旅立ち 出立に向けて・3
ある宿舎での夕食の時間。
直樹:
「変質者が出るとは、嘆かわしい。
ここは軍事施設だぞ!
警備体勢は、一体どうなっているんだ?
俺の命に、危険はないのか……」
フリスト:
「ナオキちゃん。
本気で言ってるの?」
ユミル:
「ナオキ様。
思い出作りも、やめてもらえませんか?
そろそろ警備兵も本気で動き出しますよ!」
直樹:
「え!
本当に?
別に実害はないだろ!
何か法律に抵触しているのか?」
ユミル:
「抵触していないとは、思いたいですが……
少し騒ぎが、大きすぎます」
直樹:
「しかし……な。
まだ。
ユミルの上司と、話ができない……から、な!」
ユミル:
「え!
僕が悪いんですか?」
直樹:
「いや、そうではない。
ユミルの上司と会う前に。
俺の方も色々と、準備がいるんだよ」
ユミル:
「明日は、やめてくださいよ」
直樹:
「善処しよう」
ユミルに怒られてベッドへと潜り込む。
朝まで寝るつもりだったが、夜中に目が覚めてしまった。
これは、神の天啓に違いない。
軍の方々に、超回復ラブリービューティーをお伝えせねば……
もう、ヤケクソだ!
超絶操作マッスルマリオネット、恐るべし。
今夜も何事もなく、ベッドへと帰ってこれた。
俺は、いったい何をしているんだ。
ハァ……
購入ポイントを増やせる方法が、これ以外に見つからない。
ベッドへと潜り込むと目を瞑った。
目が覚めると、ユミルがご機嫌斜めだった。
朝食も無言で食べている。
何やら考え事しているようだ。
食事が終わると、急に立ち上がる。
ユミリ:
「フリスト。
ナオキ様を頼む。
至急、ナオキ様が面会できるように手続きをするつもりだ。
僕らの勇者様がこれでは困る。
数日、開けるかもしれない。
頼んだぞ!」
フリスト:
「おう!
俺様に任せとけ!」
ユミルは急いで、出て行ってしまった。
まずいな。
戦力が減ってしまったぞ。
警備兵に捕まったら、どうしよう……
フリストでは心もとない。
フリスト:
「ナオキちゃん。
今日は何処でやるの?」
直樹:
「適当にだ……な。
その前に、少しテストだ」
食事用のフォークを右手に軽く刺してみる。
チクチク痛い。
普通に刺さるな。
フリスト:
「そんなことしちゃ駄目だよ!」
直樹:
「いや、そうじゃない。
魔術のテストだ。
冒険の書。
追加、超絶操作マッスルマリオネット。
5秒間、右手を鋼鉄のように硬化」
フォークを右手に刺すが、まったく刺さらない。
力を入れても大丈夫だ。
無事、硬化している。
直樹:
「フリスト。
俺の右手にフォークを指してくれ」
フリスト:
「危ないって!」
直樹:
「だから魔術で強化してるんだって。
それに右手を刺したぐらいじゃ死なないだろ?
俺が魔術を使うから。
まず右手を触ってみて、硬かったら刺してみてくれ。
硬化時間は30秒だ」
嫌そうな顔をしていたが、返事をくれた。
フリスト:
「わかった……」
直樹:
「さて、始めるぞ。
冒険の書。
追加、超絶操作マッスルマリオネット。
30秒間、右手を鋼鉄のように硬化」
フリストが右手を触り始める。
フリスト:
「お!
硬い」
ガシガシとフォークを刺した。
フリスト:
「おもいっきり、やっても……
いいの?」
直樹:
「いいぞ!」
フリスト:
「ウラ!!」
直樹:
「痛っい」
勢いよくフォークを突き立てた。
グシャと曲がってしまう。
しかし、所詮は薄い皮膜か。
フォークの先が右手に少しだが、刺さってしまった。
フリスト:
「オーーーー!」
直樹:
「冒険の書。
追加、超回復ラブリービューティー。
右手を止血、その後30秒間修復。
フリストどうだ?
戦闘には使えそうか?」
フリスト:
「うーん……
難しい質問かな?
