってきます」
「あぁーー。
すぐに」
物資の輸送に一往復し、店のほうへ運び込む。
直樹:
「316番。
両側を、彼らに戻してやってくれ。
店の規模はまだ小さい。
それほどスペースが必要な訳ではないだろ?
新しい土地が見つかるまでだ」
店の大きさを半分にし、店を囲むように土地を返す事にした。
直樹:
「みんな、聞いてほしい。
店の周りを返す事にした。
狭く不自由になったが。
その分、援助させてほしい。
この店にある芋、卵、水、薪は、商品であると同時に、君たちの物でもある。
少しであれば、食べてもらって構わない。
支障がない数ならな。
他の者たちに盗まれないよう。
仲間同士で守ってくれ。
前に言ったように、家を買うのに食料が必要なら。
食料などは、すべてこちらで用意させる。
一方的な言い分で申し訳ない。
俺の所で働きたいやつがいれば、善処しよう」
爺さんは不服そうだったが、他の人たちには概ね反応はよかった。
今日中に潰されることは、無いだろう。
それに浮浪者たちが店の周りを固めてくれる。
翌日は朝から店へ商品を届けた。
お金を5千、稼ぐ事が出来たらしい。
あの人数を使って得た稼ぎとしては微々たるものだが。
原価はほとんどタダだからな、良しとしよう。
1番からの伝言があった。
ノコギリとハンマー、店用に水瓶を買う。
なんでも、大工チームが発足され木材を切り出すのだそうだ。
お金が4万減った。
購入ポイントを稼ぐために、魔術を披露し少将の悪口を言う。
その後、昼食を食べて首都の宿舎へと戻った。
直樹:
「残りの金が、5万切ったぞ!
どうすればいい……」
フリスト:
「ナオキちゃん。
まだ1000万あるじゃんか」
直樹:
「それは最後の砦だ。
手を付けずに済ませたい」
フリスト:
「うーーーん」
コンコンコンコンッ。
コンコンコンコンッ。
返事をしていないのに、扉が開かれる。
ノルナゲスト:
「まさか……
本当に居るとはな」
少将が、お供を引き連れて入って来た。
直樹:
「あれ?
少将!?
何か用か?
俺は今、物資の輸送中だぞ!」
ノルナゲスト:
「ナオキくん……
それは私のセリフだ!
何故ここに居る?
輸送任務中のはずだ!」
直樹:
「少将こそ。
何故、ここに来た!」
ノルナゲスト:
「部下から報告が来た!
ナオキと称する人間が!
妙なポーズで輝きながら、走り去って行ったそうだ。
しかも、私の悪口を大声で叫びながらだ!
なんでもケチで脇と足が臭いそうだな!」
しまった……
フリスト:
「ナオキちゃん。
何やってるの……」
直樹:
「少将……。
それは、おかしい。
間違った情報だ。
敵の偽情報じゃないのか?
物資の受け渡しは、どうなっている?
きちんと、されている筈だ!」
ノルナゲスト:
「その報告は受けている」
直樹:
「報告を受けているのか。
ヤニスからどうやって?
あの長距離だぞ……」
ノルナゲスト:
「軍事機密だ!」
直樹:
「よく考えるんだ少将。
お前の言うナオキは、今!
ソケリへと向かう竜車の中だ!」
ノルナゲスト:
「そうだ!
そのとおりだ!
だから何故!?
君たちがここに居るんだ!」
直樹:
「……」
直樹:
「えーーっと。
俺の名前は、アマノ!
奴はユミール!
コイツはフランだ!
つまり。
俺たちは……
ナオキ様の影武者である!」
ノルナゲスト:
「君は何を言ってるんだね?
ナオキくん。
何のために、影武者が必要なんだ?」
直樹:
「ユミル!」
目を合わせる前に、顔をそらされる。
直樹:
「フリスト!」
こちらも同様だ!
直樹:
「少将殿、ここではまずい。
重要な機密情報だ。
向こうで話をしようじゃないか。
さぁさぁ」
自分と一緒に、兵士と少将を外へと出した。
直樹:
「冒険の書。
追加、超絶操作マッスルマリオネット。
10秒、速度の加速。
30秒、3倍筋力強化だ!」
手加減して、蹴り飛ばした。
自分だけ部屋に戻ると、扉を閉めて中で踏ん張る。
直樹:
「ユミル!
フリスト!
早く隠れ家へ!!」
2人は、急いで隠れ家に走り去る。
ドンドンドンドン。
ノルナゲスト:
「ナオキくん!
ここを、開けろ!
開けるんだ!」
ドンドンドンドン。
直樹:
「追加、超絶操作マッスルマリオネット。
20秒、隠蔽、高速移動。
急いで隠れ家へ、極力見つからずに!!」
扉を勢いよく開けると少将たちが転がり込んだ。
速攻で隠れ家に逃げ込む。
ノルナゲスト:
「全員!
出入口を固めろ!
この部屋から出ては居ない!」
少将達は1時間。
部屋を隅々まで探したが、ナオキたちは見つからない。
ノルナゲスト:
「ナオキくん。
面白いな……
面白いじゃないか!
君は、数100kmを。
一瞬で、移動するのか!」
俺たち3人はソケリの宿舎で、ハァハァしていた。
フリスト:
「ねぇ……
ナオキちゃん。
逃げる必要はあったの?」
直樹:
「フリスト!
君は天才だ!
逃げる必要は無い。
しかし、もう遅い!
逃げてしまったぞ。
気まずいな……」
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