輸送の仕事 おっさんの畑・4
直樹:
「ユミル。
積み込みはあと何回だ?」
ユミル:
「あと2回です」
直樹:
「朝出発だから、今日と明日は自由行動か?」
ユミル:
「そうなります」
直樹:
「じゃあ。明日、魚介類を買っていくぞ。
魔法を用意しておけ」
ユミル:
「わかりました。
魔法は誰が持ちましょうか?」
直樹:
「誰が使える?」
ユミル:
「僕よりもフリストの方が、適正は高いですね」
直樹:
「じゃあ、フリストで」
ウロウロと街をぶらつく。
フリストは食事処を厳選していた。
ユミルの方は、明日に買い込む、魚介類の調査だ。
俺はただ眺めるのが好きなだけだ。
昼食を堪能すると、宿舎へと戻る。
俺は監視の兵に見守られ、昼寝をする。
ユミルとフリストは、調査に出かけた。
夕食も満足だ。
昼は焼き物、夕は煮つけだ。
至福の時を経て眠りにつく。
有り難いと聞いて食べると、なんだか特別な気がする。
朝になると何時ものように壺を取り込み、宿舎で朝食をとった。
フリストは、朝から調査に出かけるらしい。
直樹:
「フー、食ったな
筋トレでもするか……」
ユミル:
「ナオキ様。
少しお話が」
直樹:
「どうした?
いい海鮮があったのか?」
ユミル:
「実は。
フリストが少し、厄介ごとを……」
直樹:
「なんだそれ?」
ユミル:
「何といえばよいのか……
見て、いただけますか?」
直樹:
「ん? なんだ?
んーーー。
いいぞ」
ユミル:
「では、ご案内します」
ユミルの後についていくが。
無論、護衛兵たちも、ゾロゾロとついてくる。
直樹:
「いいのか?
兵士が付いて来ているが?」
ユミル:
「ナオキ様。
兵士を巻けませんかね?」
直樹:
「できるぞ!
人混でまく。
まずは、市場に行こう!
あとで目的地を教えてくれ」
市場につくと、超絶操作マッスルマリオネットをご披露する。
まわりを囲まれ、いい感じに人集りができた。
追加の機能で、加速、隠蔽、逃げ切りたいと、目的指定を発動。
ユミルを抱えながら監視の兵士から逃げ出した。
ここは何処だ?
道を何度も曲がり人気のないほうへと進むと、異臭がする。
そこには、フリストが立っていた。
直樹:
「おい!
フリスト。
そこで何を、している」
ビックと体が動くと、何かを隠すように移動した。
直樹:
「それにしても、酷い臭いだな。
気持ち悪い!」
ユミル:
「フリスト。
後ろに、隠しているのは誰だ!」
フリスト:
「駄目!
見逃して。
もうすぐ死んでしまうから……」
俺はフリストに近づき、後ろを覗き込んだ。
直樹:
「ウヮァ!
何だそれは!」
フリストの後ろには、人間がはいつくばっていた。
あれは、足が折れているのか?
よくは見えないが……、足が。
曲がってはいけない方に、曲がているように見えた。
皮膚の色も悪い、ハエもたかっている。
左手で何やら食べているが、歯も殆どない。
俺から見れば、生きているのが不思議なぐらいだ。
風呂にも入っているはずがない。
異臭が、コイツから立ち込めていた。
ユミルが短剣を構える。
ユミル:
「脱走兵か……
フリスト!
そこを退け!」
フリスト:
「駄目!
見逃して」
両手を広げ、身を挺して庇う。
ユミル:
「フリスト!
お前!
回復の魔法を、脱走兵に使ったのか?
重大な軍規違反だぞ!」
直樹:
「何だそいつ。
すぐにでも、死にそうだぞ」
フリスト:
「ナオキちゃん。
助けて!」
直樹:
「ユミル。
どうなっている?」
ユミル:
「フリストが脱走兵を匿っています。
本来であれば、脱走兵は軍部へ届けるべきもの。
しかし、あれはもう長くない。
想像を絶する苦痛を、感じているはずです。
苦しまず殺してやるのが、温情というもの……」
直樹:
「殺すにしても、届けるにしても。
痛みを止めるか。
体を治す必要があるだろうが……
冒険の書」
超回復ラブリービューティーを唱えた。
直樹:
「追加、超回復ラブリービューティー。
死にかけている男の傷を回復せよ」
ブーーーーーーーーーーーーー。
ブザー音が聞こえた。
直樹:
「ん?
追加、超回復ラブリービューティー。
対象は俺の目の前にいる男だ!
そいつの痛みを取れ」
ブーーーーーーーーーーーーー。
ブザー音が聞こえる。
魔導書ドラクエ:
”オイ!
馬鹿ナオキ!
何やってる?”
冒険の書から目玉と6本の足が出現した。
直樹:
「ウヮ!
気持ちワル!」
魔導書ドラクエ:
”酷い奴だな!”
直樹:
「そんなことより、魔術が発動しないぞ!」
魔導書ドラクエ:
”そんなの当たり前だろ?”
直樹:
「何だそれは? 初耳だぞ!」
魔導書ドラクエ:
”君は、ちゃんと調べなかったのか?
超回復ラブリービューティーについて!”
直樹:
「追加機能なら聞いたぞ!」
魔導書ドラクエ:
”それじゃない
基本機能だ!”
直樹:
「え!
そんなのあるの?」
魔導書ドラクエ:
”馬鹿か!
聞いてこい”
直樹:
「わかった」
冒険の書を開き直す。
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