無いよりは断然いいけど。
武器ってそれぞれ特徴があるからね。
細い剣ならたたき折れるかも。
でもメイスみたいな武器だと、やばいんじゃないかな?」
直樹:
「そうか。
あと何ができるのかな。
まあ、ゆっくり考えるか。
フリスト。
思い出作り出掛けるぞ!」
フリスト:
「はーい」
街へと出て、思い出作りに勤しむ。
自分でも勤勉な奴だと思う。
元サラリーマンは伊達ではない。
にこやかに、ポーズを決めていると警備兵が走ってきた。
フリストを抱えて、すぐに宿舎へと逃げ去る。
直樹:
「冒険の書」
<ポイント>
使用ポイント 125
購入ポイント 1081
もう少しなんだが……
なんだかポイントの増え方が、減少しているような気がする。
警備兵が動き出した……
そろそろ限界なのか?
直樹:
「俺は夕食まで寝るよ。
フリストも休んでくれ」
フリスト:
「うん。
ありがとう」
夕食の時間まで寝ることにした。
ブスッ、ブスッ。
ブスッ。
フリスト:
「ナオキちゃん。
何してるの?」
先ほどから夕食のパンをフォークで突いているのだ。
直樹:
「フリストって。
戦闘訓練とか受けてるだろ?」
フリスト:
「そうだね。
軍にいるから一通りは、やらされるよね」
直樹:
「俺はそういうのは、やった事はないからさぁ。
万が一。
そういう事があった場合、何もできないだろ?」
フリスト:
「それは、ユミルや俺様が……
ナオキちゃんを、守るから良いんじゃないかなぁ?」
直樹:
「でも、常にできるとは限らないだろ?
スキルで何とかできないかな。
おお、そうだ!
早速試してみよう」
パンちぎり放り投げる。
落ちてくるパンをフォークで突き刺したが、刺さる訳がない。
何度やっても結果は一緒だった。
フリスト:
「行儀が悪いよ。
パンがもったいない」
直樹:
「冒険の書。
追加、超絶操作マッスルマリオネット。
パンにフォークを刺せ」
パン放り投げ、フォークを突き刺そうとした。
すると、身体が勝手にフォークを持ち替え、パンをフォークで突き刺す。
直樹:
「お!
刺さるじゃんか!
しかも自動」
フリスト:
「ナオキちゃん、パンで遊んじゃダメ」
直樹:
「おお、すまない」
じゃ次だな……
食事に使うナイフを壁に向かって投げる。
カラン、カラン。
ナイフを拾っては投げてを繰り替えす。
フリスト:
「ナイフが汚れるでしょ?」
直樹:
「ごめん、ごめん。
あと1回だけだから。
冒険の書。
追加、超絶操作マッスルマリオネット。
ナイフを投げて壁に刺せ」
ナイフを壁に向かって投げようとした。
すると、身体が勝手にナイフの刃の部分を持ち、壁へと投げつける。
ガッ。
カラン、カラン。
一瞬、壁には刺さったが、すぐに落ちてしまう。
フリスト:
「ナオキちゃん。
ナイフを投げるのなら専用のやつじゃないと。
うまく刺さらないよ。
先がもっと鋭利なことと、重心の位置が悪いとうまくいかない。
あと重量」
直樹:
「ふーん。
でも。
一瞬、刺さったな」
これは緊急時に使えるものなのか?
毎回、指示が必要だからな。
プロには勝てないだろうし。
直樹:
「悪かったな。
ちゃんと食事をするよ」
食事がおわると眠りについた。
軍施設へと思い出作りに、出かけようと思ったが今回はやめておく。
警備兵に追いかけられたばかりだ。
今日、ユミルは帰って来なかった。
ウーーーーン。
背伸びをするとベッドから起きる。
疲労が貯まっていたのか、かなり寝過ごした。
昼食がおわると、監視塔まで走っていく。
お腹が減ったのでフリストに食事を買いに行ってもらった。
超回復ラブリービューティーをご披露する。
あともう少しなんだよな……
誰?:
「オイ!
お前が、大道芸人のナオキだな!」
直樹:
「いえ!
人違いです!」
後ろを振り向くと軍服を着た連中が10人ぐらい居る。
一人の男が目くばせすると、すぐに囲まれた。
軍服?:
「キミ。
超絶勇者なんだって?
さぞかし強いんだろ?」
直樹:
「違います!
僕の名前は、アマノ!
趣味は、お花を育てる事です!」
ガラの悪い軍服?:
「そんな訳ねえだろ?
始めから見てたぞ!」
強盗目的の軍服?:
「俺達と力比べしないか?」
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