輸送の仕事 初めてのお使い・3
ユミル:
「今から軍の物資格納施設へと入りますよ。
ナオキ様の存在は最重要機密となっており、情報は秘匿されます。
僕の補助役という扱いになっていますので。
よろしくお願いします」
直樹:
「へぇーー。
何を、やればいい?」
ユミル:
「基本。
無言でお願いします」
直樹:
「それなら大丈夫だ。
ユミルとフリスト以外は、無視でいいな?」
ユミル:
「はい、助かります」
しばらくすると、馬車が止まり馬車の外へと全員がでる。
兵士達が近寄ってきた。
兵士:
「自分はヘディン曹長です。
物資の運搬、ありがとうございます」
ユミル:
「自分は今回の物資輸送を担当しました、軍曹のユミルです」
ヘディン曹長:
「ユミル軍曹。
輸送物資はどちらに?
竜車1台しか、ないように見えますが……
明日の到着でしょうか?」
ユミル:
「新しい輸送方法の試験です
まずは、物資の搬入テントへの案内をお願いします」
ヘディン曹長:
「はい。
ではついて来て下さい」
後をついていく15分ほど歩くとテントに着いた。
ヘディン曹長:
「こちらになります」
ユミル:
「中を確認させてください。
後は我々3人で作業します。
他の方は、ご遠慮いただきたい」
ヘディン曹長:
「わかりました」
テントの中から数人出てきて、入れ替わりに俺とユミルとフリストが入る。
ユミル:
「ナオキ様。
お願いします」
直樹:
「おう。
冒険の書」
取り込んだ物資をテントの中へと設置した。
ユミルとフリストが音を立てながら、テントの中をうろつく。
木箱を移動したり、積み替えたり。
何やってんだ?こいつら……
軍独自のルールがあるんだろうか?
30分ほどすると作業が終了したらしい。
ユミルが曹長をテントへと招いた。
ヘディン曹長:
「おおぉ!
これは……」
ユミル:
「ヘディン曹長。
荷物の確認をお願いします」
ヘディン曹長:
「おーーーい。
みんな荷物の確認を頼む!」
兵士達が、数人やってきて確認作業を始めた。
ヘディン曹長:
「ユミル軍曹。
時間ももう遅い。
今日は宿舎で休んでください。
確認結果の報告は、明日の朝でいいですか?」
ユミル:
「はい、結構です。
心遣い、感謝します。
それでは、みなさん行きましょう」
兵士に案内され宿舎へと着いた。
ユミルとフリスト俺の3人だけだ。
他の連中は別の部屋へと案内されたらしい。
フリスト:
「終わった、終わった。
俺様、疲れたよ」
直樹:
「思ったよりも楽だったな。
そういえば、ユミルとフリストは何やってたんだ?」
ユミル:
「木箱の移動の件ですか?
あれは荷物の状態確認と整理。
後はちょっとした擬態ですね」
直樹:
「擬態?」
ユミル:
「ええ。
ナオキ様が荷物を出して、すぐ受け渡したら不思議に思いますよね?
すぐに我々に興味を持つと思います。
実は荷物を転移させる魔法はあるんですよ。
コストが高く割に合わない事と、荷物の損傷がよく起こるんです。
新しい輸送方法の試験ということで、我々は来ていますので。
何かの魔法で取り出したように、勘違いしてもらえれば良いのですが」
直樹:
「魔法といえば魔法なんだが。
あぁ魔術か。
毎回、あれをやるのか?」
ユミル:
「いえ。
ナオキ様の輸送が定期的になれば、信用できる者達が手配されます。
それ以外は、やることになりますね」
直樹:
「ふーーん、そうなんだ……
え!
今、何ていった?
定期的とか言わなかったか?」
ユミル:
「はい。
あの少将の事だからやりそうかな……
と思いませんか?」
直樹:
「確かに……な。
それだと、身動きがとれなくなる」
ユミル:
「現状として。
ナオキ様が目指しているご家族探しには、軍を利用するのが早いはずです。
異世界人の探索と保護は、軍にとっても有益ですから」
直樹:
「しかし……だな」
ユミル:
「そうですね。
ナオキ様はまだ、こちらの地理に詳しくありません。
探すための手がかりが、何かあるか。
もしくは、大規模捜索隊を指揮できるか。
どちらかが、必要だと思います」
直樹:
「どちらも無いな。
クッソ!
もう寝る」
ユミル:
「はい」
日本ならどうするだろうか?
まずは、警察に捜索願を出す。
続いて駅でのビラ配りだ。
あとは車で、行きそうな場所を探すくらいだ。
警察はない、ビラも作れない、行きそうな場所もない。
無い、無い、無い、何もない。
ベッドに横になると眠りについた。
コンコンコンコン。
朝早く扉が叩かれ、ユミルが応対する。
すでに食事をおえて、いつでも出れる様に準備してあった。
ユミル:
「ナオキ様。
帰りに荷物がありますのでお願いします」
直樹:
「荷物?
まぁ、見てみようか……」
案内について行くとテントへと通される。
昨晩見た、曹長が待っていた。
ヘディン曹長:
「ユミル軍曹。
破損した装備品と酒、干し肉、医薬品、合計820。
確かに受け取りました」
ユミル:
「ヘディン曹長。
荷物に異常はありませんでしたか?」
ヘディン曹長:
「特に問題はありません」
ユミル:
「そうですか。
それでは、こちらの書類にサインをお願いします」
ユミルが渡した紙にサインをしている。
ヘディン曹長:
「ユミル軍曹。
帰りにこちらの修繕した装備をお持ちください」
ユミル:
「ナオキ様。
どうですか?」
直樹:
「何箱あるんだ?
それに、きちんと積まないと持てないぞ。
何箱かは、動かさないと」
ユミル:
「ヘディン曹長。
あれは、何箱あるんですか?」
ヘディン曹長:
「500です」
ユミルがこちらを見てくる。
直樹:
「500なら多分持てるはずだ。
キレイに並べる必要があるが」
ユミル:
「わかりました。
今回の輸送方法は物資を綺麗に並べる必要があります。
ヘディン曹長、お手伝いをお願いできますか?」
ヘディン曹長:
「承知しました。
みんな、手伝ってくれ」
人払いしたあと、本へと取り込む。
ユミル:
「ナオキ様。
首都へと戻ります。
着くのは夜です」
直樹:
「そうか……」
人使いが荒いな。
といっても、俺は寝ているだけだが。
馬車に乗るとすぐに出発する。
道中、人数が増えたり減ったりしたが気にしない。
寝てるだけで食事がもらえる。
仕事になるとは驚きだ。
さすがに身体は痛い。
異世界でも働くんだな。
首都につくと今までと同じ宿舎へと戻った。
明日は朝から少将と会うらしい。
色々と話しておきたい事がある。
ベッドに潜り込むと、すぐに眠りについた。
コンコンコンコン。
扉が叩かれ、ユミルが応対する。
ユミル:
「ナオキ様。
ノルナゲスト少将より呼び出しです」
直樹:
「わかった、行こう」
感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。
おかしい部分や修正点、加筆部分なんかを知りたいです。
よろしくお願いします。




