輸送の仕事 おっさんの畑・10
朝の積み込みの時間だ。
隠れ家への出入口を回収しておく。
兵士に連れられて、テントへ行くと沢山の人が壺に何かをやっていた。
直樹:
「ユミル。
あれなんだ?」
ユミル:
「壺に氷の魔法をかけてるみたいですね」
直樹:
「昨日、俺達もやった奴か!
この人数、すごいな!」
フリスト:
「うわぁーー。
こんなことに魔法を使って……
馬鹿だよ。
あいつら馬鹿だ」
直樹:
「あの木箱……
荷台に積まれていたやつか?」
ユミル:
「あの中に、氷の魔法が入れられてたんですよ」
直樹:
「そうか……
どん欲な連中だな」
冷えた壺を積み込むと出発した。
2日かけてソケリへ到着。
冷やした壺を取り出さないように念を押しされた。
朝、魚を取り出し木箱を積み込み出発する。
夜になるとシエニに到着する。
朝に木箱をおろし、冷えた肉の壺を取り込み出発した
夜には首都へと到着し、宿舎で眠りにつく。
朝になると少将の迎えが来た。
ノルナゲスト:
「ナオキくん、ご苦労様」
直樹:
「あぁ。
ユミルに金を」
荷物を取り出すと、ユミルが金を受け取る。
兵士がワラワラと現れて、荷物を運び出した。
ノルナゲスト:
「君も十分慣れた頃だ
そろそろどうかな?」
直樹:
「あぁ、木箱の増額か?
じゃあ、1日3000だな」
ノルナゲスト:
「3000!!
それは、ありがたい!
いや、いや。
もちろん嬉しいのだが、それではなく。
フリスト君から、提案がなされた件だ……が?」
直樹:
「あぁ
戦地への輸送か?」
ノルナゲスト:
「そうだ。
どうだろう?」
直樹:
「金は増えるのか?
安全の確保も頼む」
ノルナゲスト:
「安全の確保は当然だ。
しかし、資金はな……」
直樹:
「お前、積荷を増やすんだろ?
その間に少し、聞きたい事がある」
少将は兵士を呼ぶと、指示を出していた。
ノルナゲスト:
「なんだろう?」
直樹:
「俺から野菜を、買う気はないか?」
ノルナゲスト:
「唐突だな」
直樹:
「最近、領主になってな……
家来も1人できた。
とても小さいが、畑もあるんだ」
ノルナゲスト:
「はぁ?
君は、いったい何を?」
直樹:
「それで、作物ができたら。
買って欲しいんだよ!
安くしとく」
ノルナゲスト:
「いや……
だって君は、ずっと輸送に……」
混乱した少将はユミルのほうを見る。
ユミルが頷くと、少し平静を取り戻した。
直樹:
「話してやってもいいんだが、情報の秘匿はどうなっている?」
ノルナゲスト:
「情報の秘匿?
どの話だ?
なんの話だ?」
面白いな、混乱しているぞ。
今ならいろいろと情報を、喋るんじゃないか?
直樹:
「俺の事は誰と誰が知っている?
俺の能力は何処まで知っている?」
ノルナゲスト:
「君が異世界人だという事か?
統括王、軍の大将クラス、私の部下10名。
あと、君の警護と従者だ。
他の者達は。
君を魔法の研究開発者だと、思っているはずだ。
しかし、いずれは異世界人だとばれるだろう。
時間の問題だ。
こちらとしては、早く警護の数を増やしたい。
君の能力を知っているのは……
統括王、私と私の副官、君の従者。
私の前任者、つまり私の前に君を保護していた大将だけだ」
なるほどな……
大将クラスは、異世界人の情報を持っているのか。
直樹:
「うーーん
どうしようかな……」
ノルナゲスト:
「何を悩んでいる?」
直樹:
「俺の能力の話だ」
ノルナゲスト:
「君の能力は、輸送だろ?
現に、君は今まで輸送をしてきた。
この世界の住人では不可能な事だ」
直樹:
「さっき、言っただろ?
領主になったって!
俺の領土は、冒険の書の中にある」
ノルナゲスト:
「なんだ!!
それは!!
詳しく! 詳しく!」
直樹:
「うーーん。
内緒だ」
ノルナゲスト:
「いや、それは、ないだろ!
少しぐらいは、いいんじゃないか?」
直樹:
「少しだけだぞ!
まだわからない事が、多すぎるんだ。
役に立つかもわからない。
狭いしな!
不確定な情報で、軍に当てにされても困る。
お前……
秘密にできるか?」
ノルナゲスト:
「善処しよう……」
直樹:
「俺は、現在。
家と倉庫と畑がある。
だが狭いぞ!」
ノルナゲスト:
「家と倉庫と畑……
では、今までは倉庫に物資が?」
直樹:
「あぁ。
すべて個別になっていて違いがある」
ノルナゲスト:
「違い……とは?」
直樹:
「倉庫には、人は入れない。
俺は家にしか、出入りできない
家来は家と畑しか、移動できない
外には出て来られないみたいだ」
ノルナゲスト:
「そうか。
何を言っているか理解できないが。
不思議なものだな」
直樹:
「畑から取れた野菜を、買い取ってもらいたい」
ノルナゲスト:
「相場より安いのなら買う事もできるが。
量はどれくらいだ?」
直樹:
「そうなんだよな。
まだ数が、少ないし不安定なんだ」
ノルナゲスト:
「定期的に数がないと、買い取るのは難しいぞ。
木箱100は欲しい」
直樹:
「あぁ。
それでは定期的に、数が取れたときは頼む」
ノルナゲスト:
「そうか、そのときは物を見せてくれ」
直樹:
「小規模の買取先は知らないか?」
ノルナゲスト:
「私は、軍属だからな商売のことはわからない。
つてを探すにしても。
やはり現物がないと、やりようがない」
直樹:
「生産は始めたばかりで、まだ安定していない。
いずれは、頼む。
荷物は準備できたか?」
ノルナゲスト:
「そろそろだろう」
兵士が報告にやってきた。




