貰い火 嘆き・19
敵は3つに分かれていた。
中央に兵士の約半数を割いている。
残りを左右に分けていた。
中央の敵部隊は、縦陣形を作っている。
前面に槍兵を配置。
その後ろには剣とウォーハンマーの近接兵。
後方はロングボウの兵で構成されていた。
左右の敵部隊は中央の部隊と違って、装備に統一感が無い。
鎧を付けていない者さえいた。
近接兵とクロスボウを中心とした兵士で構成されている。
散開しながらも横陣形を展開していく。
中央の敵部隊は、突破を図るようだ。
怒号や叫び声。
武器や鎧がぶつかる金属音や悲鳴が、一帯を支配した。
俺はすぐに、主力の兵士4千人を転移させる。
続いて300人を転移させた。
自分の後ろに配置し、護衛任務と背後を警戒させる。
騒音が支配する闇の中。
自分の前面に、兵士3千を横へと展開させる。
クロスボウを背中に持った近接兵。
投げ槍を数本持たせた近接兵で構成してある。
俺としては、全員にクロスボウを持たせたかったが。
4割しか数を確保できなかった。
俺の両側に500人ずつを配置する。
ロングボウを持つ兵士。
そして、大盾を持った護衛の兵士たちだ。
敵司令官はまだ、俺たちには気づいていないはずだ。
俺の兵は長さも短く、厚みも薄い。
大きな兵力を差し向けられたら、簡単に潰されてしまう。
俺が声を発すると同時に伝令が走る。
背後からの攻撃を開始した。
直樹:
「我が、勇敢なる兵士に加護を!
超絶操作マッスルマリオネット!
筋力、速度を強化、隠蔽せよ。
兵士たちを守れ!
購入ポイントは、10人当り2だ。
超回復ラブリービューティー!
止血を最優先、徐々に体力を回復せよ。
兵士たちよ、生きて帰れ!
購入ポイントは、10人当り2だ」
俺は戦いの中。
パンツ一丁で、セリフを喋り、ポーズ決めて輝く。
変な格好でセリフを喋り、お遊戯をして七色に輝いた……
今までで、一番恥ずかしい。
場違いだ。
兵士たちの動きが早くなり、敵の背後を圧迫し始めた。
敵兵の一部がこちらに向かってくるが、まだ少数だ。
数が違う。
俺たちは止められない。
投げやりとクロスボウの餌食になり、敵は次々と倒れていく。
何処かへと消えたフリストがこちらに戻って来た。
と思ったら、敵の隊列最後尾に突撃していく。
ドミノ倒しが起こった。
容赦なく戦斧を振り回し、槍を突き刺している。
ユミルが近くで援護していた。
味方兵士の一部が、フリストに加勢を始める。
投げ槍とクロスボウの矢を打ち尽くした連中が、接近戦を始めた。
遠くに散開していた敵兵士たちが、密集を始める。
両翼のロングボウ部隊がすぐに移動した。
敵密集地へと攻撃を集中し始める。
俺たちの兵士が、声を上げた。
隷属者たち:
「オウ! オウ! オウ!」
中将たちの兵士も声を上げて答えた。
兵士たち:
「オウ! オウ! オウ!」
中将たちにも、敵兵にも、俺たちの存在が露になる。
敵将校は選択を迫られる訳だ。
全面の敵に背を向けるか?
後ろの俺たちに背をさらすか?
これで中将との連携も可能になるはずだ。
敵の縦陣が中央手前で、割れる。
縦陣の3分の1がこちらへ向かって来た。
俺たちと衝突する。
近接兵で動きを止め、投げ槍と矢を打ち込む。
ユミルが適切に指示していた。
敵は混乱している。
俺たちの兵士数に比べると被害が格段に大きいからだ。
フリストが突撃して暴れまわる。
統率が乱れ、崩壊する。
敵兵士が逃げ出した。
残りが敵の横陣。
俺たちから見て右側の部隊へと吸収される。
右側へと延びていく。
なんだろう。
反転したな。
コレは……
横陣が整然と、俺の方へ向かってきている。
直樹:
「オイオイ!
こっちに、先が!
曲がって来たぞ!
護衛部隊!
右の敵、頭を抑え込む!
