貰い火 嘆き・14
ノルナゲスト:
「もう一度、確認をしよう。
残念なことにスオラが占領されている。
敵は都市を中心に内陸部と海側へと兵を展開。
今後、我が国に進行するのであれば、ここは死守する必要がある。
スオラ拠点から、補給を受けているからだ。
我々の海軍は、海からの輸送を攻撃し圧迫している。
だから、奴らはスオラ周辺で、物資を生産しているはずなんだ。
スオラを中心とした勢力圏は、辻褄が合う。
君の地図を見てほしい。
奴らは、キンック方面にも兵を展開していることになっている。
離れ小島のように、突如だ。
補給はどこからきている?
制空権は竜族である我々が確保している。
海や空からの補給は無いはずだ。
そうなると陸路。
スオラから直線で200kmだ。
いくら何でも定時偵察で捕捉できるはずだし。
この辺りは何度も戦場になっているが。
それらしい報告は来ていない。
本当に兵力が存在するのであれば、海岸側を通って物資を輸送するはず。
ここの兵力とスオラの間には勢力圏がない。
補給路が、繋がっていないんだ。
我々に気づかれることもなく、物資を輸送するのか?
このルートの輸送は、相当目立つ。
僅かであれば見落とす可能性は確かにあるが、考えにくい。
仮に輸送できたとしても、距離は300kmを超える。
不可能とは言わないが、負担は相当なものだ。
これだけの兵を維持するのは難しい。
君のような存在が数人いれば別だが。
私たちの調査では、敵勢勢力圏は存在しない。
突如と現れた敵兵力、これはどういう事だ」
直樹:
「異世界人の可能性は無いのか?」
ノルナゲスト:
「その可能性は低い。
先のヨトゥンヘイムの戦いで、我が国は大きな犠牲を払い。
彼らを殺害している」
直樹:
「確か、数人の異世界人が投入されている。
と聞いているぞ」
ノルナゲスト:
「誰からだ?
協力者の賢人からか?」
直樹:
「ああ、そうだ」
ノルナゲスト:
「大規模な輸送タイプか?
それでは海岸沿いに勢力圏を形成する意味がない。
もっと有利な位置取りができるはずだ。
通常輸送であれば、キンック方面の海岸に勢力圏を持つ必要性がある。
それなら、輸送部隊を発見できるはずだ。
オカシイな。
今後、キンック方面に兵を大規模展開するのだろうか?
キンックは武器の製造を担っているからな。
重要拠点の一つ。
敵にとっても、我々にとっても押さえるべき場所だ。
狙われても不思議はない。
そして。
君の地図に示された、隠蔽されているという敵拠点の存在。
本当に、この位置にあるのなら。
メグスラシル中将へ繋がる補給線の圧迫。
コレへの説明はつくが……
我々の調査では、発見されていない。
メグスラシル中将の隣の陣地までは物資が届く。
やはり、この位置に拠点があるのか?
不可解なことが多すぎる」
直樹:
「つまり。
どいう事だ?
結論は?
賢人たちが嘘を付いたという事か?
それとも正しかったのか?」
ノルナゲスト:
「否定も肯定もできない。
我々の調査を前提にすれば、嘘だという事になる。
敵の動きから考えれば、辻褄が合う。
先ほど。
あの辺りは何度も戦場になっている、と言っただろ。
その時。
突然、兵士が湧いて出た。
数時間前までは、そこには誰一人いなかった場所にだ。
兆候も確認できなかった。
自分たちの国だ。
魔法や魔術の類は探知できる。
大人数だ。
見落とすはずがない。
君が記した場所に、敵が存在した。
何らかの手段で、奴らはそこに隠れていた。
そして突如、現れる。
これなら説明できる。
コレは極めて由々しき事態だ」
直樹:
「異世界人による隠蔽じゃないのか?」
ノルナゲスト:
「我々では感知できないものか?
