旅立ち 固有・空間支配・2
直樹:
「フリスト、散歩に出かけるぞ」
フリスト:
「何?、奢ってくれるの?」
直樹:
「金は、持っていない」
フリスト:
「私は、奢らないよ!」
直樹:
「別に、いらない」
フリスト:
「何しに行くの?」
直樹:
「フリストと……
素敵な思い出を作りたいんだ」
フリスト:
「そう?
仕方ないな。
私、可愛いから。
じゃあ、行ってやろう」
フリストと散歩に出かけた。
ゆっくりと近くの店を見て回る。
酒、肉、魚、果物、青果、花屋、衣類、靴、刃物、パン、菓子、飲食い処、家具、大工、薪釜戸、薪
色々な店があったが想像の範囲内だ。
直樹:
「本屋が見当たらないな……」
フリスト:
「何言ってるの?
本屋ならさっきあったじゃん」
直樹:
「え?
あったか?」
フリスト:
「紙が丸まったのが、置いて在るところ!」
直樹:
「あーーー
巻物ってやつか。
本てないの?
これぐらいのやつ」
ハードカバー製本の大きさを、身振り手振りで伝える。
フリスト:
「あるけど。
そうだね……
安くても1冊、20万くらいするよ」
直樹:
「高いな!
紙は、どれくらい?」
A4ぐらいの大きさを伝える。
フリスト:
「1枚50ぐらい」
直樹:
「そっちは安い……のか?」
金額は、どうなっているんだ?
1冊、20万であれば。
紙は1枚3000ぐらいだと思うが。
直樹:
「なんで本は高くて、紙は安いんだ?」
フリスト:
「紙は魔法で作るでしょ?
本は手で書き写す訳だし」
直樹:
「なんで魔法で複製しないんだ?」
フリスト:
「何言ってるの?
そんな複雑なことできるわけないでしょ?
紙の作り方はいつも同じだから、
専用の魔法で、できるじゃんか」
直樹:
「そうか?
凸印刷・ガリ版・版画だってあるだろ?」
フリスト:
「なにそれ?
初めて聞く言葉」
直樹:
「普及してないのか?」
フリスト:
「私は知らない」
本が高いんだから印刷技術はない。
という事は未知の知識なのか?
いままでの異世界人は何をしていたんだろう?
秘匿されているのか?
そういえば、俺はこの世界の字が読めたな。
書いたことはないが。
直樹:
「そうそう、写本だね。
写本、写本」
フリスト:
「?」
直樹:
「本や巻物を読める場所はないのか?」
フリスト:
「原典は、軍の書庫か図書館かな?
ナオキちゃん。
初めに言っとくけど、盗めないよ。
監視が付くし本や巻物は鎖で繋がっているから。
魔法のアラームもあるしね」
直樹:
「俺は、盗まないし!」
フリスト:
「ふーん。
図書館は、お金がかかるよ」
直樹:
「そういえば。
さっき変なこと言わなかったか?
原典とか」
フリスト:
「原典?
原典は、原典だよ」
直樹:
「原典ではない……本があるのか?」
フリスト:
「それなら、あっち。
魔法屋。
内容を知りたいなら投影する魔法がある」
直樹:
「何が違うんだ?」
フリスト:
「原典はそのまま、文章も完全。
投影本はピンからキリまであるよ。
紙に映し出すものは間違っているやつが多い。
それでも大まかな内容は分かるんだ。
原典は魔力が宿ることが多いから、魔法で正しく記録するのは難しい。
強力な魔法であれば記録できるけど、そのぶん値段は高くなるよ。
朗読するものもあるけど、上手い下手があるから。
100くらいの、安いやつでも十分かな?
でも私は、投影本を買う気にはならないよ。
何年かすると壊れるから。
熱狂的な奴は、図書館に行って、自身ですべてを書き写す。
必要な部分だけを写すのが一般的かな。
本なんか1回読めばそれで終わりでしょ?
