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ドラゴンの国と深淵へのクエスト ~異世界転移したおっさんが、戦場を彷徨う~  作者: 社畜とキメラ
第一章 異世界転移したおっさんが、壊れた魔導書と旅に出る。
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壊れた異世界人 辞令

机の上を書類を片付ける。

短い間だが世話になった。

楽しかった思い出など全く無い。


それでも感謝の気持ちは湧き上がる。

妹の命を繋いできた大切な場所だ。

もう僕には出来ることは何もない。


道は他者によって敷かれた。

僕に選択肢はなく、歩くことしかできない。



少尉:

「ユミル伍長。

 異世界人と供に行くのか。

 おめでとう、と言うべきかな?」


ユミル:

「短い間でしたが、お世話になりました」


少尉:

「ノルナゲスト少将がお呼びだ。

 急いで行ってくれ」


ユミル:

「少将が、直接お呼びですか?」


少尉:

「そうだ。

 陸軍棟の2階だ。

 受付で聞けば、教えてくれる」


ユミル:

「わかりました」




一息ついて、服装を整える。

コンコンコンコン。



ユミル:

「情報部伍長ユミル参りました」


不明:

「入りたまえ」


ユミル:

「失礼します」


40代男性:

「まずは、椅子に掛けてくれユミル伍長」


ユミル:

「はっ。

 失礼します」


言われるままに席に着く。


40代男性:

「倉庫であって以来だね、ユミル伍長。

 私が、ノルナゲストだ。

 よろしく頼む」


ユミル:

「よろしくお願いします。

 ご用件を、伺ってもよろしいでしょうか?」


会釈をすると、話を切り出す。


ノルナゲスト:

「まぁ、そう急がなくても良いのではないかな?

 要件は、異世界人のことだ。


 軍へ協力をしたいという意向が届いている。

 君の交渉が、功を成したようだ。

 まずは、おめでとう。

 約束通り、君の妹さんの処遇改善について、

 ヴァンランディから、話があるから聞いてほしい」


ヴァンランディ:

「これから何度も、顔を合わすことになるはずだ。

 お互い建設的に、やっていこう。


 申し訳ないが、妹さんの話の前に、事務的な連絡があるから聞いてほしい」


ユミル:

「はい」


ヴァンランディ:

「君と我々の接触は、倉庫で偶然出会った時より少し前。

 異世界人の交渉を行うように、君へと命令書が出ている。

 ノルナゲスト少将が直々に手渡ししているはずだ。


 一応、説明しておくが……

 少将は大変優秀で、人を見る目には定評がある。

 今回の異世界人との交渉は非常に困難なものだと予想されていた。

 しかし。

 少将は君なら確実に達成できる、と見抜いた訳だ。

 軍では実績以外にも、体面が物をいう。

 言っている意味はわかるな?


 明日、異世界人から軍へと協力をしたい。

 という文章が正式に届く。


 君は3日後、

 遅くとも5日後までに交渉に関する報告書を提出してほしい。

 情報部の君の上司から、こちらに届くようになっている。

 我々に『壊れたの異世界人』の案件が来てから、

 粛々と交渉を行い、良い成果を出すことができたはずだ。


 君の妹さんは、すでに別の病室へ移っている。

 24時間、看護の者がつくように手配済みだ。

 君も安心して任務につくといい。

 新たな治療環境へ行ったばかりだ、妹さんも疲れているだろう。

 明日にでも、面会に行くといい。


 そうだった!

 ユミル伍長。

 ノルナゲスト少将より頂いたはずの命令書が……

 なぜかここに届けられている。

 大切な命令書だ、気を付けてくれ。

 上司へと報告書を渡すときに、必要になるだろう?」


ユミル:

「申し訳ありません」



いたって真面目な表情の中佐から、命令書の入った封筒を受けとる。

ご丁寧に折り目、誰かに踏まれたのか靴跡まで付いていた。

こんな細かいところまで、こだわる必要があるのか?

なんだコレ?

封筒の中には、他にも何枚か紙が入っていた。

僕が書くはずの報告書、その原文が入っている……



ノルナゲスト:

「さて、ユミル軍曹」


ユミル:

「昇進ですか?」


ノルナゲスト:

「後々、正式な辞令が届くだろう」


ユミル:

「ありがとうございます」


ノルナゲスト:

「今後の異世界人の話だが……

 彼には補給に関して協力してもらうつもりだ。

 たぶん1万人規模の物資が運搬できるだろう」


ユミル:

「1万人分もですか?」


ノルナゲスト:

「君は、彼の能力を知らないのか?

