輸送の仕事 戦場への輸送・5
いつものように、大きなテントへと向かう。
戦地の基地だろうが、やる事は変わりがないはずだ。
物資を置くと、積み込む物資の場所へと案内される。
でもそこは。
いつもの積み込み場所とは、大きく違っていた。
一見するとテントの中なのだが。
地面を大きく掘ってある。
1mほどの深さだろうか?
嫌な臭いがする。
間違いない、これは血の臭い。
そして、多分、この異臭は死体の臭いだ。
人間が納まる大きさの袋が。
中身が入って、積み上げられている。
ユミルもフリストも見慣れているのか。
変わった様子は無みたいだ。
俺は、まったく落ち着かない。
さっきから、心拍数が上がりっぱなしだ。
近くの兵士に、話しかけられる。
警備兵:
「申し訳ありませんが。
もうしばらくお待ちください。
あと少しで、積荷が増えますので……」
どういう意味だ……
嫌な予感しかしない。
脈がさらに速くなり、頭に血が上る。
声:
「死に…たく……な 助……」
風に乗って小さな声が届く。
コイツラは、何をしている!
声:
「君のためだ!
飲むんだ!」
声:
「ま…だ…… た……す…」
声:
「苦しみが伸びるばかりだ!
頼む!」
駄目だ。
聞いてられない。
直樹:
「ユミル、フリスト。
行くぞ!」
ユミル、フリスト:
「はい」
二人が、答える。
俺達は止める兵士を無視して、テントの奥へと進んでいく。
仕切りに囲まれた大きな場所があり。
何人もの兵士が横たわっていた。
直樹:
「ここか!?」
その他:
「なんですか!?
あなた達は!」
白い服を着た、男が驚いている。
この服は見た事がある、軍医だ。
直樹:
「追加の荷物とは……これか?
こいつらは、何だ?
全員、殺すのか!」
息も途切れ途切れで、呼吸が荒い。
軍医:
「殺すとは、人聞きの悪い!
私だって手を尽くしたんだ!
このままでは、死は避けられない。
これ以上、苦しませたくない!
助けられるなら。
私だって……」
直樹:
「他の医療施設には、運べないのか?」
軍医:
「無理だ……
移動に耐えられない」
直樹:
「回復魔法は?」
軍医:
「君は、何を言っている?
死にかけた人間を回復する魔法なんて。
一兵士に使える訳が、無いだろ!?
いったい、いくらかかると思っているんだ。
成功率だって低いんだぞ!」
直樹:
「そうか……」
回復魔法ができていないのが、悔やまれる。
軍医:
「さっきから、お前は!
一体、何なんだ。
ここから出て行け!!」
直樹:
「通りすがりの死神だ。
冒険の書」
1番と連絡を取る。
直樹:
「1番聞こえるか?
そちらの食糧事情を、おしえてくれ」
1番:
”はい。
現在、食べ物は潤沢です。
かなり余っています”
軍医:
「警備兵!
こいつらを連れ出してくれ!」
直樹:
「何人か放り込んでも。
大丈夫か?」
1番:
”来るんですか?
こちらは、大丈夫です。
助けてあげてください”
直樹:
「ありがとう。
隷属の書を使う。
初めの畑に転移した奴に、状況だけ説明してくれ。
外の連中を説得させるかもしれない」
1番:
”わかりました”
兵士が数人集まってきた。
兵士:
「なんだ!?
お前達は?
邪魔だ、下がれ!!」
ユミルとフリストに、兵士の相手をさせる。
瀕死の奴に話しかけた。
直樹:
「このままでは、お前は死ぬ。
俺なら生かしてやれるが、条件がある。
生きるか死ぬか、自分で決めろ!」
隷属の書を取り出すと顔に貼り付ける。
頭に文字の幻影が飛び込んでいく。
周りの兵士達が、剣を抜いた。
隷属の言葉を言うと、体が消え去った。
向こう側では、完治して居るはずだ。
兵士:
「仲間を!
仲間を、何処へやった!」
一人の兵士が叫ぶと、襲い掛かってきた。
直樹:
「何を言っているんだ?
俺も。
お前の仲間のはずだが!?」
フリストが、一人の兵士を素手で吹き飛ばした。
一気に険悪になる。
武器と盾を構え、2列に並ぶ。
兵士達は、すでに戦闘姿勢へと移行していた。
直樹:
「まぁ。
誤解もあるだろう……
少し待て」
<おっさんの畑>を開くと。
さっきの奴を転送した。
隷属者:
「我が主よ。
17番です。
よろしくお願いします」
剣を抜くと。
すぐに俺たちと、兵士たちの間に割り込んだ。
兵士:
「アクセリ!
生きていたのか!
それに、その体は……」
17番:
「すまないな、ヘンリック。
俺自身。
生きているか死んでいるかは、わからない。
だが、主に。
命は救ってもらったと思っている!」
周りに居る兵士たちが、混乱している。
直樹:
「おい、そこの軍医!
手遅れの連中は、俺がもらっていく。
案内しろ!」
軍医:
「しかし……
これは、どうして!?
だが……
彼は、助かったのか?
私はいったい……
何を見ている?」
直樹:
「俺は、死神だと言っただろ?
お前は、どうしたい?
仲間の死体を、もっと増やしたいのか?
それとも、助かる確率に掛けるのか?
軍医。
お前も、今、見た通りだ。
さっきの奴は、死神の力で治した。
ただし、俺の所有物としてだが……
詳しく知りたいのなら。
統括王に聞くといい」
軍医:
「本当に?
助かるんです……か?」
フラフラと歩くと。
17番に近づき、話をしている。
こちらに戻って来た。
軍医:
「わかり……ました。
案内します。
意味が分かりませんが。
助かる可能性があるのであれば。
助けてあげてください」
直樹:
「全員が、助かるわけではない。
本人の意思が優先される」
軍医:
「それでも。
お願いします」
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