俺も出るぞ!」
冒険の書から、ロングボウと矢を取り出した。
直樹:
「追加、超絶操作マッスルマリオネット。
敵に命中させろ。
筋力と速度を2倍、20分間だ」
護衛部隊と一緒に移動した。
次々と矢を命中させるが。
全然、減る様子がない。
距離はまだあるが、数が多すぎる。
マズいぞ!
直樹:
「ユミル!
フリスト!」
ユミルが、一気に突っ込んでくる。
俺のそばに来ると、空に向かって魔法を放つ。
赤い閃光が駆け抜けた。
直樹:
「ユミル。
大丈夫か?」
肩でゼイゼイと、苦しそうに呼吸している。
護衛部隊が、敵先端と激突した。
中将が動く。
矢と魔法が降り注ぎ、敵兵士を分断する。
横陣の曲がった部分に、即応部隊をぶつけたのだ。
俺たちは中将の部隊と挟撃する形になった。
兵士数が少ない切れ端は、俺たちでも対処できる。
攻撃を集中すると、逃げて行った。
中将の兵士が、横陣の側面に攻撃を加え始める。
連携して攻撃を加えた。
しばらくすると。
中将の別働部隊が背後へと回り込んできた。
俺たちと合流する。
フリストが全身、血まみれで帰って来た。
フリスト:
「ナオキちゃん。
大丈夫!」
直樹:
「大丈夫だ。
兵を再編する。
お前も少し休め」
兵士を集める。
俺自身は、敵から少し距離を取た。
中将の部隊から物資を分けて貰う。
隷属者たちの戦闘は継続だ。
隷属者を100人、転移する。
兵士の探索、応急処置を指示した。
重体の兵士が並べられる。
体の欠損。
血を吐き、血の泡を吹いている者もいた。
加護が在っても、酷い傷には役に立たない。
謝りながら転移させる。
俺の謝罪に、首を振る者。
笑顔で返す者、虚ろな目でただ見る者。
様々だ。
恨み言を言う奴は居なかった。
罵倒される方が良かった。
彼らのうち、いったい何人が生き残れる?
死んだ人間は、何人いる?
俺は戦いを、拒否するべきだったのか?
遅かれ早かれ。
いつかは、こうなったはずだ。
慣れていくしかない。
敵の中央部隊は、中将の部隊と交戦。
拮抗しているように感じる。
敵左翼は分からないが、敵右翼との戦闘は優勢だ。
側面に回り込んでいるからな。
後は、敵左翼側の味方が防衛を主体に戦線を維持してくれれば。
勝ちが決まる。
敵は後方の俺たちに、あまり兵を裂けない。
急な方向転換は混乱を招き、分断されるからだ。
俺から見て右側。
敵側面へ中将の本格的な攻撃が始まる。
暴れまわっているフリストが見えた。
手を振って、呼び寄せる。
直樹:
「お前は、遠くに行きすぎだ!
まだいけるか?」
フリスト:
「行けるよ!」
中将の部隊が、敵の背後に回り始めたが。
簡単にはいかない。
前面の敵と交戦中で、兵を簡単に裂けるものではないからだ。
兵が減ると突破されてしまう。
味方の左翼側に回り込むのが良いか?
直樹:
「フリスト。
味方、左翼を助けるぞ。
護衛部隊!
俺たちも左翼へ向かうぞ!
近くのやつは、付いてこい!
主力はこのまま。
敵背後を圧迫しろ!」
フリストが、敵横陣の背後から襲い掛かっていく。
ロングボウ部隊も攻撃を仕掛ける。
俺も、矢を次々と命中させていく。
少しずつ。
敵の兵士が逃げていってしまう。
半包囲がまだ、完成しない。
できるだけここで。
敵を殺しておきたい。
5万人の援軍が、来る可能性が高いのだ。
敵の崩壊が始まる。
5千人近い兵士が、逃げ出した頃。
半包囲が完成する。
俺たちの方にも、中将の主力が回ってきた。
ロングボウ部隊で、包囲された敵兵を葬り去る。
1人でも多く、殺すんだ!
2時間の追撃戦を繰りひろげる。
そして、1万人以上の敵の屍が築かれた。
感想、レビュー、ブクマ、評価、お待ちしております。
おかしい部分や修正点、加筆部分なんかを知りたいです。
よろしくお願いします。
地図はランキング?の所に、リンクを貼ってあります。
風邪ひいた