 能力は空間支配だ。

 君も本人に、確認しておくことように。

 彼は魔導書の中に、大きな倉庫を持っている。

 そこへ物を出し入れできるんだ。


 物資の輸送は敵に襲われることも多い。

 生命線だからな。

 護衛の兵を沢山つければ輸送できる物資の量が減るし、遠くからもよく目立つ。

 彼の協力があれば、目立たず安全に輸送できるはずだ。

 無論、護衛兵は付ける」


ユミル:

「頻度は、どれくらいになりますか?」


ノルナゲスト:

「何か問題があるのか?」


ユミル:

「彼は家族を探しに行くはずです。

 どこに行くかわかりません」


ノルナゲスト:

「たぶん大丈夫だ

 軍もいくらか協力するし、国中をまわるのだろう?

 物資供給の目的地を工夫すればいい。

 急ぎの場合は、飛竜を出す。


 活動資金と情報提供も行う。

 各軍事拠点で、報告を定期的に行ってくれ」


ユミル:

「活動資金は、どれくらいになりますか?」


ノルナゲスト:

「1000万だ」


ユミル:

「3ヶ月毎、1000万ですか?」


ノルナゲスト:

「いや

 2年で1000万だ」


ユミル:

「1年間で500万ですよ!」


ノルナゲスト:

「妥当な額だろう?


 従軍といっても、名目上になる公算が大きい。

 交戦するわけでもないし、諜報活動でもない。

 人探しは、こちら側でも手伝う。

 沢山の資金を与えたら、彼はどこかに行ってしまうぞ!

 彼の有用性もまだ、証明されていない。


 軍事拠点にいる際は、宿泊施設、食料、その他物資の提供もする。

 金はそれほどかからないだろう?

 説得するのが君の仕事だ!


 君は……

 自分の妹にかかる治療費を、活動資金に回すか?

 私はべつに構わない」


ユミル:

「いぇ……」


ノルナゲスト:

「頑張ってくれ。

 期待しているよ。


 ユミル軍曹。

 報告書の方を、至急頼む。

 また何かあったら、呼ぶこともあるだろう。

 今日のところは退席してくれ」


ユミル:

「はい、失礼します」



席を立ち、部屋の外へと戻る。

この条件を伝えるのか?

活動資金で揉めることは間違いない。


少将とまた交渉するのか。

また妹の件をチラつかせてくるのだろう。

はぁ……




コンコンコンコン。


フリスト:

「はーーーい」


扉が勢いよく開かれる


フリスト:

「ユミル、早くこい。

 ナオキちゃんが待ってるよ」


ちゃん付け?

席に座ると、異世界人に声をかけられる。


直樹:

「どうした、体調でも悪いのか?」


フリスト:

「いえ、大丈夫です」


異世界人は待遇の書かれた紙を、眺めている。


直樹:

「協力条件は……

 これでいい」


ユミル:

「え?

 いいんですか?」


直樹:

「まずいのか?」


ユミル:

「いえ……」


酷い条件だったはずだが……

紙を見るように自分に渡してきた。

少将が話した事と同じような内容だった。

いいのか?

これで……


直樹:

「金については気になっていた。

 1度だけだが金が1000万も支給される。

 俺はこの世界をよく知らないからな。

 働けるまでの当座の資金としては、ありがたい」


この人、働くつもりだったのか……


直樹:

「軍の宿泊施設は、好きに使えるし食事も出る。

 極力利用すれば金はほとんどかからないはずだ。

 もらった物資を換金するのは、駄目だろうな……


 移動についても馬車と護衛が付く。

 輸送目的ならある程度の安全を確保され、楽に移動もできる。

 それに、これだな。

 これは面白い!

 どうやら俺は、1万人規模の物資を移動できるらしいぞ!」


ユミル:

「え?

 知らないんですか?」


直樹:

「ああ、よく知らないんだ。

 自分の力についても色々と、実験する必要が出てくるな。

 これは異世界人の基本スキルだろうか?

 俺の知らないことまでわかるなんて。

 軍は色々と情報を持っているんだな」


ユミル:

「活動資金の方は、どうですか?

 毎年、支給があったほうが宜しかったのでは?」


直樹:

「なぜ?

 この国にとどまる気はないぞ。

 金があるには越したことはないが、働けるようにしておかないと後で困る」


ユミル:

「他に何か問題はありますか?」


直樹:

「特に問題はない」


ユミル:

「条件に問題がなければ、このまま進めていきます。

 それでは失礼します」


直樹:

「よろしく頼む」

感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。

おかしい部分や修正点、加筆部分なんかを知りたいです。

よろしくお願いします。

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都市名があるのですが地図がないと、把握が難しいので。 地図
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