明日生きるか死ぬか、こんな時代に本にこだわる奴はいないと思うよ」
100円から売ってるのか。
本の複製技術は必要ないな。
あまり需要がない。
直樹:
「そうだな。
帰るとするか……」
イベント目当てに散歩へと出かけたが。
特に何も起きなかった。
宿舎へ戻り、明日に備え眠りにつき。
そして朝を迎えた。
直樹:
「ユミル、案内を頼む」
ユミル:
「わかりました。
付いて来てください」
朝食を済ますと昨日頼んだ実験会場へ向かう為。
ユミルの後を付いていく。
10分ほど歩くと、大きめのテントへと案内された。
ユミル:
「ナオキ様、こちらです」
中に入ると、中心に木箱が乱雑に置かれていた。
ボロボロになった防具のような物。
手袋、紙の束、拳大の古びた木片。
直樹:
「これは、ゴミか?」
ユミル:
「はい。
不要なものを集めました」
持ってみると結構重い。
テスト用の物資としては合格だ。
まだ新しい巻物が、在ったので広げて中身を確認する。
<兵士心得>
1 作戦目標を理解し、任務を遂行せよ
2 上官の指示に従い、規律を順守せよ
3 常に冷静を保ち、効率的に行動せよ
4 互いに連携し、攻撃せよ
5 敵に変化があれば、速やかに報告せよ
6 自らの役割に責任を持ち、実行せよ
7 戦闘継続に、尽力せ
8 常に装備に、気を配れ
直樹:
「へぇー。
軍隊ってこんなのやるんだ」
ユミル:
「あぁ。
すみません。
不用品でも軍の物なので、中身を触るのはご遠慮ください」
直樹:
「そうか、すまない」
巻物を、元の場所へと戻す。
直樹:
「では、始めよう。
冒険の書」
<おっさんの倉庫>
使用可
おっさんの倉庫を押すと下へ文字が現れる
入庫 出庫 使用ポイント 1
『入庫』を押す。
使用ポイント 残り199
何も起きなかった。
あれ?
特に変化がない。
使用ポイントは200に増えたようだが。
範囲入出機能は、どうなった?
困ったときは、ヘルプだな。
<質問と回答>
質問の○ボタンを押す。
直樹:
「おっさんの倉庫で、範囲入出の使い方を知りたい」
ポイントで、即回答させる。
A:入庫を長押しする その後、底面4点と高さを指定する
購入ポイント 残り1447。
なるほど……
<おっさんの倉庫>
入庫を長押しすると、押している指先が青く光りだした。
ユミル:
「オーーーーー!!」
まずは、端の方に置かれている3つの木箱で試すとする。
木箱を囲むように、4点地面を指で触った。
しばらくすると指の高さまで、青い立体が現れる。
指を上下すると、立体の上面も上下するが。
どうやって、高さを確定するんだ?
指の上下で高さだから、左右か?
適当な高さで、指を左右に振ると指の光が消える。
青い立体は残ったままだ。
『入庫』を押すと青い立体共に木箱が霧散する。
使用ポイント 残り173。
アイテムボックスの一つの四角に、青い立体が表示されている。
ユミル:
「ナオキ様!
消えましたね!」
直樹:
「あぁ。
冒険の書に取り込まれたんだろう」
ユミル:
「重くは……ないんですか?」
直樹:
「俺に重さは伝わらないようだ」
ユミル:
「これで取り出せれば、沢山運べますね!」
直樹:
「うーーん。
どうだろう?
喜ぶのは色々試してからだ」
使用ポイントが26もとられた……
まずは取り出しだ。
アイテムボックスから選択し、出庫を押すと。
緑の立体が現れ、底辺の1点が指に張り付いている。
直樹:
「何処に置こうかな……」
立体を置くために、うろついていると。
緑の立体に木箱が接触する、色が赤に変わった。
離れると緑色に戻る。
便利だな。
設置できない場所は、赤に変わるんだろう。
適当な地面に指を付けると3つの木箱が現れた。
使用ポイント 残り172。
取り出すのは、1ポイント。
問題になるのは、入庫作業か……
感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。
おかしい部分や修正点、加筆部分なんかを知りたいです。
よろしくお願いします。




