貰い火 嘆き・13
俺たちは、首都へと物資を取りに行く。
受け渡しの物資を、確認するために来た少将に話しかける。
まとめてもらった話を相談するためだ。
当然、メグスラシル中将に話を持っていくべきだとは思う。
でも今は、目前の戦いの事だけで忙しいはずだ。
情報源は賢人と兵士たちの噂話。
本来であれば偵察などの手段で確認を取るべきなんだ。
確認手段も分からないし、時間もない。
俺の見当違いで迷惑をかけるのはまずいしな。
専門家の意見を聞くべきだろう。
直樹:
「少将。
少し話をしたい」
ノルナゲスト:
「どうしたんだ?
ナオキくん」
直樹:
「陸軍棟の私室があるだろ?
そっちに行かないか?
聞きたいことがある」
ノルナゲスト:
「うーん、今は忙しい。
このままで聞こう」
直樹:
「そうか。
聞きたいのは、現在の賢人との戦闘の事なんだ。
俺は今、メグスラシル中将の所へ輸送しているだろ?
陣地の背後に、隠蔽された敵拠点があるのは知っているか?
殲滅される可能性がある。
大丈夫か?
あとスオラとかいう都市についても聞きたい。
占領されているヤツだ。
包囲作戦の進み具合はどうなんだ?
崩壊する危険性がある。
聞いた話では敵が50万人で、こちらが正規兵20万人……」
ヴゥッン ウーーーン!
少将が大きな声で、激しく咳ばらいを始めた
ノルナゲスト:
「ナオキくん。
君は急に訳の分からない事を……
ここは休むのに適当ではない。
私の私室を貸そう。
来てくれ!
こっちだ!
急げ!
早く来い!」
ノルナゲストは鋭い目つきで兵士に目配せをした。
ものすごい勢いで走ってくる。
両脇を兵士にもたれると、ズルズルと引きずられた。
フリストとユミルが、呆れた顔で俺を見ている。
直樹:
「少将!
何故か連行されているぞ?
大事に扱ってくれ。
お前がここで良いっていたじゃないか。
話は何処でも構わないと思うぞ。
俺も時間がない」
物資運搬用の荷車が目の前に止まる。
フリストが、バンバンと荷台を叩く。
ノルナゲスト:
「ナオキくん……
本気で言ってるのか?
違うよな?
私を困らせないでくれ」
俺としては、手短に確認したかっただけなのだが。
少将の私室へと連行され、20分も待たされた。
ワラワラと25人も部屋に入ってくる。
ノルナゲスト:
「ナオキくん。
待たせたね」
直樹:
「この部屋に、その人数は多くないか?
部屋が狭いぞ。
少将、お前。
また俺を騙したのか?」
ノルナゲスト:
「なんの話だ?」
直樹:
「中将の陣地だ」
ノルナゲスト:
「中将の陣地?
君が戦地を、見学したいと言ったのだろ?」
直樹:
「遺体を取りに行っていたのは、シエニの基地のはずだ。
俺はその先に行きたいと言っただろ?
中将の陣地は、キンックの近くだ。
シエニの基地じゃない」
ノルナゲスト:
「死者を減らしたいのだろ?
なら中将の陣地でも、いいはずだ。
中将とキンックの補給線は、現在使えない。
重傷者は迂回路を通って、シエニの基地へも行くはずだ。
仲間を看取る軍医は、シエニの基地だけではない。
総合的な判断では、中将の陣地が一番まずい状況だった。
もっと死体が増えるぞ。
君だって、見たんじゃないのか?
あれを見捨てるのか?
基地の先は、広域の戦場だ。
無論、中将の陣地も含まれる。
中将が撤退すれば、シエニの基地そのものが無くなっても不思議ではない。
君のいう軍医だって殺されるだろう」
直樹:
「屁理屈だな」
ノルナゲスト:
「君は、まったく……
そんなことより、先ほどの続きだ。
賢人族との戦いについてだったな。
話を聞こう」
直樹:
「敵は50万人で、こちらが20万人でいいのか?」
ノルナゲスト:
「その情報は間違っている。
我が軍には、準兵士がいる」
直樹:
「敵は全部で50万人か?」
ノルナゲスト:
「いや、それは正確ではない。
軍上層部の見積もりでは、30万人から50万人だ。
準兵士は40万人以上が動員されている。
我が軍の戦力は60万人を超えているはずだ」
直樹:
「少将は、敵を30万人と評価して行動すべきだと?」
ノルナゲスト:
「50万人と考え行動すべきかもしれないが。
私の立場ではどうにもできない。
権限がない。
それよりも。
隠蔽された敵拠点とはなんだ?」
ピラピラと地図を、振って見せる。
直樹:
「中将の拠点の周り。
隠蔽された敵拠点は無いか?
4カ所ある。
報告は来ていないのか?
この印のついた辺りだと思うんだが」
机の上に、広げて見せた。
ノルナゲスト:
「ナオキくん。
この地図はどうした?
かなり詳しい物に見える」
直樹:
「俺たちが作った」
ノルナゲスト:
「敵拠点とは、この印の事か?
この情報は何処から?
信憑性は?」
直樹:
「情報源は賢人族だ。
わざわざ嘘をつくとは、思えないが。
信憑性は、わからない。
それを少将に確認しに来た。
色々と情報は持っているんだろ?」
ノルナゲスト:
「賢人族が……なぜ?
どうして君に、協力をする?」
直樹:
「命を助けた。
お礼じゃないのか?
俺は、異世界人だと言っておく」
ノルナゲスト:
「そうか。
異世界人の力か……
少し借りる」
ノルナゲストは真剣な表情で何度も確認する。
あー、とか。
クッソ、とか。
そうか、とか声を出し。
ブツブツと独り言を上げては悶えていた。
最終的には頭を抱え込む。
近くの者に地図を渡すと指示をした。
渡された人物が部屋の外へと出ていく。
ノルナゲスト:
「ナオキくん。
地図は複製させてもらうよ。
味方の陣地や前線の位置は、大雑把だが。
大体こんな感じだ。
問題は、敵勢力圏だ。
スオラから海側へ勢力があるのは間違いないだろう。
奴らはあの周辺で、物資の生産調達をしているはずだ。
コレに関しては軍でも把握している。
問題になるのは、キンック方面に広がっているヤツだ。
もう一つの勢力圏は、本当にあるのか?
この辺りは飛竜による偵察を何度も行っている。
これほどの勢力圏ではなかったはずだが……」
直樹:
「しかし。
賢人族は、そう言っていたが。
偽の情報かな……?
そうなると。
隠蔽された拠点も違うのか?
自身の兵士に、わざわざ欺瞞情報を流すものなのか?
少将。
俺の勘違いのようだ。
すまないな。
時間を取らせて」
ノルナゲスト:
「待ってくれ。
違うんだよ。
ナオキくん。
あの地図の情報は、辻褄が合うんだよ」
カチャ。
扉が開いて、さっき出ていった人物が戻ってくる。
周りの連中に紙を配り、俺に地図を返してきた。
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