そうなると、まずいな。
敵の数だって、50万どころの騒ぎじゃない。
さらに20、30万人か……
詳細な調査が必要だな。
ありがとう。
ナオキくん。
私の方から、もう一度。
調査をするように掛け合ってみよう。
君の情報を裏付ける結果が出そうで怖い」
直樹:
「ああ、頼む。
賢人たちの情報は、それなりに信憑性があるようだな。
参考になったよ。
そうなると……
アレも真実味が出てきたな。
メグスラシル中将の所に敵兵力5万人が増援されるらしい。
じゃあ。
俺は中将の所へ行くから」
席を立って部屋の外へと向かう。
ノルナゲスト:
「は?
ちょっと、待ってくれ!
ナオキくん!
増援とは、どういう事だ!!」
直樹:
「そのままの意味だ。
時期は知らない。
信憑性もわからない。
賢人たちの情報だ。
少将、何かわかったら教えてくれ。
じゃあな!」
俺が部屋を出ると、部屋の方が慌ただしくなる。
叫び声が聞こえた。
誰のだろう?
中将からの連絡を待ったが、今日は連絡が来なかった。
俺たちは、仕事を淡々とこなしていく。
2日後、中将の迎えが来た。
ちなみにだが。
首都での物資の確認に少将は来なかった。
代わりに、ヴァンランディ中佐とやらが来た。
少将も可哀そうな奴だな。
兵士、千人分の90万を受け取る。
テントの中には屈強でむさい男たちが30人近くいて、暑苦しい。
ハァハァと興奮している奴が多いな。
外にも兵士が配備されているようだ。
先方には、大事な話があると伝えただけなんだが。
メグスラシル中将:
「ナオキ殿。
どうしたんだ?
資金が無いから、手当の増額は難しい」
直樹:
「軍は、何処もケチだな」
メグスラシル中将:
「まぁな。
予算も人員も決まっているからな。
本当に、手当の話か?」
直樹:
「いや、違う。
別件だ。
確認したいことがある。
中将の兵士の数は2万人で。
敵対している兵士は3万人で合っているのか?」
メグスラシル中将:
「君は、何処からその情報を?」
中将の顔が一瞬、険しくなる。
周りの連中も警戒し始めた。
直樹:
「ん?
そんなことか。
瀕死の兵士を貰ったろ?
奴らからだ」
メグスラシル中将:
「そうか」
直樹:
「ここの陣地は、守りを固めているんだよな。
なんと聞けばいいのかなぁ……
準備というか、防衛力というのか?
どれくらいなんだ?
5万人の敵が増援に来ても、防げそうか?」
中将の顔が険しい。
先ほどより顔のしわが深くなった気がする。
メグスラシル中将:
「ナオキ殿。
それは、どういう事だ?
あの不可解な警告……
情報源は君だったのか」
直樹:
「警告というのには、覚えがない。
実はな。
俺は賢人族を保有している。
多分、お前たちと戦っていた奴だろう。
そいつらから聞いた話だ」
しばらく待っても、誰も話してこない。
直樹:
「何日か前に、少将と話をした。
本当は中将と相談したかったんだが。
見当違いだと困るだろ?
信憑性の度合いについて、確認を取りたかったんだ」
メグスラシル中将:
「ノルナゲストか?」
直樹:
「そうだ。
そして、俺の情報には検討べき価値がある。
という感じになった。
説明する。
まずは地図を渡すから、写してくれ。
俺のだからな。
やらないぞ」
少将との話を掻い摘んで話した。
メグスラシル中将:
「ノルナゲストは、どうしている?」
直樹:
「色々と忙しいらしい。
あの後からは、会っていないな」
誰も言葉を発しない
嫌な沈黙だ、居づらい
直樹:
「もういいか?
地図を返してくれ」
メグスラシル中将:
「ああ」
直樹:
「また明日。
時間はあるか?」
メグスラシル中将:
「どうしてだ?」
直樹:
「もう少し、賢人達から話を聞いておく」
メグスラシル中将:
「そうか。
すまない。
明日、また頼む」
俺たちは、補給作業に戻った。
その後、賢人たちに敵陣地の詳細を作るように指示する。
朝、賢人たちから説明を受ける。
お店の納品と物資の輸送を済ませて、中将からの案内を待った。
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